『KOC』と『KOL』
日経電子版の記事【中国でインフルエンサーに異変 注目集める「KOC」】は、急拡大の時期が終わり陰りの見え始めた中国の動画投稿アプリ市場で、より消費者に身近な『KOC』の存在に活路を見い出そうという潮流に関するリポートです。
そもそも、『KOC』、『KOL』とは何なのか、定義自体にあやふやな所があるので、ここでは、ざっくりと次のように考えることにします――
▶『KOC』、『KOL』とは何なのか?
●『KOC(キーオピニオンコンシューマー)』
・・・特にSNSにおいて、情報発信の影響力が大きい消費者。
●『KOL(キーオピニオンリーダー)』
・・・特にSNSにおいて、情報発信の影響力が大きい有名人・専門家。
こうしてみると、『KOC』も、あまりにも有名なインフルエンサーになってしまうと、『KOC』から『KOL』へと変容してしまうようにも思えます。そこは、例え有名であっても、あくまで『消費者』としての立場・見方を堅持していれば、『KOC』として考えてよいと思います。
その点も含めて、『KOC』と『KOL』の相違点を列挙してみると――
▶『KOC』と『KOL』の違い
『KOC』・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『KOL』
中・小・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フォロワー数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大
小さい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・知名度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大きい
近い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フォロワーとの距離・・・・・・・・・・・・・・・・・・・遠い
大きい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・親近感・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小さい
成長期・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・市場・・・・・・・・・・・・・・・・・飽和期に近付く
庶民的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スタイル・・・・・・・・・・・・・・洗練性・先端性
交流・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・主目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・情報発信
消費者としてのリアルな実感・・・情報の質・・・・・・・・イノベーターとしての
高度な・革新的な・
ドリーミーな情報、など
もちろん、このような対比は、イメージであり、中間的な存在や、全く異質の存在もあるはずです。ただ、一般的に、『KOL』は、大きいが故にフォロワーとの距離が遠く、全ての(多くの)フォロワーとの交流は希薄となり、その行動は情報の発信そのものに力点が置かれる、故に、その情報は専門的(高度・イノベーティブ・ドリーミー)であることが求められる、と言えるのではないでしょうか。
『KOC』と『KOL』の最も大きな違いは、この情報の専門性の度合い、『KOCの現場性』と『KOLの専門性』にあるのかも知れません。『KOLの専門性』とは別に、その分野の専門的な知識、常識に縛られない、コンシューマー・ドリブンな『KOCの現場性』には、リアルで思いもよらない気付きや指摘というポテンシャルがあり、より多くフォロワー、消費者の共感を得られる事に繋がりそうです。
いずれにしても、『KOC』と『KOL』それぞれの持ち味を生かし、使い分ける施策が重要で、そうすることによってこそ、幅広く消費者に訴求でき、そのインサイトに肉薄できるのだと考えられます。
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