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SXSW攻略法①(2022年)-メディアの将来像を探りに

SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)ってご存じですか?

テキサス州オースティンで毎年3月に開かれる、起業やIT、メディア、映画、音楽などの”祭典”です。世界中からありとあらゆる新しいアイデアやヒントが集まり、意欲を持った多くの人たちが旬のテーマでセッションしたり交流したりするイベントです。AirbnbやTwitterもSXSWをきっかけに有名になり、急成長を遂げました。

これは2022年に初めてSXSWに参加した時の記録です。「攻略法」などと偉そうですが、私の個人的な感想も含めて記しました。行く前の準備等でご参考になれば幸いです。

何年も前から「行きたい!!」と熱望していて、留学中の2022年にようやく訪れることができました。コロナで2020年は中止、2021年はオンライン開催だったので、リアル開催は3年ぶりの復活。私もですが、SXSWも満を持しての開催でした。


とうとう来たよ~SXSW!

SUの教授が、自分のクラスの学生たちを引き連れて参加するのでそこに便乗することにしました。この教授はスタートアップや新しいメディアの手法などが専門で、人柄も教える内容も大好きな尊敬する御人です。

現地では各自、自由行動ですが、唯一のルールが毎朝のミーティングに全員参加すること。ホテルで朝食を一緒に食べながら、前日にどのセミナーに参加しどんな人に会ったか、何を得たか、今日は何を見る予定か、などをそれぞれ報告しあいました。SXSWのセッション数は膨大な数がありとても一人では把握しきれません。参加してる学生の趣味嗜好もバラバラなので、必然的に興味があるセミナーも多種多様。このミーティングのおかげで「そんなセミナーもあるんだ」と知ることができたり、友人が参加したセミナーの様子を後から教えてもらったりすることができ、とても有効でした。

以下、SXSW参加前に行った作業です。

【目的・興味のあるジャンルを明確に。テーマを絞り、参加したいセミナーを選ぶ】
SXSWにはさまざまな分野のスタートアップ、メディア、医療(ヘルスケア)、音楽、映画、IT…ありとあらゆるジャンルが集結。共通しているのは「新しい価値を見つけたい、生み出したい、伝えたい」ということ。開催期間も長く、セッション数も膨大です。漫然と参加してたらやたら体力を消耗するだけなので、まず「参加する目的」と「興味のあるセミナー」を明確にしました。SXSWのアプリをインストールすると、開催セミナーがすべてアップデートされ、オリジナルのスケジュールも作れるので、それを見ながら興味あるイベントをどんどんチェックしていきます。

参加の目的。私の場合は、
●メディアの将来など、関心のあるテーマについてのヒントを得る。
●起業家やメディア関係者、その他「未来」に向けて動いている多くの人と知り合う。
です。

とはいえ、SXSWそのものがあらゆる分野の「将来像を描く」場なので、合致するものがあり過ぎて選びきれない!

絞りに絞って参加した主なセミナーの題名は、ざっとこんな感じです。
「Women in Product Innovation in Newsroom」
「Next Big Thing in Media」
「Advertising Role in Credible Journalism」
「Does AI Eliminate Bias? 」
「Next Generation of News」…
見ただけでもう、わくわくしませんか?笑

登壇者もNYタイムズなどのアナログからネットまで大手メディアの幹部、著名ジャーナリストやインフルエンサー等々、キャリアも発言も興味深い人たちばかり。現状を赤裸々に語り、問題意識を共有し、今後どうしたらよいかをともに探っていく。セミナーはほとんどが30分~1時間なので、その時間で答えを出すのはとても無理ですが、実績のある人たちの熱い議論は学びも多く、自分自身もここに参加したい!と切実に思いました。


さまざまな形態のメディアの中枢を担う女性が集まったセミナー。
いろんな意味で勇気づけられる。

そして、テーマやジャンルに当てはまらない、面白いセミナーも多い。たとえば、たまたまふらっと顔を出したセミナーの題名は「From Prison To Programming」。刑務所内でプログラミングを学び出所後にそのスキルを活かして起業した元受刑者と、受刑者にプログラミング教育を提供することで更生を支援する団体関係者が登壇し、経験談を話していました。

