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【フランス田舎便り】お店に売っていない冬の果物、ネフル。

初霜が下りると寒さで熟す不思議な果物がある。

それが、「ネフル」

フランス語で「Nèfle」と綴り、意味を調べると

「枇杷」(びわ) となっている。

この「ネフル」、日本の枇杷とだいぶ違う。

枇杷だって言われなければ違う果物だと思える、不思議なフル-ツ。

しかも、フランスのス-パ-やマルシェで一度も見たことがない。

市場では扱いのない果物。



「ネフル」との出会い

初めての出会いは、数年前に村で行われたクリスマスマルシェの会場だった。

フランス各地で催されるクリスマスマルシェ、我が村でもあの感染症が流行る前までは毎年恒例の催し物だった。

「ネフル」に出会ったのは2016年のこと。

村の広場では、ホットワインやホットチョコレート、お菓子がふるまわれていた。
それらが置かれていたテ-ブルに籠に入った大量の「ネフル」を発見。

最初に気が付いたのが、うちの主人。

彼にとって、生まれ育ったノルマンディーの田舎で食べた懐かしの果物だったらしい。
しかも、今のいままで出会うことなく生きてきたというからその衝撃は計り知れない。すごく興奮していた。

「ネフル」を持ってきてくれた村の知人宅には数本の「ネフルの木」がある。
それらはすべて彼が「接ぎ木」をして育てたものらしい。
そう、彼は「接ぎ木」の達人だったのだ。

早速、来年うちの庭に「ネフル」の接ぎ木をお願いできないか交渉。

そして、めでたく2017年秋に接ぎ木をお願いできた。


2022年5月
接ぎ木から約5年経過
下の部分はサンザシの木
ネフルの幹が太く育ち、そろそろ支え木をしなければならない


記事を書こうとしたきっかけ

「ネフル」のことを書こうと思ったきっかけをくださったクリエイターさんがいる。
「いつもの散歩道」という記事を季節の移り変わりとともに投稿されている
オカさんだ。
夏も真っ盛りの時期に、「あっ、これは!」
と記事の中で、目を奪われる植物に出会った。

詳しくはこちらの記事をご覧いただきたい。
虫が苦手な方、ごめんなさい、最初にセミがでてきます。

そのあとの4,5枚目の写真に例の植物が。
オカさん、ありがとうございます。

そうです。

「イヌビワ」です。

この「イヌビワ」が「ネフル」と似ていると思ったんです。

調べてみると、「イヌビワ」は

クワ科イチジク属の落葉小高木。ビワに比べて不味であることから「イヌビワ」の名がある。

Wikipedia引用

「イヌビワ」は美味しくないんだ。なんか残念。
「ネフル」はイチジクではないので
見た目は似ているけれど違う果物なんだとわかる。
な-んだ、とがっかりするけれど、ふたつの共通点がある。
それは…
最後にお話します!

ここまで引っ張ってきましたが、いよいよ「ネフル」の登場です。

【写真】「ネフル」の木とその成長の様子

5年で大きく育った
斜めになってきたのでいよいよ支え木しないとね
2022年5月初旬
白い花を咲かせる
そろそろ花も終わり
たくさん咲いてくれたよ
2022年7月初旬
「ネフル」の実
ピンポン玉くらいの大きさの果物
皮の部分がまだ緑色でうぶ毛がある
「イヌビワ」になんとなく似ていませんか?
9月初旬
実の皮の部分が茶色になってきた
緑の部分を残しながら茶色へと変わり徐々に熟す
11月1日
今年は豊作!

文頭に「ネフル」は初霜が下りると寒さで熟す果物と書き出したけれど、
今年は穏やかな秋でずっと暖かい日が続いた。
例年なら早ければ10月末、遅くても11月に入ると霜が下りるはずなのに
今年は異常気象。
未だに初霜は下りていない(11月28日現在)

「ネフル」の実はいつまでたっても熟すことなく、11月中旬を迎えた。


「ネフル」収穫する

11月24日
葉っぱも黄色になり「ネフル」も少しづづ熟し始める
全部熟していなくても収穫
追熟させよう
濃い茶色は熟している証拠
まだ霜が下りていないから熟していないものが多い


「ネフル」の味

右側が熟したネフル
左側はまだ熟していない
熟さないと皮の色が薄い茶色、時にはオレンジがかった金色
指でほろっとふたつに割れる
熟しているとこんな風にジュクジュク
まるでちょっと腐ってしまっているよう
皮は食べない
種は小さめのが5つ入っている

見た目がなんだか、く、く、腐っているみたい…。

そうなんです。

「ネフル」の特徴ともいえる、このテクスチャー。
実がとても柔らかい。
柔らかいを通り越してぐにゃっとしている。

そして、お味の方はというと…




甘くない。


熟していないから甘くないのではなく

この果物

全然甘くない果物なんです。

お味はというと、へ-ゼルナッツのような少し香ばしい
それでいて熟れすぎたりんごのような(腐りかけた)味。

えぇ-っ、あんまり美味しくないんじゃないの!と思われた方

あっしゅ、同感です。

実は、私は「ネフル」が好きじゃない。

食べてみましたよ、食べず嫌いじゃありません。

でも どうしても好きになれない味。

見た目もテクスチャーも味も、苦手。

好きな人は本当にすごく美味しく食べているし、お店で売っていないから希少だし、ありがたいものらしいです。

現に 主人はものすごい喜びようで、毎日食べています。毎食ごとに。

結局 今年は写真にあるネフルの量の7,8倍くらいの収穫量でした。

子供もネフルは好きだけど、寮から帰って来た週末に少しつまむ程度。

今日は流石に食べ過ぎたのか、主人もパタリと食べるのをやめてしまった。

ごめんね、手伝ってあげられないよ。


これを消費しても
まだ木にたくさん実ってる
どうするの-


「ネフル」と「イヌビワ」のふたつの共通点


まず一つ目は味。

ふたつとも味に問題ありということ。

ふたつめは「イヌ」というキ-ワ-ド。

「ネフル」は別名 フランスでは「イヌのケツ」と呼ばれている。

フランス語で「Cul de Chien」

「Cul」がお尻の俗語で「ケツ」の意味。

「Chien」がイヌ。

それで「イヌのケツ」

え、ネフルの形がイヌのケツに似ているって?

どうなんでしょう。

「イヌビワ」は美味しくないから「イヌ」がつけられたと言われています。
なぜ「イヌ」なのか…。

なんだか犬が可哀そうになってきた…。


まとめ

「ネフル」食べるのは苦手だけど、大好きな植物。
冬には落葉し、春になると芽を出してくれる。
蕾をつけて花を咲かせ、私達に元気を与えれくれる。

クリスマスマルシェで出会った「ネフル」
知人の力なしでは我が家にやってこられなかった「ネフル」
私達家族に育てる楽しみを与えてくれた「ネフル」
そして、このことを書くことができたnoteというプラットフォーム
記事を書くきっかけを与えてくださったオカさん

最後までお話を読んでくださったみなさま

お付き合いくださりありがとうございます。
今日も感謝しています。

続きはこちら


あとりえ・あっしゅ





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