これからの社会に適応できる子どもの育て方②無人化
ウサギ仙人(ウ仙)からこれからの社会に適応できる子どもの育て方を伝授してもらっていた亀子であったが、
ウ仙「コロナによって、社会が変化したことの2つ目は無人化ということじゃな」
亀子「たしかに無人の餃子屋さんをよく見るようになりましたね」
ウ仙「餃子屋に限らず、飛行機の荷物を預けるところやホテルのチェックインアウトなど、完全に機械任せで対人接触のなくなったものがたくさんあるな」
自動化そのものは時代の流れ
ウ仙「わしらが子どもの頃は、デパートに行くとエレベーターを操作するエレベーターガールという女性がいた」
亀子「この男女共同参画社会の現代だと、『~~ガール』なんて呼び方はご法度ですけどね」
ウ仙「電車の切符を切る駅員がいたが、それもすべて自動改札機になってしまったのぅ」
亀子「最近は駅員がいない駅すらも出てきていますね」
ウ仙「考えてみれば、自動化そのものは時代の流れじゃということじゃな」
コロナ禍で進んだキャッシュレス
ウ仙「コロナでウィルスキャリアになりやすいお金のやり取りをなくすために、日本ではキャッシュレス社会が進んだのぅ。北欧なんかは、コロナ前から基本的にはクレジットカード精算が浸透していて、現金での精算がずいぶんと減っておったが、日本はまだまだ現金社会じゃったけどな」
亀子「最近はpaypayのような電子マネーでの支払いも増えてきていますね」
ウ仙「スーパーやコンビニでもセルフレジが増えていて、どんどんキャッシュレス精算になっておる」
亀子「商品のバーコードを読んでくれない時は店員さんに来てもらわないといけないから、余計に時間がかかるんですよね」
無人機相手でも人間相手でもコミュニケーションをとる人が社会で生き残る
ウ仙「出張に行くときに空港バスに乗ると、降りる時に運転手が挨拶をしてくれるんじゃよ。『ご利用ありがとうございました』とな」
亀子「運転手さんは全員に言ってますね」
ウ仙「ところが降りる客の中には、運転手に挨拶をしている人とそうでない人がいるんじゃ」
亀子「世の中いろんな人がいますものね」
ウ仙「羽田空港や伊丹空港みたいな大きな空港だと、同じバスから降りた客はみんなバラバラの飛行機になるんじゃが、秋田空港や高知龍馬空港のように便数の少ない空港じゃと、バスから降りた客はみんな同じ便に乗るんじゃよ」
亀子「何の関係があるんですか?」
ウ仙「飛行機に乗るには、荷物検査があったり、搭乗口で席の印刷されたシートを手に取ったりするんじゃが、バスを降りる時に礼を言う客は、その時も礼を言うし、バスを降りる時に挨拶しない客はずっと挨拶しないんじゃよ」
亀子「そんなことバレちゃうんですか?」
ウ仙「わしも全員にアンケートをとったわけじゃないけどな、飛行機内で乗務員に対してもコミュニケーションをきちんととれているのは、礼を言う客で、乗務員に不遜な態度をとっているのは挨拶しない客なんじゃよ」
亀子「一事が万事と言いますね」
ウ仙「おそらく運転手や空港の地上係員に礼を言う人は会社の中でもそれなりのポジションにいる人だと思うし、挨拶しない人は会社の中でも嫌われている人なんじゃないかと思うんじゃよ」
亀子「挨拶しない人は、『運転手や乗務員を人間ではなく機械のように考えている』ということですかね」
ウ仙「まぁそれに近いが、コミュニケーションに長けた人は、たとえ自動販売機から商品を買っても『サンキュー』と言ったりしているな」
人間相手でも無人機相手でも尊厳を大事にする
ウ仙「ドイツの哲学者カントがこんな言葉を残しているんじゃ」
亀子「どういう意味ですか?」
ウ仙「サービスを提供する人にも尊厳はある。機械相手のように尊厳を無視するようなことはいけないということなんじゃよ」
亀子「『お客様は神様』ではないということですね」
ウ仙「そうことじゃ。逆に言えば、人間が相手でも無人機が相手でも挨拶して尊厳を大事にする人間が生き残れるということじゃ」
亀子「なるほど。ウサギ仙人様は哲学者のような考えをしていますね。息子にも、人でも無人機でも挨拶することや御礼を言うことをしっかりと伝えたいと思います」
こうして亀子はレベルが上がった。
無人化社会が進んだとしても、コミュニケーションをとることを決意した。
(つづく)
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