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#6 暇だからアメリカ横断する―ダリとマナティと僕

 
今日の予定は朝早く起きて決めようと思っていたのに……。
ということで華麗に二度寝を決めました。惰眠と女の子に弱いAskewです。

7時に起きた記憶もないまま、気付けばアラームが止まっていて9時でした。なぜか全くやり方の分からない今の遊戯王を教えてもらいながら、初期デッキで友達を倒しかけるという謎の夢を見ました。倒せたら嬉しいけれど、友達の必死の言動を聞いていると申し訳なくなるというジレンマに苛まれ、地味に後味の良くない夢でした。

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(対戦相手を倒そうか悩んでいる顔)

6日目:オーランド観光

オーランドといえばテーマパークです。

何を隠そうWalt Disney World Resort(通称ディズニーワールド)はここにあります。世界最大のディズニーリゾートであり、面積は東京ディズニーリゾートの240倍、山手線一周の約1.5倍の敷地という「さすがアメリカ」を体現したリゾートです。

あと、Universal Orlandoという通称ユニ↑バ↓(関西人風)があります。こちらはユニバの約4倍です。大学終わりにちょっと寄るみたいな感覚では回りきることは不可能ですね。

んー、これだけデカいと選択肢も多くて、どこにいくか迷いますよねぇ。


いかねぇよ。
誰が一人でテーマパークにいくか。このやろー。


さて、寝坊したことでNASAに行く選択肢は消滅。強制的にもう一つの案を決行することになります。

それは「マナティに会いに行く」というもの。あと時間が余ったのでタンパで「ダリ」にも会いに行きます。今、会いに行きます。例のネズミにではありません。

目的地 マナティ

(今日の行程 マナティ→タンパで再度オーランドへ戻る)

・可愛いマナティをこの目に

シーザーさんお宅から北にほどなく走ると、Blue Spring State Parkという州立公園があります。その名の通り毎日100万ガロン(380万リットル)もの水が湧き出ているという泉です。

フロリダは湖や泉が点在してるため地図を見ると穴ぼこだらけに見えます。その中でも、この泉には冬の時期、寒さから逃れるためにマナティがやってくるというのです。マナティは18.8℃以下の水温では生きられないと書いてありました。そのため、海水よりも温度が高いこの泉にぷかぷか避寒しにバカンスに来るのだそうです。かわゆ

15分で支度を済ませて、外に出ると晴天ではないものの、雲の切れ間から青空が覗き、太陽に照らされると温かさを感じる陽気。天気が悪かったらNASAと考えていたのですが、幸運にも問題はなさそうです。

何もない田舎道を軽快に走り、Blue Springに向かいます。今まで来たような観光地と異なり大きな看板等もなく、知らずに道を走っていたらこの近くでマナティが見れる清流があるなんて思いもしないでしょう。

そして、ほどなく公園へ到着。入り口のゲートではお手製マナティが迎えてくれます。かわゆ。今日はそこそこ発見されているようですね。

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入園料はなんと4ドル。国立公園が10~35ドルくらいとられることを考えるとかなり良心的ですね。規模が全然違うので当たり前と言えば当たり前ですが。規模だけを考えると国立公園が安いのか……?

ワクワクしながら駐車場に車を止めて、川に近づきます。木で通路が組まれており、ところどころ川に突き出した展望スペースから川の様子を眺められるようになっています。

昨夜の雨に濡れてキラキラと光る苔むした鬱蒼とした木々。スパニッシュモスって言うのかな? ぼろきれのように木々からくしゃくしゃの植物が垂れ下がっています。まるでジュラ紀の森の中のよう。そのだらりと垂れ下がった幕の間から映るのは透き通った緑がゆらめく水面。太陽の光を反射してゆらゆらと揺らめいています。

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よくよく見てみると、水は川の底がはっきり見えるほど透明で、しばらく目を水中にぽとりと落としていると、そこに様々な生物がいるのがまじまじと見えてきました。
細長い身体、長い顎、鋭い歯をもつフロリダガー、もしくはロングノーズガー。ティラピア、その他たくさんの魚たち。目を凝らすと稚魚でさえ、小さい身体をぴろぴろさせて群れているのが分かりました。

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お目当てのマナティはどこかな……。と目を凝らします。すると、それらしき影が!! いや、なんか様子がおかしいな、とよくよく見ると川に沈んだ丸太でした。15頭も見つかっているのに最初に見つけたのが丸太……。

その後も目を凝らしますが、緑の川の底に沈んだ丸太ばかり……。人の眼は見たいものを見せますね。自分の眼のおめでたさに少し笑えてきました。

見れたらいいなー、と考えながら場所を移動しながら川を遡上していきます。すると、人が集まっている……。

これは! と思って川を見てみるといるじゃありませんか!!
 
