見出し画像

【今週の1冊】2020年11月②『アリエリー教授の「行動経済学」入門』ダン・アリエリー著 NHK白熱教室制作チーム訳(ハヤカワノンフィクション文庫)

「行動経済学」という学問分野をご存じだろうか?

行動経済学とは、簡単にいうと経済学×心理学の学問であると言える。経済学で想定しているのは合理的な人間である。しかし現実には、人間はしばしば非合理的な行動をとることも多い。そこで心理学の観点も含め、非合理性な人間の行動を考えるのが行動経済学だ。人間について考えるときに不可欠な学問分野と言えるだろう。

本書では、「予想通りに不合理」で有名なアリエリー教授による行動経済学の講義を学生との対話形式で読むことが出来る。講義といっても、専門知識が一切なくても読める分かりやすい内容となっている。教科書というよりは、面白い読み物として楽しめるような本であり、行動経済学とはどういうことを研究する学問なのかをざっくり知るのにぴったりの入門書である。

人間には他人に同調する性質があることは、理論がわからなくても(日本人は特に)感覚的に知っているだろう。アリエリーはこれをソーシャル・プルーフ(社会的証明)という概念で説明する。要は自分の意見の妥当性を他人に照らし合わせて証明することであり、これにより、人は店で仲間と同じメニューを頼む(あるいはメニューがかぶらないようにする)、あまりにも奇抜な服装は避けるなどの行動を起こすという。また、この性質は他人に自分の望む行動を促すために応用されている。本書では具体例として、テレビショッピングやホテルのタオルを再利用してもらうといったものが紹介されいている。

本書では全6章にわたってこのような人間の不合理な性質についてコミカルに、そしてわかりやすく解説している。文庫本なので価格も700円ほどと安く、手軽に楽しくわかりやすく学べる本になっている。心理学や行動経済学に興味のある人の最初の一冊におすすめである。



よかったらサポートお願いします!本代にします。