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国語の教員免許&司書資格保持者が伝えたい!! 読書感想文攻略法(選書の具体例)

 今回は個人的に面白いと書きやすいの丁度いいバランスを持つと思う「そこそこ面白くて、そこそこ書きやすい」作品を紹介します。あくまで私の考えなので、意見が合わない場合もあるかと思います。また、ここに挙げた作品は全部私が「面白い!!」と思った作品で、後から考えてみたら読書感想文にもなれそう、と感じたものです。読書感想文から既に解放されている人も、ぜひ手にしてみていただけると幸いです。
 
 小学校低学年、中学年及び高学年、中学生、高校生に分けて紹介します。
 

〇小学校低学年におすすめ
齋藤孝「齋藤孝のイッキに読める!小学生のための芥川龍之介 新装版」
 
 小学生低学年を考えてはみたのですが、習熟度の観点からどういった本を読むのか今一つ分かりませんでした。ただ、調べた中では上記の図書が「①超有名な文豪の作品はおすすめ」と「②課題図書は避ける」に合致しているため、良さそうだと判断しました。本自体の確認ができていないため、文字の大きさや挿絵の数といった点は分かりませんが、以前おすすめした「魔術」は収録されています。「齋藤孝のイッキに読める!」はシリーズになっており、学年別にも販売されているようなので、こちらも良いかもしれません。

~「魔術」で読書感想文を書く際に良さそうなテーマ~
・魔法
(例:魔法が使えたら何がしてみたいか、魔法が使えたら良かったのにと思った経験)
・忠告を無視したこと
(例:親の注意を無視して包丁に触って怪我をした、先生の話を無視して迷子になった)
・外国の人
(例:外国の人と話した経験、外国に旅行に行ったときのこと)
・ゲーム
(例:友達の手札をのぞき見して勝ったことがある、ゲームはいつも負けるから嫌い)
・物の貸し借り
(例:借りっぱなしになっている文房具を思い出した、親の本をこっそり持ち出した)
 

 〇小学校中学年及び高学年
 今回の記事を書くにあたって、最も考えた年齢層です。後述する中学生や高校生は以前紹介した作品がありますし、インターネットで公開されている青空文庫も読めると思います。しかし、旧字体の作品が多いこともあり、小学校中学年及び高学年には恐らく読みづらいと判断しました。

 今回は3つの作品を紹介します。本当は低学年同様に①と②の両方に合致している作品にしたかったのですが、文豪の作品で読みやすく出版されている物が少ないと分かったため、②以外合っていない結果となっています。ただ、面白さと書きやすさの塩梅に拘って選んだのは事実です。また、3作品ともシリーズの1巻なので、面白いと感じたら続巻を楽しむこともできます。
 
 
アルフ・プリョイセン、大塚勇三訳「小さなスプーンおばさん」 ※小学校中学年向け


 その昔、アニメとして放映されていた時期があるので、知っている人や観たことがある人も居るかもしれないです。その名の通り、おばさんがティースプーンくらいのサイズになって奮闘する話となっています。登場人物は1冊を通して同じですが、連作短編の形式になっているので、もしも1つの作品に途中で飽きてしまった場合でも、違う話を読むことが可能です。
ハードカバーということもあり、厚みは薄いと言い難いですが、イラストはほぼ毎ページあるので、絵が読むモチベーションに繋がるタイプの人には読みやすいと思います。
~「小さなスプーンおばさん」で読書感想文を書く際に良さそうなテーマ~
・動物
(例:飼っている動物のこと、学校で飼育している動物について)
・家族
(例:家族に内緒にしていたこと、家族との思い出話)
・トラブル
(例:宿題を忘れた、電車に鞄を置いてきた)
・家事
(例:皿洗いを手伝ったこと、片付けが苦手なこと)
・クリスマス
(例:クリスマスの思い出、クリスマスプレゼントにもらった物)
 