対岸の木の下でなにかずんぐりしたものがいる……。
ひれがついている。間違いない、あれがマナティだ

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そう思ってさっき見た場所をもう一度見ると丸太が二本なくなっています。どうやら、マナティを見つけたと思ったら丸太だった、と思ったそれがマナティだったみたいです。
人の眼は真実をすぐに見落としますね。自分の眼のなさけなさに少し笑えてきました。

わー、凄い! 野生のマナティって初めて見た!
と、横にいる小さい子供と同じく心の中で無邪気な声を上げていました。

少し上流では桟橋になっていて、Cautionと書かれた塀が。はっきりは分かりませんが、どうやらいつぞやの時期はこの川で普通に泳げるみたいです。自分からマナティに近づかないこと、餌をあげないこと等が書かれてありました。

すると、そこにもマナティが優雅に泳いでいました。しかも、こちらのマナティは元気でサービス精神が旺盛。くるくると水面のしたで身を捩って回っていたと思ったら、ぐっと力を込めて潜水したり、と色々な動きを見せてくれます。

二頭の内、一頭が川の中腹ほどに近く寄ってきました。お腹を上に向けたまますいーっと水面付近を滑っています。可愛いなー、と思いながらカメラを向けていると、不意に腹筋をするように身を立て、その頭を水上へと持ち上げました

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その瞬間を激写した僕は歓喜して、おぉ!と思わず声が漏れました。動画じゃないので間抜けな声が入らなくてよかったです。良い瞬間を取ることが出来ました。かわゆ

それにしても、フロリダの人はこういう風に人魚と普段から泳いでいるのだな、と生活文化の違いに驚きます。
ちなみに近くの看板にアリゲーターに注意とも書いてありました。普段は魚や亀を食べるそうですが、鹿などの大型の動物にも食いかかるらしく、人間も同様だということです。アメリカ人もその標識を笑っていたので、やはりフロリダ特有の警告板なのでしょう。

さて、木で組まれた通路は木々の間を縫って更に奥に続いています。僕は薄い日差しの中、木々の香りと湿気を感じながら奥へと進みます

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それにしても、どうして木の通路ってワクワクするんでしょうね! コンクリの通路とは趣が段違い。匂いと踏んだ時の柔らかく軋む感触も相まって、冒険感を高めてくれますよね。
 
そして、5分ほど歩いて行くと、ぽっこりと穴をあけた緑の底から次々と水が湧き出ている窪地にたどり着きました。

とめどなく溢れ出る清流。さわさわとなる葉擦れの音。はらはらと落ちるカーキ色の木の葉。水面を跳ねる魚。身体を包む匂いと湿気

何だかとんでもないものを眺めているような。どこか自分の存在が薄く薄く透明になっていくような感覚を覚えます。

数分間、僕はその泉を眺めました。

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癒されるというのはこういうことを言うのでしょうね。

体の空気が入れ替わる感じ。

壮大な景色ではなかったですが、とてもいい場所です。カヤックとかシュノーケリングをしなければ、一時間もあれば十分ですしお手頃ですね。朝からとてもすっきりと、細胞に酸素が生き渡った気がします。あと、全力のかわゆも心にいき渡りました。

さて、僕は満足して芝生の上に置かれた木のテーブルに腰掛け、午後の目的地を入力します。向かう先は車で二時間。フロリダ半島を横断して西側。タンパという町です。そこにあるダリ美術館。ダリ、待ってろよ。

・ランチ:Pane Rustica (ベーカリー)

さて、一度の事故渋滞、二度の自然渋滞に巻き込まれ、予定より30分遅く着いたのは、Blue Springで調べたお昼のお店。とにかくローカル感あふれるレストランを、ということで見つけたのはPane Rusticaというベーカリーを兼ねたレストラン。細い道を通って、小さいモールの中にあるこの店は一見すると地味な外観でした。

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しかし、扉を開けてみるとびっくり。左手にはU字型のバーカウンターがあり、正面にはL字に配置されたショーケースと多くのテーブル。とても開放的でおしゃれで、活気のあるお店です。

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駐車場に立った時は、落ち着いた場所だなぁ、と思ったのですが、店内は大忙し。すでに2時だと言うのに多くの人がランチを楽しんでいました。