どんな状況に陥っても「復活しようという意志と機会、手段」があれば何度でもチャレンジできるのだということと、そのチャレンジを許容し応援する社会があるということを知ることができ、深く感動したセミナーでした。時間がなくて最後までいられず、直接彼らと話ができなかったのが今も悔やまれます…


ITは本当にいろんな人をいろんな方法で救うことができるかも。

その他、「Music as a tool for healing(ヒーリング手段としての音楽)」というセミナーも、心理学者らが音楽が脳に及ぼす影響を深堀りしていておもしろかったし、「Upgrade your brain(あなたの脳をアップグレード)」!!という題名のセミナーでは終始、全員が掛け声とともに体操のような動きをさせられたり、隣の人と組んでゲームをやったり、大の大人が幼稚園に放り込まれたような状況で楽しかったです笑 これは、体の動きが脳の働きを加速させるというのを体感するためでした。この時となりにいたのは、弁護士と、幼稚園で働く心理士。私が普段軸足を置くメディア分野以外の人たちとこうやって仲良くなれるのも、SXSWの面白いところです。


講師の掛け声に合わせ、全員が”お遊戯”のように体を動かしました。

一件、てんでんばらばらのテーマやセミナーに参加したようですが、今こうやって振り返ってみると、あらゆるものが「connect」というテーマで共通していたし、それが私が最も興味があることなのだな、というのがわかります。

「”つながりたい”というのは人間の本能だ」と、音楽のセミナーでも言っていました。メディアが読者とどうつながるか、他人や社会とつながっている実感を得るためにメディアに何ができるのか…視点も切り口もバラバラだけど、だからこそ何か新しいアイデアが生まれるのでは、と思います。こうやって「新しい視点が交錯することでまた新しい何かが生まれる(intersection of diverse perspectives) 」ことこそが、SXSWの醍醐味だと思います。

あと、メディアに関するセミナーをはしごしてみて、アメリカのメディアはどうすれば「minority/diverse voice」をサポートできるか、というのを真剣に考えているのも印象に残りました。「minority owned media」がない、と嘆く人も。minority voiceをサポートするのはメディアの根本・普遍的役割ですが、日本のメディアはそれができているだろうかとハッと考えさせられます。そして、それを実現するためにminority owned mediaが必要と考えるのも新鮮でした。そのアイデア、広げたい!

SXSWは会場も複数のホテルやコンベンションセンターにまたがり行き来するのは大変だけど、なんとなく気になるテーマを見かけたらとにかく顔を出すことをおすすめします!

【興味のある人にはとにかく声をかける】
セミナーはほんとに膨大な数が毎日、開催されます。興味のあるセミナーが時間帯が重なっていることも多いので、つまらなければさっさと見切りをつけ、別の部屋に飛び込むべし。ただ、私はパネリストとconnectionを作るのも目的だったので、セミナーが終わったら必ず登壇者に話しかけるようにしていました。質問がなくても、話しかける言葉が何も浮かばなくても、「とりあえずHi!って伝えに来たの」とでもいいから話しかける。できればセミナーのどんな点に感銘を受けたか、自分がなぜここにいて何を目指しているのかとにかく話して自分を印象づけ、LinkedInなどのSNSでつながる。

他にも登壇者と話したい人は多いし、知らない人といきなり話すのは躊躇するかもしれない。でもとにかく声をかけ、相手に自分のことを「知って」もらうのです。


普通のビジネスカンファレンスと違い、本当に多種多様な参加者がいます。

私の友人(undergrad、院生ではなく学部生です)はこのやり方で、なんとその場でインターンシップの約束をゲットしていました!

でもこれは本当に稀なケース。通常は、きっとすぐには効果は表れない。でも将来、何が形になるかわからない。だからその時のために、せっせと「種まき」するようなイメージです。

SXSWでは、セッション外でも素敵な出会いがたくさんありました。

②に続く…

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