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一生ものの相棒

工房の事務所には学習机が2つ、並んでいる。

一つは弟が使っていたもので、もう一つは

私が小学生の頃から使っていたものだ。

工房を建てる時、建物や製造するための機材

にお金がかかってしまい、事務用の机まで

購入する余裕がなかった。

その時、物置に眠っていた学習机を使う事を

思いついた。

どっしりとした重厚な机。

沢山のファイルが収納できる引出し。

どれをとっても完璧だった。

おそらくそれなりの値段がしただろう。

ガタつくことも無いこの机を眠らせて

おくのはもったいない。

弟が使っていた分も含めて2台も

引っ張り出してきたのは、事務用の

机だけでなく、作業台も必要だったから。

食品の作る工場ではステンレスの作業台

がよく使われる。

チーズの製造を行う場所では洗い流せる

ステンレスの台を使っている。

工房では5kgくらいある大きなホール

チーズを製造している。

そのホールチーズをカットして販売する

のだが、このカットの作業が力仕事で大変だ。

そして、学習机の重厚感がチーズをカット

する台としてピッタリなのだ。

少しでも台がぐらつくと作業しづらい。

ステンレスの台だと錆びてしまったり、

劣化してガタつきが出てくる。

小学生が使うように作られた学習机は適度

に低さがある。

大きなチーズをカットする際にこのちょっと

低めの台がとても使いやすいのだ。

ちなみに電話台はおばあちゃんが使っていた

ミシン台。

天板の下にすっぽりとミシンが収納できる

台だ。

これも昔のミシンは重いので、しっかりと

した造りになっている。

昔の道具は一生使える一生ものが多い。

まさか小学生の頃は大人になっても、この

机を使っているなんて、思いもしなかった。

まだまだ使える学習机。

この机を一生使っていこうと思う。


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