高口朝子(Asako Takaguchi)

40代後半で報道記者職を休職、米国NY州の大学院に留学。マルチメディア、ジャーナリズム…

高口朝子(Asako Takaguchi)

40代後半で報道記者職を休職、米国NY州の大学院に留学。マルチメディア、ジャーナリズム、起業を学びながら50カ国以上の友人たちとの交流を楽しんでいます。フルブライト奨学生。選択肢は自分で増やして、”前例踏襲”でない人生を。Think outside the box!

最近の記事

「恐怖」を克服する方法

留学を目指す大学生や若手社会人の方と話していて、「怖くないですか?」という質問が多いのに気付いた。  ●知らない国に1人で行って生活するのは、怖くないですか。  ●治安が悪いと聞くけど、怖くないですか。  ●選んだのが正しい道かどうか、怖くないですか。 おおよそこういう趣旨だろうか。 怖いのは当たり前だ。だって、初めてやることなんだから。「今の自分」が知らない場所に行って、今まで知らなかったことをやろうとしているのだから。 「恐怖」は未知のもの(unknown)に対

    • 「こうあるべき」じゃなく、「こうしたい」を

      先日、留学を志す若い世代の方達と話しをする機会があった。 私の留学経験は、今のところ計2回。高校時代と、20年以上仕事をした後での留学のこと、自分の経験をいろいろ話した。 やり取りする中で多かった質問が「留学のタイミングをどう見極めたらよいのか?」だ。 うん、わかるわかる…決断するのは、難しいよね。 仕事を持っていると、なかなか踏ん切りがつかないこともある。家族をどうやって説得しようと不安にもなる。 仕事のスケジュールがつかない。人手不足で今、辞められない。家族の賛

      • 沈黙は降伏⑥ー決着

        教授「X」の件について、再び大学側と話し合いです。大学からは副学長と、アドバイザーでもある教授。私側は、オンブズマン事務局のニールとギザ、そしてSUの大学院全体を統括する学長(大学全体の総長ではない)が同席してくれました。 なぜ、大学院の学長が同席したのか。私がお願いしたのですが、大きな目的は大学側に私が本気だと示すためです。 これは、オンブズマンのニールのアイデアでした。話し合いの場にニールたちも同席するものの、さらにパワーのある第三者に同席してもらうことで、大学側にプ

        • 沈黙は降伏⑤-授業ボイコット

          さてさて、その問題の教授「X」とはもう会わない(会いたくない)と思っていたのに、なんとその学期の必修科目で「3月に行われるNYCでの1週間の研修旅行だけ”X”が担当する」という予定が組まれていました。ちなみにその必修科目は、研修旅行以外は例のアドバイザーの教授が教えています。 NYCには行きたい。「X」が出てこない他の予定は参加したい(「X」が出てくるのは、1週間のうちたった半日だけ)。しかし、この事件に決着もついておらず、「X」から私に対し何の対応もないうちに対峙するのは

        「恐怖」を克服する方法

          沈黙は降伏④ー頼れるオンブズマン

          友人マインダートが提案してくれた「駆け込み寺」に、すべて連絡を取りました。 ところで、大学にこんなにたくさんサポート機関があったなんて初めて知りました!人種や国籍、ジェンダーへの偏見や差別に対応する機関も複数あるのですが、それ以外にも性被害・メンタルヘルス・金銭的困窮等々、それぞれのテーマに対応する機関があります。声をあげようと決めたら、それを支えてくれる仕組みがたくさんあるのです。 「これは…声をあげなければもったいない!」とすら思いました。 できればこういうところに

          沈黙は降伏④ー頼れるオンブズマン

          沈黙は降伏③-反撃開始

          年が明け、まず学部のAssistant Dean(副学長)に連絡を取りました。 おそらくアドバイザーから今回の一件を聞いているはずだけど、改めて「××教授について、お話したいことがある。面会をお願いします」と伝えます。 この副学長とは渡米前から長くやり取りしていて、とても仲良くしていただいていました。非常に親しみやすい方で、私が抱えていた困難や私の意向等々を的確に把握して、その都度助の手を差し伸べてくださっていました。メールでお願いやお伺いをしてもいつもすぐに反応が返ってき

          沈黙は降伏③-反撃開始

          沈黙は降伏②ー迷いと恐れ

          教授との最後のメールをやり取りした後、しばらくしてccに入っていたアドバイザーの教授からメールが来ました。 アドバイザー 「見ていたけど、なかなか大変なことになったね。でも少し冷静になったら?成績なんて、卒業したら意味のない単なる記号だ。気にする必要ないよ」 はあ、このコメントには心底がっかり…教授の言動については一切ふれず、私への慰めもありません。とはいえ、アドバイザーのこの態度はある程度は想定していました。 このアドバイザーはどちらかというと「ことなかれ主義」で、ト

          沈黙は降伏②ー迷いと恐れ

          沈黙は降伏①ー怖くても、声をあげる

          ちょっと怖いタイトルになってしまいました。 今回は、留学生活で遭遇した”差別”にまつわる侮辱的対応と、それへの対応について書きます。 とても長いうえに、だいぶ私の主観や感情も入り込んでいますが、ご了承ください。 当たり前ですが人間関係があるところ、何かしらの衝突も誤解も生まれます。ある程度は仕方ないと飲み込んで前に進むことも、”大人”としては必要かもしれない。 それがわかっていても、今回は我慢できなかった。 それは、就任したばかりの新しい教授による授業でした。本人の意

