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チーズ工房の話

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両親の牧場の牛乳を使って、美味しいチーズを作るのが中学生の頃からの夢でした。 農業高校や酪農学園大学で学び、十勝にある半田ファームでチーズ作りを学びました。 今でも試行錯誤の日々…
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農産加工品営業術

この記事を読んで欲しい人 こんにちは! 突然ですが、最近は農産物を加工して販売するって、いろいろ法律が追加されて大変ですよね。 加工品の販売を10年以上続けていますが、毎年表示ラベルの追加や変更、設備の改修などに追われています。 これは趣味でちょっと規格外の野菜を漬物に・・・とかでできる範囲ではなくなっています・・・。 食の安全は大事ですが、SDGsとか言いながら、それに逆行する世の中になっていますね。 また税制面でもインボイス制度が導入されたりと、小規模の事業者に厳

チーズプラトーのすすめ

チーズプラトーとは皆さんはチーズを購入したら、どうやって食べていますか? とりあえずカットして、そのまま食べる? それとも料理に使っていますか? 私が今回オススメしたいのは「チーズプラトー」 「チーズプラトー」って何?っていう方のために説明すると、つまりは「チーズの盛り合わせ」の事です。 もちろんチーズ屋さんでない限り、どっさりチーズをカットして並べることは難しいと思います。 でも大丈夫。チーズだけではなく、フルーツやクラッカーなどを並べて豪華に見せましょう。

「オススメはどれですか?」

チーズの販売は難しい。 よくチーズ売り場で 「オススメのチーズは?」 と聞いてくれる人がいる。 こちらをプロとして 認めてくれて、 アドバイスを求めて くれるのは 嬉しいのだけど、 なぜだかモヤモヤ することがある。 ある時、先輩職人が 「すすめられねぇもん 作ってねぇよ!」 と言うのを聞いて 「そうそう!それ!」 と思った。 例えば、 「こんなチーズが好みです」 と伝えてくれたら、 だいぶオススメしやすくなる。 まだ問題はある。 「カマンベールが好きです」 と言わ

メルマガ始めます!

昨年は遅ればせながら、SNSを始め、今更ながら、なぜTwitterやInstagramがこれほどまでにもてはやされているか知りました。 正直、SNS疲れするのでは?とか、コメントに嫌な事が書かれて気にするくらいなら、はじめからやらないほうがマシと思っていました。 ところが、実際にはじめてみるとリアルタイムで多くの方とコミュニケーションを取れるSNSにすっかりハマってしまいました。 例えば、Instagramではチーズを使った料理の紹介をしています。 それまで、商品を購

キッチンカー営業をおすすめしたい10の理由

チーズ工房×キッチンカー牧場の敷地内にあるチーズ工房では、普段チーズの 製造のみを行っており、売店やカフェはない。 「むかわ町でチーズの購入をご希望の方は 道の駅かぽぽんた市場でお願いします。」 と案内している。 ただ、週末にはキッチンカーでイベントを回っている。 キッチンカーではチーズだけではなく、サンドイッチや パンケーキを販売している。 農産物を加工販売する場合、農家レストランや売店を 農場に併設している場合が多い。 ただ、そういったスタイルだと、売

鶴瓶の家族に乾杯が来た!①

やらせなのか?皆さんは『鶴瓶の家族に乾杯』というNHKの番組を ご存知ですか? 月曜日の夜7:30から放送されていた旅番組です。 鶴瓶さんが日本中を旅して、ステキな家族を探すという 趣旨の番組です。 『鶴瓶の家族に乾杯』で検索すると 『鶴瓶の家族に乾杯 やらせ』などと出てきて、 フラりと立ち寄り、偶然ステキな家族に出会える なんて、やらせだろうという声もあります。 しかし『鶴瓶の家族に乾杯』はやらせではありません。 なぜなら、ウチに来たからです。 窓の外

