中島厚夫

公務員を退職後、立法学に関する書籍を執筆中。うまくいくといいなと思っています。執筆途中…

中島厚夫

公務員を退職後、立法学に関する書籍を執筆中。うまくいくといいなと思っています。執筆途中の疑問やこぼれ話、息抜きなどを書いています。プロフィール写真は、京王線初台駅近くの改正橋(というかその跡)です。

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立法学入門サポートページ リンク集(2024年1月8日更新)

 立法学入門の書籍を準備中です。その書籍では、インターネット上の資料も参考にしていますが、そのためのリンク集を作りました。本来、全ての資料ごとにリンクを貼ることも考えたのですが、それもかえって煩雑なものになるので、基本的なものを挙げることにしています。ただ、現在は、途中段階のものであり、書籍の発行自体が不確かであることもあるので、今後のアップデートがあることを申し添えます。(2022年3月28日)(2024年1月8日更新) 1 国会衆議院  衆議院HP  衆議院法制局  参

    • 立法学のわからない はじめに 

       立法学についての本を書いているところなんです(出るかしら?)が、そうしていると、よくわからないところが出てきます。いまさら、こんなところがわからないというのもどうかというものもありますが、わからないものはわからない。ボーッと生きてんじゃねーよとチコちゃんに叱られそうですが、仕事しているときはこれをわかっていなければ困るということではなかったことについてなので、疑問に思わなかったということです。また、最近の立法を見て新たに疑問に思ったこともあります。それでも、それなりに調べて

      • 立法学のわからないーその1 官報の発行に関する法律について(途中だけど) 2024年4月24日更新

         官報の発行に関する法律(令和5年法律第85号。以下「官報発行法」という。)が公布された。立法学の書籍を準備中であり、当然、そのことにも触れなければならない。ただ、読んでいくとわからないことが出て来た。国会の会議録を見たけれども、そこでは議論となっていないようである。今後、同法についての解説も書かれることになるだろう。その際、こうした疑問に回答するものとなっているといいなあと思うので、ここで急遽、論じることとした。  まだ、残された疑問があるが、公布の対象についての部分が一応

        • 立法学入門コラム 「さだめる」と「ていめる」 漢字の読み方について

           法律家や公務員で法令を担当している人などが、法令に出てくる漢字を通常の読み方によらずに、訓読みのものを音読みにすることがある。例えば、「定める」を「ていめる」、「改める」を「かいめる」、「削る」を「さくる」、「物」を「ぶつ」、「者」を「しゃ」などということである。一方で、音読みのものを訓読みにすることもあるが、あまり多くない。例えば「前文」の「前」を「まえ」と読むなどである(この場合、「文」の字まで訓読みにして「まえぶみ」とすることはない。)。これは法律の立案過程において条

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        立法学入門サポートページ リンク集(2024年1月8日更新)

          立法学入門コラム 朝ドラと法制局 【追記】2023年9月29日

           2020年のエイプリルフール・ニュースに初の女性法制局長をモデルに朝ドラが作られるという嘘ニュースを書きました。  今年(2023年)になって、来年(2024年)の春のドラマが日本初の女性弁護士三淵嘉子氏をモデルに朝ドラ(連続テレビ小説)が作られるという発表がありました。法律関係の職業の「女性初」ということで、先の嘘ニュースもまんざら嘘ではないということになるかもしれません。とはいえ、「虎に翼」の方は「女性初の」といっても戦前に弁護士となったことであるのに対して、私の嘘ニ

          立法学入門コラム 朝ドラと法制局 【追記】2023年9月29日

          立法学入門コラム 野菜と果物 いちごが野菜? 2023年9月6日追記

           令和3(2021)年3月13日放送の「チコちゃんに叱られる」で、野菜と果物の違いについて扱っていた。チコちゃんの答えは「バンラバラ」、つまり野菜や果物の区別の基準は色々あるということだった。番組では、農林水産省、文部科学省、園芸学者から代表が出て、野菜か果物かを答えたが、「いちご」「スイカ」は農林水産省、園芸学者が野菜、文部科学省が果物と答え、パイナップルは全員果物とした。  番組では、このようになっているのはその定義を用いる目的が違うためだとしていた。農林水産省では、生

          立法学入門コラム 野菜と果物 いちごが野菜? 2023年9月6日追記

          違憲判決と内閣法制局の審査について

          1 前提 本稿では、戦後の内閣法制局を扱うが、戦後、内閣法制局の組織はいくつかの変遷を経ている。戦後、それ以前の「法制局」がそのまま存続し、日本国憲法の制定の一翼を担った。しかし、GHQが「法制局」の解体を命じ、昭和23(1948)年2月から法務庁に法令審査その他の法制局の事務が移管されることになり、その組織の一部となった。さらに昭和24(1949)年6月からは法務庁が法務府となり、その中の組織となる。占領終了後、昭和27(1952)年に法制局設置法(昭和27年法律第252

          違憲判決と内閣法制局の審査について

          大石眞先生の「公布再考」への疑問

          はじめに 大石眞先生の「公布再考」は、1979年に國學院法学17巻3号に掲載された論文をもとに、加筆訂正をされ、『憲法制度の形成』260頁以下(信山社、2021)に収められています(以下では、同書に収められたものを「本論文」とし、頁表記は同書の頁を表すこととします。)。同書は、基本的には大石先生の2000年以降の論文を収める論文集ですが、この論文だけは、約40年前の論考を基礎としていて、同書の「はしがき」によれば、「その所以は、これに関連する本格的な研究成果が日本の学界には

