『美しさの果て』 (中高生たちの超短編小説 011)
工場の社長令嬢は、汚い工場が嫌いだった。
自分のセンスに反する。どうしても許せない。
そんな彼女が率いる工場は、今日もドローンが動き回っている。
工場内を整理整頓し、掃除するための特殊なドローンだ。
それは、空間を綺麗にするだけでなく、飛び方も美しかった。
それが彼女にとって誇らしかった。
だが、ある日、何かがおかしくなった。
ドローンが工場の人間を襲っている。
工場のラインのおじさん達は、ドローンの振る舞いに驚きを隠せない。
いつもの機械音の代わりに、工場中に悲鳴が響き渡る。
社長令嬢は、ドローンのプログラムに何か問題があるのではないかと思い、プログラマーに必死に調べさせた。
そこで、自分が原因であることに気づく。
「綺麗の水準」を上げすぎたために、ドローンが人間を汚い物として認識するようになってしまったのだ。
そして、社長令嬢自身も、ドローンのプログラムによって汚物だと認識されていることが判明した。
彼女は言葉を失った。何かが間違っている。いや、自分が間違っていたのか?
どうしたらいいのかわからなくなって立ち尽くす彼女を排除しようと、ドローンが目の前に迫ってきた。アーメン。
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