席に案内されることは無く、勝手に中でオーダーして食べるスタイルみたいです。入ってすぐ1分くらい待っていたのですが、視線を感じたのはそう言うことか。案の定、店員を呼び止めて聞いてみると先にオーダーしてくれとのことです。(先に言ってよ……)

初見のお店は勝手が分からずに困ることがありますが、「習うより慣れよ」ですね。調べるより行ってみるのが一番です。

前回の記事で英語の料理名から内容が想像できないと言ったのはその通り。とにかくEntreeにあった「Shut up & eat, Don't ask」(黙って食え、聞くな)という料理を頼みました。

ワクワクしながら待っていたのですが……。出てきたのがこれまた初めて食べる料理で、美味しかったんですが、表現に困る……。

豚肉、コーン、グリーンピース、ニンニクをオリーブオイルで香ばしく炒め、そこにパンプキンのダンプリング(小麦粉の皮で包んだもの)を投入、チーズをふりかけ、パンを添えたボウル、と言う感じでしょうか。

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分からないよね。うん、僕も分からない
どうやったらあれが作れるのか。舌バカだから、隠し味とか分からないし。

とにかく、美味しかったです!!(勢い)

そこでお腹を満たした僕は、お目当てのダリ美術館に行くのです。

・ダリ美術館:悔しいかな、ダリ

ダリ美術館は海に面した、立地の良い場所にありました。ヤシの木が生えていて、三角形のガラスを組み合わせて、立体的かつ球面状に配置された姿は個性的。外観だけで面白いですね。

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 (美術館外観。左側は海で良い感じのオーシャンビューです)

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(美術館の中、テラスもあってご飯も食べられます)

正直、僕は美術にも明るくないので、ダリがどんな人なのか良く知りませんでした。ヒゲの人。というイメージしかありませんでした。

ほら、細いヒゲがぴょーんってなっているような感じ。
あれが僕の中のダリです。

今回初めてダリの作品をまじまじと見ました。一部をご紹介します。

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(おしり)

館内では美術館の館員さんが定期的に無料で作品解説をしてくれていました。少し聞きましたが、凄い芸術家というのはやっぱり何か持っているものが違いますね。彼も大変だったんですね。

サルバドール・ダリ。のサルバドールというのは、ダリが生まれる前に亡くなった兄の名前だそうです。そして、ダリは自分がReplacement Child(兄の代わり)だと思って過ごしていたというのです。

父親とも仲が良くなく、ダリの作品に描かれる人物には耳がないものがあります。この人物のモチーフは父であり、自分の意見を何も聞いてくれないことが表象されているのだと話していました。

また、妻であるGalaとはずっと一緒であったが、彼女との体の関係は無かったかもしれない、とも言っていたような気がします。でも、彼女が彼の創作に必要だったのは間違いないとも言っていました。

「自分は天才だ」と豪語していたダリにもいろんな一面があったんですね。いや、そんな繊細で、ナーバスな人だからこそ人々を惹きつけられたのかもしれません。

あ、ちなみに説明の大半は理解出来ていません。僕の記載を信じるかは読者にお任せします。間違いがあれば教えて下さい。僕も助かります。

こういう時に、英語力の無さを痛感しますね。やっぱり、理解と知識というのは芸術作品でも何でも物事を楽しむための必要な土台だと思います。無くても楽しめますが、あったほうがより良い。

勉強が楽しい、という感覚はこういう所から来ているのだといつも思います。というか、人は何のために勉強するか、というと、仕事に有利だからでも、良い大学に行くためだからでもないんですよね。

楽しむために勉強が必要なのです。
というよりも、楽しもうとすると自然に勉強しているのです。

スポーツも一緒ですよ。上手くなるために理屈を理解して試してみる。そして出来るようになる。上手くなる。この過程が楽しいんです。

体を動かすこと自体も楽しいですが、もう一歩踏み出して、出来なかったことが出来るようになる感覚。これがたまりません。(だから、僕は今、スノーボードにハマっているのですね)

世の中には僕には到底理解しきれない量の知識で溢れています。だからこそ、生きているだけで楽しかった子供時代を過ぎてしまった僕には、物事を楽しむために、これからを楽しく生きていくために、勉強が必要なのだと思いました。

話が逸れましたが、僕はダリ美術館に行って強く思ったことが一つあります。

 

ダリ、イケメンだな!!


以上です。

「中身がない」という批判はダリにして下さい。彼がかっこいいのが悪い。というかずるい。悔しいかな、ダリ。

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