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インバウンドが求める体験価値とは

 日経電子版の記事【インバウンド客のコト消費多彩に、日本人にも刺激的】は、インバウンドのコト消費の潮流を捉えた好リポートだと思います。



 そもそも、自分がインバウンドになったつもりで、日本に行く、とはどういう事なのか?

 ――それは、日本の風土、日本の自然や様々な文化への関心、興味であることは間違いありません。

 そして、その関心が強ければ強い程、また、リピーターであればなおのこと、より深く知りたい、と思うのが人情です。

 ――そこで登場するのが、日本文化を体験する『コト消費』という訳です。

より深く知りたい

●見る(見て回るだけ)⇨やる(やってみる)

●受動的な観光(受け身)⇨能動的な観光

●観察⇨体験

●単なる観光地巡り⇨日本文化を体験する『コト消費』



【1】インバウンドは日本の何に興味を持つのか?

 ここでまず問題となるのが、それでは、インバウンドは日本の何に興味を持つのか、という根本的な問題です。

 ――記事にもあるように、アジアからのインバウンドは日本の食べ物に、欧米からのインバウンドは、「抜刀」や「忍者」など、より伝統的な日本文化にと、個人差はあるでしょうが、国により、地域により『好み』の傾向に違いがある事が分かります。

 つまり、インバウンドのコト消費の『好み』は、日本文化そのものというより、その出身国と日本文化との関係性の中にある、と言えそうです。



 インバウンドの出身国と日本との関係の中で、日本の文化がどのように紹介され、周知されてきたか、出身国の文化と日本の文化との差異の中で何がその国の人に刺さったのか、そういった事がポイントになると思われます。

 それを、インバウンドが求める体験価値を具体的に知った上で、日本におけるインバウンド向けの『コト消費』施策を検討する必要があり、その為には、そのインバウンドの出身国に、事情に詳しい現地のパートナーを求める必要もあるかも知れません(日本を紹介しているユーチューバーなど)。

 その一方で重要と思われることは、その国の人々が、何を通して日本の文化に接しているか、という事です。その媒体を通して日本に興味を持ったのだとすれば、その媒体で描かれている日本文化についても知る必要があります。

 ――例えば、記事でも取り上げられている『マンガ』です。

(記事より)
忍術体験はゲームセンターのように得点もつく。「(忍者が題材の漫画)NARUTOのファンなので、日本で絶対にやりたかった」。米ニューヨークの大学生、ライナス・チューさんは1月上旬に体験し、満足そうだった。



【2】インバウンドに『コト消費』をどのように提供
  するか?

 次に問題となるのが、インバウンドに『コト消費』をどのように提供するのか、という具体的な問題です。

 ――最も注意しなくてはならない点は、当然のことながら多くのインバウンドは日本に滞在できる時間に限りがある訳で、そのイベントが、印象的であると同時に効率的なものである必要がある、という点ではないでしょうか?

▶印象的かつ効率的な『コト消費』とは

① 事前の綿密な調査でインバウンドに刺さる体験価値である事。

② 比較的短時間にコンパクトにまとめられている事。

③ いくつかのオプションがあって、時間の許す範囲、興味の範囲で選択肢
 が用意されている事(時間に余裕があれば丸一日のフルコースなども)。

④ インバウンドがその体験をSNSなどで共有できる、共有しやすい、
 共有したくなる(映え、など)環境が整っている事(それ自体が
 プロモーションになる)。

⑤ 日本が苦手とされるナイトタイムエコノミーなどの取り組みで、夜時間
 の有効活用
。 



 『おもてなし』の精神は、まず相手を知る事から始まります。インバウンドがどのような体験価値を求めているのかを知り、その『コト消費』を印象的で、インバウンドの貴重な日本滞在の時間を有意義なものにする効率的なものにするような施策が求められます。



#COMEMO #NIKKEI

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