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米大統領選に、世界・社会の「人」の潮流が現れる話

米大統領選には、世界・社会の「人」の潮流がよく現れるように感じています。

アメリカという国自体がどうというよりは、ほかに以下に当てはまるようなものが思い当たらないから、という感じなのですが。

・あらゆる境遇や階級(?)、人種の入り混じったコミュニティで
・メンバー(国民)一人一人の意向が明確に反映される形で
・日本にいても(日本語でも)比較的情報が得やすい形で
・リーダーが選ばれるプロセスが展開される

米大統領選のときには、世界・社会の「人」の潮流、つまりその後、重要なテーマとなることが提示されているように感じています。そう思うようになったのは、2007年とか2008年ころからですかね。なので、それより前のことは、なんともわかりませんが。

私は、政治に関する特定の思想も、特定の支持政党や支持する人ももっていません。私の関心は政治動向や、団体や組織のどうのこうのよりも、どうしても「人」にいっちゃうんで。。
で、政治的な云々関係なく純粋に「人」の潮流に焦点を当てたとき、米大統領選をこんなふうに解釈してますっていうのをちょっと書いてみようと思います。

念のため書いておきますが、すべて私の個人的な感想であり、政治的な見解とか、事実検証などは一切含みません。まぁある種のファンタジーだと思って読み進めていただければ幸いです。笑


■2008-09年:バラク・オバマ氏とヒラリー・クリントン氏の、民主党代表選

「現在、より世界にとって深刻なトピックは、"人種"なのか"性別(ジェンダー)"なのか」、この優先順位が明らかになるような気がして、動向を追っていました。オバマ氏が勝ったとき、「そうか、"人種"のほうがより優先度が高いテーマだってことなんだな」と。この先、人種をテーマにした取り組むべき課題や、明るみに出すべき闇、みたいなものが何か出てくるということなのかな、と思いました。

大統領選でオバマ氏が勝ったときは、彼がどうというよりも、「黒人奴隷制度の歴史を持つ国で、黒人系のリーダーが立った」という事実に、純粋に感動を覚えました。(たとえ、直接のルーツがそうではないとしても)
このことは今後、世界にどのようなインパクトを与えるんだろうか?どうか理不尽にツライ思いをする人が、一人でも少なくなりますように…と、祈るような気持ちでした。


■2016-17年:ドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏の、大統領選

このときは、「ポリティカル・コレクトネス」がテーマかなと思っていました。「公(表向き)に表現される正しさ」と、「正しさに抑圧された、内なるマグマ」みたいなイメージでしょうか。トランプ氏が勝ったときには、ちょっと愕然としたというか、「マグマが噴き出してくるということか…」という恐ろしさを感じましたが、同時に「誰かが一元的に定義した "正しさ" だけが良しとされる風潮には、たしかに限界がきているかもしれないな」という納得感もありました。

正しさだけで、人は動かない。そもそも「正しさ」とはなんなのか?
それが、すごくわかりやすい形で提起されたなぁと。


■2020年:ドナルド・トランプ氏とジョー・バイデン氏の、大統領選

「トランプ vs バイデン」というよりは「トランプ vs と反トランプ」という構図かなぁと思っていて、今回提示されているテーマは「二極化」「二項対立」あたりかなぁ、とみています。
トランプ氏の振る舞いに対しては、「それ、やっちゃうんだ!?」と驚くことが多いですが、同時に「これ、やりたいと思ったことのある人は、実はけっこういるだろうな」なんて思うことが、少なからずあります。
誰もが、表には出さないけれど、一度は考えたことのある行動。言いたくても飲み込んで、内側に押し込めてしまう言葉。そういうものを外に出して、公然とやってのけてしまう。そんな印象です。

「公」と「私」、「善」と「悪」、「貧」と「富」、「与党」と「野党」…
世の中にあふれる、さまざまな「あっち側」と「こっち側」に人を分断するような価値観や捉え方=二極化、二項対立。これを鮮明に浮き上がらせ、一石を投じているのがトランプ氏であるとするならば、今回の大統領選は、世界・社会の中に当たり前のように採用されてきたこの価値観の揺らぎと、これから巻き起こる混乱を暗示しているのかもしれません。