          沈黙は降伏①ー怖くても、声をあげる

          頼るのもOKーIt's Okay Not To Be Okay

          メンタルヘルスの話題が続いてしまうけど、いろいろ思い出したので具体的に書いてみる。 米国に来て驚いた違いの1つが、メンタルヘルスへの関心度が高くサポートも充実していることだ。 米国に来て数か月。以前から続く不眠がひどくなった。相変わらず授業はハードで課題に追われへとへとなのに、眠れない。多国籍の学生が参加するグループワークもあって、アクの強いチームメートとのやり取りで疲弊したり、将来への不安など気にかかることがいくつかあるせいか。本格的な冬に入り、カナダにほど近いこの地

          頼るのもOKーIt's Okay Not To Be Okay

          この世は「自分ではどうにもできないこと」ばかり

          先日、久しぶりに会った知人が「最近、落ち込んでいる」と話し出した。聞くと、知人が若くして亡くなったうえ、自身も体調がすぐれないのだという。「自分ではどうにもできないことがあるのだとショック」と悲痛な声で吐露してくれた。 ああ、私もそういう風に思うこと、特にここ数年はたくさんあったなあ…と思い出す。 親しい人の死。自分の病気。望みの仕事に就けない、恋人や家族とうまくいかない、天候不順に自然災害…コロナのパンデミックもそうですね。 世の中には「自分の思う通りにいかない」こと

          この世は「自分ではどうにもできないこと」ばかり

          「”Option B”もあるよ」-皆スーパーポジティブ!

          アメリカで多様な友人らに囲まれいつも実感するのが、彼らが「スーパーポジティブ」だということだ。ポジティブのさらに上。 こだわらない。ひきずらない。いい意味で、超能天気!そして、常に自己肯定してself love。 「死ぬわけじゃないんだから!大した事ないよ」 このセリフ、本当にいろんな場面で言われた。 大の苦手の「簿記」の授業で、苦しんでいたときのこと。全然理解できずに自信喪失し、簿記の「ぼ」の字を言うだけでつらさがよみがえってうわあーっと苦悶の表情をしていたら、「も

          「”Option B”もあるよ」-皆スーパーポジティブ!

          あなたの「拠り所」とは?ー暮らしを支える”宗教”

          Syracuseで仲良い友人の一人、Jahon。 タジキスタン出身で、SUではコミュニケーションや政策を学んでいる。タジキスタンの中央銀行で働いた経験があり、中銀時代は海外の新規プロジェクトで表彰されるなど、漏れ聞こえる彼の経歴からはとても優秀な人だということが伝わってくる。 でももちろん、彼はそんなことはおくびにも出さない。いつも明るく、ユーモアを交えてよくおしゃべりする。時々どきっとするような鋭い発言をするけど、細やかな気遣いもできる。そんな彼と一緒にいるのはとても楽

          あなたの「拠り所」とは?ー暮らしを支える”宗教”

          Komorebi-言葉から知る真実

          「Komorebiがきれいだね」。 ある夕方、大学近くの公園を散歩していたら、一緒にいたバングラデシュ出身の友人が何気なくつぶやいた。しゃべっていたのは英語だけど、Komorebiは「木漏れ日」、そう日本語です。 「ほんとだね…」とそのまま受け流しそうになって、はっと我に返った。「えっ?いまなんつった?!こもれび?!!」 だって、木漏れ日なんて単語、日本人でもそうそう日常で使わない…ですよね?少なくとも私は、ですが。 その単語を、日本語を母国語としない、日本に行ったことも

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          SXSW攻略法②-出会いの宝庫(2022年版)

          ①から続く…。 【セミナー以外のイベントも盛りだくさん】 登壇者が話したりディスカッションしたりするセミナー以外にも、小部屋でたくさんの企画があります。たとえば「Presentation and Pitch Practice」という企画では、実際の投資家や起業家の前で起業を考えている人たちがpitch(事業計画を説明」し、批評をもらう…ということをやっていました。私も起業に興味があるのでのぞいてましたが、具体的なアドバイスが直接もらえるのでとても有益だと思いました。その他も

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          SXSW攻略法①(2022年)-メディアの将来像を探りに

          SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)ってご存じですか? テキサス州オースティンで毎年3月に開かれる、起業やIT、メディア、映画、音楽などの”祭典”です。世界中からありとあらゆる新しいアイデアやヒントが集まり、意欲を持った多くの人たちが旬のテーマでセッションしたり交流したりするイベントです。AirbnbやTwitterもSXSWをきっかけに有名になり、急成長を遂げました。 これは2022年に初めてSXSWに参加した時の記録です。「攻略法」などと偉そうですが、私の個人的な

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          Winter WonderlandーSyracuseの冬の楽しみ

          まだまだ寒いですね。 Syracuseの緯度はほぼ札幌と一緒。カナダとの国境もすぐ目の前に位置しています。 ご想像通り、冬は厳しい気候です。日中でも零下が続き、マイナス20度前後をうろうろすることもざら。スマートフォンの天気予報アプリは「体感温度はマイナス30度」なんて表示してきます。 このあたりは「Lake-effect」と呼ばれる気候で、周囲に湖がたくさんあるために、その湖面を渡ってくる風が一年中吹き荒れ冬には大雪を、夏には日本のような高い湿度をもたらすのです。シカゴ

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