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幸運体質  叶

わたしはかなり運がいい。
戦闘漫画やゲームのように能力値がパラメーターとして見えるとしたら、
運の項目だけずば抜けていると思う。

この間、ゲーム友達十人程と対戦ゲームをした。
屋敷に閉じ込められたプレイヤーは一人だけ紛れた殺人鬼役から制限時間内に逃げ切る、または鍵を集めて屋敷からの脱出を目指し、
殺人鬼役は一般プレイヤーに紛れ制限時間内に全員を殺す、というルールのものだ。

結論から述べると、全敗した。
「危ないからとりあえずこの部屋でやり過ごそう」と誘ってきた友人は実は殺人鬼で、
のこのこついて行ったわたしはあっさり殺された。
また、わたしが殺人鬼役になったときに
「誰が殺人鬼だろうね。一緒に探そう」
と自分から声をかけ誘い出し背後でつけ狙っていた友人は早々にわたしの正体を見破っており、
悠々と逃げられおちょくられた。
4ゲーム連続で信じてついて行った人が殺人鬼だったときはさすがに自分でも引いた。
ちなみに他の友人は怪しんで距離をとっていたらしいと後から聞いたが、怪しいと気づいていたならわたしを助けてくれてもいいのではと思う。
これだけを聞くと運が悪いエピソードのように見えるかもしれないがそういうことではない。
 
 
事実としてわたしはこれほどまでに人を信用しやすい。
わたしはこの持ち前のすぐ人を信用する精神でうっかり変質者に誘拐されたり、
うっかり詐欺の片棒を担わされていたとしてもおかしくはなかったはずだ。
そんなわたしが今日これまで特に大きな犯罪に巻き込まれていないのは自分の選べない部分で人と環境に恵まれていたからであり、
それはとてつもなく運がいいことだと断言して差し支えないだろう。
逆にいえば自分が選んだ人や環境は問題のある場合が多かったのでやはり運以外のパラメーターは軒並み低い。先述したゲームも負けてるし。

さて、この幸運体質を人に話すとたまにこんな言葉が返ってくる。
「宝くじ買ってよ(笑)」
実にくだらない。人間としてのおもしろみを全く感じられない。
ドラえもんに出てくるひみつ道具を貰えるとしたら四次元ポケットがいいとか言う類の人間だろう。
四次元ポケット単独では中のひみつ道具が付属しないことにも気づいてない可能性すらある。
それはそれとして、収納における利便性を考えると四次元ポケットは魅力的なアイテムではある。
四畳半に四次元ポケットだけ持ち込み、
布団や洋服その他を収納してしまえばスペース上では最強のミニマリストといえるだろう。
ただ、わたしの観測上この話題で四次元ポケットを収納として扱っている人間はいなかった。
 
 
話が脱線したがわたしの場合は宝くじを話題にあげると、
おおよそ自分とは話の合わない人間が判別できる。
この宝くじリトマス紙でわたしは仲良くなれそうな人とそうじゃない人を見分けられるわけである。
これは実質的に買ってもない宝くじが当たってると言ってもいいだろう。
買ってもいない宝くじすら味方なんだから、
わたしはやはり運がいい。
 
 
それではまた。



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