高口朝子(Asako Takaguchi)

40代後半で報道記者職を休職、米国NY州Syracuseの大学院に留学。マルチメディア…

高口朝子(Asako Takaguchi)

40代後半で報道記者職を休職、米国NY州Syracuseの大学院に留学。マルチメディア、ジャーナリズム、起業を学びつつ50カ国以上の友人たちと交流を楽しんでいます。Fulbrighter。選択肢は自分で増やし”前例踏襲”ではない人生を。Think outside the box!

最近の記事

なぜ、その専攻なの?-"Think Outside The Box!"を身に着けよう

前回は、私が学んだコース「New Media Management」の授業をご紹介した。 そもそも、なぜ、このコースなのか? 今回は、留学をした理由でもある、このテーマを選んだ経緯についてお話します。 留学を決めるまで、私は大手メディアで記者として働いていた。とても忙しいが、やりがいもある仕事だ。特に、自分で興味のあるテーマを自分なりの切り口で掘り下げて取材したり記事を書いたりすることができる仕事をするようになってからは、裁量の大きさも含めて本当にやりがいを感じていた。

    • SUで学んだことー「New Media Management」のご紹介

      そういえば肝心の、留学で何を学んだかという話を今までしていなかった笑 今回は、私がSU(Syracuse University)でどんなことを学んでいたか、についてのお話です。 私が通ったのは、SUにあるメディア系大学院「S.I.Newhouse School of Public Communications」、通称ニューハウス。学んだコースの名前はNew Media Managementという(現在はAdvanced Media Managementに改称)。ちなみにN

      • 留学生の住宅事情④ーSubletとSublease

        前回から間があいてしまいました、すみません💦 留学生の住宅事情で、subleaseとsubletについてのお話の続きです。 留学中に、インターンのために一定期間、他都市に行ったり、夏休みで一時帰国したりなどで、その時住んでいる家を数か月間、空けることもあると思う。 そんな時、そのまま自分の部屋を残していてもいいけど、家賃を払い続けているのに空けたままなのはもったいない。少しでも学費の足しもほしいし。 そんな時、sublet(sublease)、ようするに自分の部屋を「

        • 留学生の住宅事情③ー住居をシェアするとは

          前回「ハウスメイトはアフガン人」で触れた住居の話を、もう少し詳しくしますね。 留学をして、周りからの質問で多いのが「どんなところに住んでいるの?」。 確かに、家探しの方法から、どんな部屋(家)があるのか、どんな条件で探せばよいのか等々、海外ではどんな状況なのか興味ありますよね。 家は大事。毎日過ごす場所だし、留学の一番の目的である勉強も落ち着いてでき、しっかりリラックスもできて、治安はよいのか、スーパーなどに近いのか…等々、考え出すときりがない。 と言うわけで、学生の住

        なぜ、その専攻なの?-"Think Outside The Box!"を身に着けよう

          ハウスメイトはアフガン人④-遠い国がぐっと身近に

          アフガニスタンという国。今まではニュースを通じてでしか、存在を感じることがなかった。そのニュースも、内戦や難民など暗い話ばかりだった。 アフガン人の友人たちと一軒家をシェアして住むことで、今まで意識していなかったことが見えるようになった。 私の友人であるBeheshta、Sadaf、Zuhal。Syracuseには彼女たち以外にも、大学で学んだり、地域で働いたりしているアフガン人が大勢いる。 彼らは、母国に帰ることができない。2021年に武装組織タリバンが政権を掌握したか

          ハウスメイトはアフガン人④-遠い国がぐっと身近に

          ハウスメイトはアフガン人③ーEidをともに祝う

          私がBeheshtaたちと一緒に住み始めた時はちょうど、イスラム教でラマダン(断食月)の終わりを祝う「イード Eid」のタイミングだった。 (ということも、後から知ったのだが…) ある時、BeheshtaとZuhalが朝からずっと台所で料理をしている。 二人がかりで野菜を洗い、大鍋で何かを煮込み…と、いつもの自分の分だけを作るのとは大違いの量だ。 「何作ってるの?」と聞くと、「イードのお祝いの食事を作っているの」と言う。普段は2人が食べない肉(羊肉)も見える。2人ともとて

          ハウスメイトはアフガン人③ーEidをともに祝う

          ハウスメイトはアフガン人②ーアフガン料理を食す

          アフガン人のBeheshta、Zuhalと一緒に住むことが決まった。 一軒家のリビング、キッチン、バスルームを私を含む3人でシェアする。自分専用のベッドルームには、大きなクイーンサイズのベッドにデスク、キャビネット、小さなウォークインクローゼットがある。洗濯機・乾燥機は地下にあるコイン式のものを使う。  ハウスメイトは2人。 BeheshtaはSyracuse Universityのロースクールを卒業したばかり。アフガニスタンでも弁護士として働き、アメリカ以外にドイツに

          ハウスメイトはアフガン人②ーアフガン料理を食す

          ハウスメイトはアフガン人①-ハウスシェアのすすめ

          「アフガニスタン」と聞いて、どんなイメージが浮かびますか? タリバン?難民?貧困や暴力の国? 私は一時期、アフガン人の友人たちと一軒家をシェアして住んでいた。上記のどのイメージとも全く違い、日本の若い女の子と同じようにおしゃれやおいしい食べ物が大好きな友人たちだ。 イスラム教についてはほんの少しの知識しか持っておらず、知らず知らずのうちに彼らの尊厳を傷つけてしまうのではないか、と一緒に住むことに不安もあった。でも結論から言うと、何物にも代えがたい、忘れられない思い出とな

