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シンガポールでSTAY@HOME 11月14日(月)通算952日目 イエロー(DORSCON)203日目

シンガポールで採用されている警戒レベルDORSCONが、新型コロナウイルスの流行以降、2年ぶりにオレンジ色から黄色へと4月26日に変化しました。また、ワクチンが完全接種であれば、入国に検査と隔離も免除となり、一層かつての生活に近づいてきていることを実感します。
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11月14日(月)通算952日目 イエロー(DORSCON)203日目

 文部科学省が、図書館に対して拉致問題に関する書籍を充実させるよう連絡していたらしい。Twitterで流れてきて今になって知ったが、8月末の出来事でそれに対する図書館の反応も10月に発表されている。ただ、依頼の撤回はされていないようだ。

 連絡したのは文科省と書いたが、元々は内閣官房拉致問題対策本部が特定失踪者家族会から要請を受けたとのこと。図書館の拉致問題に関する書籍を拡充して欲しいとのことで、対策本部が文科省に協力仰いだそうだ。流れがどうであれ、図書館に対して国がこういった依頼や連絡をすることは、あってはならないと思っている。

 断っておくと、拉致問題がどうでも良いと言いたいのではない。長年解決しないことに対して、もやもやするのも事実だ。しかし、図書館は政府の要請を鵜呑みにして書物を揃える機関ではない。それは「図書館の自由に関する宣言」の中に「個人・組織・団体からの圧力や干渉によって収集の自由を放棄したり、紛糾をおそれて自己規制したりしない」明記されている。

 政府からの連絡を無視すれば良い、との考え方もあるとは思うが、自発的に拉致問題の本で特設コーナーを設けようと思っていた図書館も、依頼があっては素直に実行できない。連絡の存在に判断が振り回される以上、それも一種の干渉になると言えるはずだ。そのような事態になれば、政府が国民に理解を深めて欲しかったはずの拉致問題は意図と反対に縁遠いものになりかねない。

 図書館学を勉強した経験があるため、今回のニュースには衝撃を受けた。ただ、文科省から連絡をした人を含めて図書館の歴史や立ち位置を知らないと思われる人にとっては、何が問題なのか分からないのだろう。新型コロナウイルスの流行で行動範囲は狭まり、物理的に見える世界は狭まった。しかし、幸いにしてインターネットや、それこそ図書から知識を得ることは可能だ。この件を通して、自分に知識の欠落があることを自覚することの重要性を再確認している。

参考文献
日本図書館協会「日本図書館協会の見解・意見・要望」(2022年11月14日12時55分閲覧)
日本図書館協会の見解・意見・要望 (jla.or.jp)
朝日新聞デジタル「文科省が『図書館の自由』揺るがす依頼文 『拉致問題の本充実を』」(2022年11月14日12時56分閲覧)
文科省が「図書館の自由」揺るがす依頼文 「拉致問題の本充実を」:朝日新聞デジタル (asahi.com)

去年(2021年11月14日)の記事はこちら↓

一昨年(2020年11月14日)の記事はこちら↓

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最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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