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浅蘇芳
2020年11月17日 10:03
父と電車に乗って海へ向かっている。 海につくと父はどこかに行ってしまうが、帰りの電車は同じ車両に乗っている。 父はいつも無言だった。 そんな夢をみるようになったのは、父が亡くなってからだ。あるとき、父は私に言った。
2020年11月16日 17:48
太ももの内側の敏感な部分に、口づけをされた。その皮膚のあたりが、赤く腫れている。彼女は、私が油断して開いた足の間に近づき、口でそこをそっと吸い上げた。そして、そのまま去っていった。何も言わずに。私は今、悩ましく残った赤い跡に悶え、もどかしさを覚えている。そう、彼女は蚊。11月になっても、まだいるのだ。キンカンは刺激が強すぎるので、パーフェクトポーションのアウトドアバーム
2020年11月10日 10:00
ぼくは隣のお姉さんが好きだ。まだ幼っかったときに、お姉さんに言ったんだ。「ぼくは大人になったら、お姉さんにプロポーズをするよ」お姉さんは笑って受け流していたが、ぼくは真剣だった。***しばらくすると彼女は、東京から来たという男と一緒にいた。男にはすでに妻子があったが、どうどうと彼女を彼の隣の家に住まわせた。ぼくはなんであんな男と一緒にいるのか、彼女に聞いた。「あたしね、
2020年11月9日 20:02
私は毎晩待っている。部屋の片隅でじっと。今夜もあの人は来ないかもしれない。でもやっぱり待ってしまう。ため息が糸を揺らす。やっと誰かが来たみたい。胸がちくちくする。けれど、今夜訪れたのは待ち人ではなかった。もう、耐えられない。その晩からは毎日違う人が訪れ、私はそのすべてを受け入れた。でもやっぱりあの人は来ない。胸のちくちくは増すばかり。そして今夜は誰も