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【お知らせ】8/24&25の2日間、三重・津の HACCOA で夏期特別講座を行います

2024年8月24日&25日の2日間、三重・津の HACCOA(HIBIUTA AND COMPANY COLLEGE OF ART) で夏期特別講座をおこないます。

テーマは「境界線のかたわらで——10冊の本を読む」。編集者になる前の学生時代に読み、人生が変わるほどの大きな衝撃を受けた本を紹介します。「越境する世界文学」につらなるこれらの本を読む時間がなければ、サウダージ・ブックス編集人としてのいまはなかったと思います。

今回の講座では、そんな10冊の本との出会いについて語りながら、参加者の皆様とともに、そこに記された大切なことばを分かち合いたいと思います。ぜひご参加ください。

《この講座では、講師が30年前の若き日に出会い、長いあいだ読み続けてきた10冊の本を紹介します。詩、小説、エッセイ、批評……。いずれも、サウダージ・ブックスの編集人として「本当に大切なもの」と考え、未来に伝えたいと願う著作です。

「グローバル化」ということが言われ始めた1990年代、日本の言論界に「クレオール主義」の思想が登場しました。これは、植民地主義以降の世界における移住・混血・多言語使用の歴史と経験に焦点を当てた文化批評のヴィジョンで、国家・民族・言語へのアイデンティティ意識を再考し、解放的な人間像を提案するものでした。「クレオール主義」は同時代の文学や思想に影響を与え、「越境」というキーワードとともに活発な議論がおこり、数多くの関連書が出版されました。一連の越境論は「日本」「日本人」「日本語」の内部にあるさまざまな境界線を可視化し、多様な世界や他者とのコミュニケーションを探究する知の運動だったと言えます。

この運動において画期的な著作とされる今福龍太『クレオール主義』(青土社、1991年)をはじめ、境界線のかたわらで考えること、生きることをうながす文学や思想の本をともに読んでみましょう。戦争、疫病、異常気象の現実に直面し、憎悪と不寛容の空気が蔓延する暗い時代において、これらの著作の重要性はますます高まっていると思います。

研究会や勉強会のような、難しいことはありません。学問的・歴史的な予備知識をいっさい前提とせず、いまここで出会った「ことば」 がみずからに問うものを一人ひとりが心身で受け止め、分かち合う場です。発言しないで聞いているだけでも大丈夫です。どうぞ気軽にご参加ください。》

境界線のかたわらで——10冊の本を読む
アサノタカオ(サウダージ・ブックス編集人)

1. 金時鐘『「在日」のはざまで』
 (立風書房、1986年。のちに平凡社ライブラリー、2001年)
2. 李良枝『由煕』
 (講談社、1989年。のちに『李良枝全集』講談社、1993年に収録)
3. 今福龍太『クレオール主義』
 (青土社、1991年。のちに増補版・ちくま学芸文庫、2003年)
4. エドワード・サイード『知識人とは何か』
 (大橋洋一訳、平凡社、1995年。のちに平凡社ライブラリー、1998年)
5. トリン・T・ミンハ『女性・ネイティヴ・他者——ポストコロニアリズムとフェミニズム』(竹村和子訳、岩波書店、1995年。のちに岩波人文書セレクション、2011年)
6. 片岡義男『日本語の外へ』
 (筑摩書房、1997年。のちに角川文庫、2003年)
7. 黒川創『国境』
 (メタローグ、1998年。のちに完全版・河出書房新社、2013年)
8. 宮内勝典『ぼくは始祖鳥になりたい』
 (集英社、1998年。のちに集英社文庫、2001/2023年)
9. J・M・G・ル・クレジオ『はじまりの時』
 (村野美優訳、原書房、2005年)
10. 津島佑子『ジャッカ・ドフニ——海の記憶の物語』
 (集英社、2016年。のちに集英社文庫、2018年)


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