 
斉藤洋「ルドルフとイッパイアッテナ」 ※小学校中学年向け


 いつだったか映画になっていたと記憶しているので、名前は知っている、という人も多いかもしれません。内容としては、魚屋に追いかけられてうっかりトラックに乗った猫のルドルフが、岐阜から東京に出てイッパイアッテナという猫と知り合い、故郷に帰ろうとする話です。
 ハードカバーの本で短編ではないため、少しハードルを感じる人も居るかもしれません。先ほどの「小さなスプーンおばさん」より厚みもあり、イラストも少な目なので少し難しい可能性はあります。ただ、時折ある挿絵以外にも各章に小さなイラストが付いており、話の内容が想像しやすい工夫もあります。
~「ルドルフとイッパイアッテナ」で読書感想文を書く際に良さそうなテーマ~
・猫
(例:飼い猫のこと、近所にいる野良猫のこと)
・友達
(例:最初に会ったときに感じたこと、公園で遊んで面白かったこと)
・勉強
(例:漢字の勉強が嫌い、勉強よりもテストが嫌)
・旅
(例:祖母の家に遊びに行ったこと、家族旅行にいったこと)
・選択
(例:友達との遊びがタブルブッキングになった、宿題すべきか遊んでしまうべきか)
 
 
はやみねかおる「そして五人がいなくなる」 ※小学校高学年向け


 児童文学を多く発行している青い鳥文庫のシリーズの第1巻で、世代によっては読んだことがある人も居ると思います。主人公の家の隣りに名探偵を名乗る男が引っ越してくる所から、物語は始まり、誘拐事件に巻き込まれるという話です。
 裏表紙に「高学年から」と書かれているだけあって、ファンシーな表紙に反して文字量は恐らく先に紹介した2冊よりも多いです。また、挿絵の分量も他2つに比べて少な目です。ただ、かなり面白い作品なので興味が続けば、中学年でも読めると推測しています。
 
~「そして五人がいなくなる」で読書感想文を書く際に良さそうなテーマ~
・兄弟
(例:兄弟喧嘩した、兄弟との思い出)
・習い事
(例:塾で遊ぶ時間が減ったこと、憧れていたピアノを習い始めたこと)
・夏休み
(例:遊びに行った思い出、宿題が多くて困る)
・遊園地
(例:ジェットコースターが好き、初めてディズニーランドに行った)
・利き手
(例:左利きでハサミが使いにくい、箸の持ち方が覚えられなかった)
 
 
〇中学生
芥川龍之介「猿蟹合戦」

 
 中学生は児童書を読む人も居れば、大人の小説を読む人も居ると思います。学年や普段の読書スタイルによっても異なる部分が他学年より多いと推測するため、小学生向けの作品や高校生向けとして紹介しているものも参考にしていただけると幸いです。
 芥川龍之介「猿蟹合戦」に関して言えば、以前も紹介したように昔話の「猿蟹合戦」の後日談の短編になっています。猿に対する復讐はやりすぎだったのではないか、ということで裁判にかけられる話です。芥川龍之介の作品が収まっている文庫だけでなく、青空文庫でも読めるため、気軽に手に取ることができます。
~芥川龍之介「猿蟹合戦」で読書感想文を書く際に良さそうなテーマ~
・昔話
(例:印象に残っている話、嫌いな話)
・動物
(例:動物園で見たサル、海で見たカニ)
・裁判
(例:裁判員制度に行った母、学級裁判)
・許せること、許せないこと
(例:兄弟にプリンを食べられた、母に約束を反故にされた)
・理不尽
(例:良かれと思ってやったことが裏目に出た、自分の行動が思わぬ反感を買った)
 
 
〇高校生
坂口安吾「アンゴウ」


 
 以前紹介したように、坂口安吾「アンゴウ」がおすすめです。ミステリーのわくわくと書きやすさが、良い塩梅の短編小説になっています。インターネットの青空文庫にあるので、すぐに読めるのも嬉しいポイントです。詳しくは記事を参照していただけると嬉しいです。

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