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英語の授業における表現活動の再考

英語科の授業で行われるの表現活動というのは,たいてい以下のようなものでしょう.

  • 自己紹介

  • 1年間の思い出

  • 3年間の思い出

  • スピーチコンテスト(あるテーマに関する自分の考え)

英語の授業における表現活動(アウトプット活動)の内容に目を向けると、以下のような「日本語」になることが多いかと思います。

私の名前は〇〇です。
私は15歳です。
私は△△出身です。
私の好きな食べ物は▢▢です。
私は✕✕を飼っています。とてもかわいいです。
私には兄が1人います。
彼の名前は◇◇です。
彼は18歳です。
彼は大学生です。

このような形になることがあります。
段落もなければ、単文で構成されており、日本語にすると小学2,3年生にも満たない程度でしょうか。

私自身が英語を教える人間で,作文において10代に足りないものは何かを考えていたところ,構成力,語彙力ではないのではないかと思うようになってきました.

文章内の彩りが不足している

「言葉の彩り」とは形容詞,副詞.特に形容詞のことを指しています.

100人に「花」を頭の中に思い描いてもらうと,チューリップもいれば,たんぽぽもいれば,ダリア,ひまわり,さくら,マーガレット,マリーゴールド,バラ,カーネーション,椿などなど,皆が異なる花を想像する可能性が高いです.

そこに「黄色い花」と形容詞を加えると,菜の花かな,ひまわりかな,菊かな,マーガレットかなと狭まってきます.

では,「夏に咲く黄色い花」となるとほぼひまわりになるかなと思います.

つまり,この形容詞や副詞の働きは,アウトプット側とインプット側のイメージを合致させる動きが生まれるということです.

では,先ほどのスピーチ例のように,自己紹介や夏休みの思い出の違和感や稚拙感はこのような「彩り」が失われているからです.
自己紹介であれば,
・話者がどのような中学生なのかわかりにくい
・話者のお兄さんは年上ということはわかったが,どんな人物なのかはわからない

思い出においても
・「きっと話しているのだから楽しかったのかなと想像するけど,あれ,ご飯はまずかったって?じゃあ楽しくなかったのかな.どっちかな」
・行った場所はわかったけど,景色のイメージがつかない
などというように聞き手は混乱をし,想像に自信が持てないので,段々想像するのをやめていきます.
すると,「ふーん」という姿勢になっていきます.

このような表現を私は「殺風景」や「事務連絡みたいだ」と言っています.

では,「彩り」をどう加えるかは先述したように,形容詞や副詞を意識的にふんだんに入れていくことが大事だと思っています.
たとえば,お兄さんの話なら「優しい」「怖い」「怒りっぽい」「サッカーが上手」「見た目によらず料理がうまい」などを入れると,話者の「お兄さん像」が聞き手に作られていきます.
思い出でも,金沢の市場に行ったときに「観光客が多く,店の人たちが大きな声で『いらっしゃい!』と言っていたので賑やか活気があった」「魚は知っているものも知らないものもあった.そのうち知らない魚を食べてみたが,コリコリしていて味は淡白だった.けど店のおじさんが新鮮な魚はそういうもんだと言っていたので,東京で食べる魚との違いがわかった」などと入れていくと市場の様子が想像できます.

中学生に「たくさん書こう」というと箇条書きになって,まさに事務連絡な思い出スピーチになりがちです.
そのため,品詞を理解できた頃に,スピーチに形容詞や副詞をふんだんに入れてみようとヒントを与えていくとスピーチ内容は良くなっていくのではないでしょうか.

ぜひ,アウトプット活動の一助にしていただけると幸いです.

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