■「成果」に関する持論

私には、「リーダーが成し遂げたことは、二代あとに成果が出る」という持論があります。

例えば、オバマ氏の二代あと、といえばまさにいま絶賛選挙中。この時期に世界的に注目されている Black Lives Matter という運動は、アメリカから始まりました。ずっと燻っていた闇が、ついに明るみに出てきたのではないかと思っています。差別の根は深い。差別の根は、人の心に深く刻み込まれています。すぐに解決できるような種類のものではないと理解しつつも、やはり誰かが心身を傷つけたり、そのような出来事が明るみに出てくると、胸が痛みます。いつかは通らねばならない道なのかもしれませんが…。

また、KuTooという女性の権利を訴える運動、同性パートナーやLGBTsに対する社会的な理解を要請する活動が活発になっていることも踏まえると、やはり性別も、重要なテーマであったことに違いはないのでしょう。あのとき提示されたのは、「"人種"か"性別か"」ではなく、「"人種"も"性別"も」だったのだな、と考え直しています。
なにより、今後、アメリカ初の女性副大統領が生まれる兆しが見えてきました。カマラ・ハラス氏は、オバマ氏とクリントン氏が提示したテーマだけでなく、移民、インド系アメリカンなど、さらなる重要なテーマも合わせ持っているようです。多様性が、社会にますます明るみに出てくる前兆?かもしれないなっておもいます。

ちなみに、オバマ氏がイスラム教徒の両親という出自を持っていることは、民主党代表選当時、見逃していました。オバマ氏とイスラム社会の関係はかなり壮絶なものであったようですが、おそらく今後、イスラム社会とのかかわりは、どの国いても見過ごせないテーマとなる気がしています。イスラム社会自体もいま、宗教的意義と、国際社会とのかかわりの中で、帰路に立っているという話も耳にするようになりました。

ところで、トランプ氏は「アメリカ社会を分断した」と言われるけれど、おそらくクリントン氏が大統領になっていても、分断は進んでいたのではないかと思います。なぜなら、二代前にすでに分断の種は植えられていたのだと思うから。それがこんなにもマグマのように噴き出したかどうかはわかりませんが、「正しさ」に抑圧された状態で、水面下で現れていたほうが怖かったかもしれません。

トランプ氏の成果は、二代あとなので、まだまだ先ですが、今回の大統領選を見ていて驚くのが、投票率の高さです。実に65%を超えています。しかも、若い投票者が増えたとのことでした。そして投票者たちの、自分たちの一票へのプライドと、自分たちで国を作っているという意識。いずれも、現在の日本では考えられません。
「トランプ」というインパクトがなければ、ここまでにはならなかったんじゃないか?と思うし、実は彼がなしたことは、「分断」そのものではなく、それをきっかけとした「世代を超えた、当事者意識の喚起」なのかもしれないなって。

 

  

…というわけで、米大統領選は、世界・社会の「人」の潮流が現れている、というお話でした。繰り返しになりますが、これ、ファンタジーですからね。そんな解釈している人もいるのねーくらいのノリで読んでいただければありがたいです。。。


個人的には、米大統領選のようなリーダー選出プロセスが、もっとたくさんあったらいいな、と思います。どこかの企業とかでもいいんですけど、できたら国とか地域がいいな。なんか、いろんな国のカラーが出てるって、面白いし。
近頃は、30代の首相が活躍する国もありますし、今回のカマラ・ハリス氏の件もそう。心配なニュースは尽きませんが、たしかに世界は、社会は前に進んでるんだなって、かすかな希望を感じることもできます。

政治とか政策は詳しくないし、「人」への関心に比べたら正直そんなに注意を払っていないところはあります。苦笑 でも、できるだけいろいろと興味を持って。「人」の潮流に関わるところは、敏感にキャッチしていきたいなと思っています。

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