チーズの名前の由来

「ASUKAのチーズ工房」のASUKAは私の名前、 北川飛鳥から来ています。 工房設立当初は子供がいなかったので、工房の名前 は私の名前から、代表商品である「はじめのチーズ」 は旦那の名前からとりました。 やがて、長女が産まれ、「雪音(ゆきね)」と名付け ました。 音楽が好きな旦那が「音」という字を入れたかったと 名付けた名前です。 その後、チーズ工房にも新しい商品が産まれました。 フランスで作られているカマンベールの製法、ルーシュ 製法という製造方法で

粘着質なアイツ

皆さまはウォッシュチーズは食べた事が ありますか? 大好き!という人もいれば、食わず嫌い、 一度食べたきり、もう無理・・・。 など、ブルーチーズと同じ位、好き嫌い がはっきり分かれるチーズですね。 ではウォッシュチーズの独特なあの匂い の正体は何でしょう。 ウォッシュチーズは独特なオレンジ色の 表皮をしています。 触ると少しベタベタしています。 これもカビの一種でしょうか? いやいや、チーズの表面を覆って熟成を 手助けしてくれるのはカビだけではありません。 これはリ

おいしい熟成庫

私たちの牧場では、チーズを作っている。 10年以上前に、牧場の敷地内にある小屋を改装して、工房を作った。 海上輸送用の冷凍コンテナの中古を譲り受け、熟成庫にした。 チーズ工房と熟成庫がある場所は、近くに冷たい湧き水が流れている。 木々が生い茂り、窪地になったその一角を覆うように枝葉が広がっている。 この場所は夏でも辺りと比べて少し涼しく、適度な湿度がある。 まさにチーズの熟成に欠かせない条件がすべてそろった場所だ。 その工房で一番初めに作ったのが、ヨーロッパでトムと

直売所というコミュニティスペース

私達の町には、ぽぽんた市場という農産物直売所がある。 町の花である「たんぽぽ」を逆から読んで、「ぽぽんた」。  その名の通り、今流行りのマルシェ風のオシャレな直売所ではないけれど、農家の人が作った規格外の野菜が安く売っている、昔ながらの直売所だ。  農家の人達は朝が早い。  早起きして、収穫して、10時の開店に間に合うように、野菜を持ってくる。  お客さんも朝が早い。  近くにある道の駅は、キャンピングカーの愛好家の間で有名だ。  温泉があって、駐車場が広くて、

一生ものの相棒

工房の事務所には学習机が2つ、並んでいる。 一つは弟が使っていたもので、もう一つは 私が小学生の頃から使っていたものだ。 工房を建てる時、建物や製造するための機材 にお金がかかってしまい、事務用の机まで 購入する余裕がなかった。 その時、物置に眠っていた学習机を使う事を 思いついた。 どっしりとした重厚な机。 沢山のファイルが収納できる引出し。 どれをとっても完璧だった。 おそらくそれなりの値段がしただろう。 ガタつくことも無いこの机を眠らせて おく

チーズ工房を始めたきっかけの話

私は子供の頃、本を読むのが好きな子だった。 今のように、ネットで色々な記事を読める時代 ではなかったので、 学校の図書館で借りる本と少ないお小遣いで 買う本を読むのが、楽しみだった。 それでも、すぐに読む本は尽きてしまう。 そんな時は、酪農家である我が家に届く 酪農雑誌を読んでいた。 月刊誌が毎月3、4種類、届いた。 内容は乳牛の飼育方法など、 専門的な内容が多かった。 始めは内容が面白かったというよりは、 活字に餓えていたから、読んでいた。 当時は

チーズ工房、建設の話

地目変更今から10年以上前、牧場の敷地内に チーズ工房を建設することになった。 敷地は沢山あった。 牧場だから。 じゃあ、気に入った場所、どこでも 建てられるかというと、そうはいかない。 農地法という法律がある。 牧場の敷地内は「農地」という地目に なっていることが多い。 実は「農地」に商業用の施設を建てる のはとても難しい。 農家は儲からないけど、カフェや工場 を建てたら、儲かるよね。 そう考える人が多くなると、 畑や田んぼが無くなる。 そした