          大石眞先生の「公布再考」への疑問

          立法学入門コラム 国会とDiet

           我が国の国会の英語での表記は、the Dietである。この点についての文献としては、佐藤功「統治機関の名称―日本語と英語」『憲法研究入門 下』1頁以下(日本評論社、1968)所収、麻生茂「「国会」の英訳Dietについて」国立国会図書館月報167号16頁以下(1975)、堀内克明=V・E・ジョンソン「英語Q&A The Diet/Congress/Parliament」週刊ST55巻2号(2005年1月14日)がある。なお、国会を指すDietは、本来普通名詞であり、特定(固有

          立法学入門コラム 国会とDiet

          立法学入門コラム 六法と恋愛

           ストーカー行為等の規制に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第1項は「つきまとい等」という言葉を定義しているが、その中で、「恋愛」、「怨恨」という言葉が国の法令で初めて使われた。どういう形で規定されているかは、条文を見て欲しい。その上で、なぜ、同法で「恋愛」、「怨恨」という言葉が使われているのかについても考えてほしい。その後「恋愛」については、消費者契約法の一部を改正する法律(平成30年法律第54号)により加えられた消費者契約法(平成12年法律第61号)第4条第3項第

          立法学入門コラム 六法と恋愛

          立法学入門コラム 法と詩

           法と詩というと少し大げさになってしまうかもしれない。法と詩というと、グリム兄弟の兄のヤーコブ・グリムの論説、穂積陳重の『法律進化論』における記憶法としての詩体法の議論、あるいは詩人で法律家という人(結構多い。)についてなど様々に論じることがある。けれど、ここでは、法と詩について、私の見つけた範囲で、肩がこらない話をしてみようと思う。  最高裁判所裁判官であった真野毅が「俳句憲法・和歌憲法・都々逸憲法」時の法令48号30頁以下(1952)というエッセイを書いている。これは、憲

          立法学入門コラム 法と詩

          立法学入門コラム  法律とソーセージ

           アメリカの立法に関する文献を読んでいると、ソーセージという言葉が出てくることがあるので、不思議に思っていた。  たとえば、ヴィクトリア・F・ノース&ジェーン・S・シャクター「立法立案の政治学:連邦議会の事例研究」(Victoria F. Nourse & Jane S. Schacter, The Politics of Legislative Drafting: A Congressional Case Study, N.Y.U.L.Rev., vol.77, No.3,

          立法学入門コラム  法律とソーセージ

          2021.4.1 「秘・み・つ」を「内緒」に改める法案大詰め み・つを避けるため  問題は憲法

          エイプリル・フール・ニュース08 本当は、前年(2020年)に考えていたものなのだけど、エイプリル・フールのうそはやめておこうということが言われていたことと記事中にあるように漢字を使わないことをどうやって表現するかがうまくいかなかったこととであきらめたものです。でも、前年(2020年)にはつい別のを作っちゃたし、ということで、作ってみました。漢字の問題は以下の記事にあるようにしてみたけど、うまくいっているのかどうかわかりません。 記事中の組織、人物等は架空のものです。実在のも

          2021.4.1 「秘・み・つ」を「内緒」に改める法案大詰め み・つを避けるため  問題は憲法

          立法学入門コラム 立法と映画

           法学における立法への関心の低さは、立法学の最初に必ずと言ってよいほど言われることだが、映画においても、司法に比べて立法については扱われることが少ない。もちろん、国会などの議会が舞台になることはある。しかし、立法ということを扱っているというとあまり思い浮かばない。アメリカ映画では、「スミス都へ行く」(フランク・キャプラ監督、1939)とか「キューティー・ブロンド ハッピーMAX」(チャールズ・ハーマン=ワームフェルド監督、2003)とか、日本映画では「国会へ行こう」(市倉治雄

          立法学入門コラム 立法と映画

          立法学入門コラム はじめに

           立法学の入門的な書籍を準備中です。コラムも入れて読みやすくするということも考えたのですが、どうしても紙幅の関係で入り切らないということになりそうです。そこで、途中段階ですが、ここでご披露することにしました。一応の段階で投稿するので、書き直しもあります。また、できた順で投稿しますので、順番に特に意味はありません。

          立法学入門コラム はじめに

          2020.4.1 再来年春の朝ドラは「りつあん」 初の女性法制局長がモデル ヒロインは新人の俵顕田伊里さん

          エイプリル・フール・ニュース07 2019年は、いろいろあって、お休みしました。そろそろ限界なのかもしれません。そして、2020年となりましたが、この年も、エイプリル・フールの嘘はやめようということが言われていて、いったんはやめることにしました。これで引退かなとも思いました。ところが、4月になって、星野源さんの「うちで踊ろう」をみていたら、つい作ってしまいました。なので、本当はエイプリル・フールに間に合っていません。 ところで、内閣法制局にしろ議院法制局にしろ、女性がトップに

          2020.4.1 再来年春の朝ドラは「りつあん」 初の女性法制局長がモデル ヒロインは新人の俵顕田伊里さん