【小説】牛島 零(7)

食い違い

「根尾って誰?あの時いたのは下村ただ一人だったじゃない」

ん?おかしい。

「お前大号泣だったじゃん。だから覚えてないんだよ」

「いや一人だったって」

頑なに美咲は二人だったことを否定する。

「じゃあいいよ。僕が助けたってことで」

「うん」

二人で犬が落ちた橋の方向を見る。

「ちょっと待てよ。お前が僕に話しかける理由ってそういうこと?」

「そういうことってどういうことよ」

「いや、だから僕がいつも一人でいるときに話しかけてくれる理由って」

「は?そんなこと考えながら話しているとでも思った?お前、がちでバカだろ」

僕は美人から暴言を引き出すことに成功した。

 なぜだか、少しだけ安心した。それから少し話した後、解散し家へ帰った。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?