          ハウスメイトはアフガン人①-ハウスシェアのすすめ

          「恐怖」を克服する方法

          留学を目指す大学生や若手社会人の方と話していて、「怖くないですか?」という質問が多いのに気付いた。  ●知らない国に1人で行って生活するのは、怖くないですか。  ●治安が悪いと聞くけど、怖くないですか。  ●選んだのが正しい道かどうか、怖くないですか。  おおよそこういう趣旨だろうか。 怖いのは当たり前だ。だって、初めてやることなんだから。「今の自分」が知らない場所に行って、今まで知らなかったことをやろうとしているのだから。 「恐怖」は未知のもの(unknown)に対

          「恐怖」を克服する方法

          「こうあるべき」じゃなく、「こうしたい」を

          先日、留学を志す若い世代の方達と話しをする機会があった。 私の留学経験は、今のところ計2回。高校時代と、20年以上仕事をした後での留学のこと、自分の経験をいろいろ話した。 やり取りする中で多かった質問が「留学のタイミングをどう見極めたらよいのか?」だ。 うん、わかるわかる…決断するのは、難しいよね。 仕事を持っていると、なかなか踏ん切りがつかないこともある。家族をどうやって説得しようと不安にもなる。 仕事のスケジュールがつかない。人手不足で今、辞められない。家族の賛

          「こうあるべき」じゃなく、「こうしたい」を

          沈黙は降伏⑥ー決着

          教授「X」の件について、再び大学側と話し合いです。大学からは副学長と、アドバイザーでもある教授。私側は、オンブズマン事務局のニールとギザ、そしてSUの大学院全体を統括する学長(大学全体の総長ではない)が同席してくれました。 なぜ、大学院の学長が同席したのか。私がお願いしたのですが、大きな目的は大学側に私が本気だと示すためです。 これは、オンブズマンのニールのアイデアでした。話し合いの場にニールたちも同席するものの、さらにパワーのある第三者に同席してもらうことで、大学側にプ

          沈黙は降伏⑤-授業ボイコット

          さてさて、その問題の教授「X」とはもう会わない(会いたくない)と思っていたのに、なんとその学期の必修科目で「3月に行われるNYCでの1週間の研修旅行だけ”X”が担当する」という予定が組まれていました。ちなみにその必修科目は、研修旅行以外は例のアドバイザーの教授が教えています。 NYCには行きたい。「X」が出てこない他の予定は参加したい(「X」が出てくるのは、1週間のうちたった半日だけ)。しかし、この事件に決着もついておらず、「X」から私に対し何の対応もないうちに対峙するのは

          沈黙は降伏⑤-授業ボイコット

          沈黙は降伏④ー頼れるオンブズマン

          友人マインダートが提案してくれた「駆け込み寺」に、すべて連絡を取りました。 ところで、大学にこんなにたくさんサポート機関があったなんて初めて知りました!人種や国籍、ジェンダーへの偏見や差別に対応する機関も複数あるのですが、それ以外にも性被害・メンタルヘルス・金銭的困窮等々、それぞれのテーマに対応する機関があります。声をあげようと決めたら、それを支えてくれる仕組みがたくさんあるのです。 「これは…声をあげなければもったいない!」とすら思いました。 できればこういうところに

          沈黙は降伏④ー頼れるオンブズマン

          沈黙は降伏③-反撃開始

          年が明け、まず学部のAssistant Dean(副学長)に連絡を取りました。 おそらくアドバイザーから今回の一件を聞いているはずだけど、改めて「××教授について、お話したいことがある。面会をお願いします」と伝えます。 この副学長とは渡米前から長くやり取りしていて、とても仲良くしていただいていました。非常に親しみやすい方で、私が抱えていた困難や私の意向等々を的確に把握して、その都度助の手を差し伸べてくださっていました。メールでお願いやお伺いをしてもいつもすぐに反応が返ってき

          沈黙は降伏③-反撃開始

          沈黙は降伏②ー迷いと恐れ

          教授との最後のメールをやり取りした後、しばらくしてccに入っていたアドバイザーの教授からメールが来ました。 アドバイザー 「見ていたけど、なかなか大変なことになったね。でも少し冷静になったら?成績なんて、卒業したら意味のない単なる記号だ。気にする必要ないよ」 はあ、このコメントには心底がっかり…教授の言動については一切ふれず、私への慰めもありません。とはいえ、アドバイザーのこの態度はある程度は想定していました。 このアドバイザーはどちらかというと「ことなかれ主義」で、ト

          沈黙は降伏②ー迷いと恐れ

          沈黙は降伏①ー怖くても、声をあげる

          ちょっと怖いタイトルになってしまいました。 今回は、留学生活で遭遇した”差別”にまつわる侮辱的対応と、それへの対応について書きます。 とても長いうえに、だいぶ私の主観や感情も入り込んでいますが、ご了承ください。 当たり前ですが人間関係があるところ、何かしらの衝突も誤解も生まれます。ある程度は仕方ないと飲み込んで前に進むことも、”大人”としては必要かもしれない。 それがわかっていても、今回は我慢できなかった。 それは、就任したばかりの新しい教授による授業でした。本人の意

          沈黙は降伏①ー怖くても、声をあげる