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科学者のとなり

午前4時。
締切前につき、娘の寝かしつけで寝落ちした場合のセーフティーネットとして仕掛けたアラームが振動する。
私の寝相のせいでスマホははるか彼方に。
眠りに関してセンシティブなオットの目まで冴えてしまった。申し訳なし。
そんな訳で罪滅ぼしのティータイム。

「私、あなたと出会って新しく知った言葉、けっこう在ると思うの。」

「どんな?」

「アルゴリズム。バタフライエフェクト。ポスドク。アクセプト。」

「みんなカタカナだね。」

「ねえねえ、私と出会って知った言葉ってある?」

「あるある、ええと。」

「“そうはイカの、”とか?」

「それは知ってた」

「それじゃあ?」

「いぬのふぐり」

「結局、シモネタだね」

※※※

「おなかすかない?」

「そうだね」

「ご飯は白米と玄米好きな方をお選び頂けます」

「じゃあ、玄米。」

「へえ!!!」

「サイエンティフィックに栄養がある。」

私は、酵素玄米というのを炊いている。科学的にはやや怪しげなウンチク渦巻くこのご飯を夫は好まないと思っていた。
しかし、「玄米は栄養がある」というポイントで受け入れてもらえた。
嬉しい。(私は難しいことはよくわからないけど、とにかく体が楽なので好んで食べている)

私は今日も、科学者のとなりでお絵かきをする。

全然違う二人が、同じウンチをして生きる。

これって最高にロマンチック。

「もう少し寝てきます」

「起こしてごめんね、おやすみ」

私は隣のこの人に、細く長く淡く、恋をしている。

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