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日々と私

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エッセイというにはどこか及ばない散文たち
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またたき・ひつじ

またたき・ひつじ

またたき

おふろにしずんだのなら なんにもみえない
くぐもった音と やわらかい水に ひたされている
すきまから 溶け出て 滲んで もういちど うけいれる

目をつむっているあいだ
ほかのすべては 存在しているのか わからない

うまれたて みたいなわたし

まどは額縁のようにしんとして
むこうがわにちらばった好奇心は
期待にみちた顔で こちらをのぞいている

胸がずきずきして
あさくなる 朝

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ざらざら、ゆらゆら

ざらざら、ゆらゆら

 揺れる影が光っている。午前中は、部屋いっぱいにおひさまが届くから、私の家は森になるのだ。大きな木漏れ日が床にこぼれて、その上で犬が微睡んでいる。
 ソファに寝転んで、その様子を眺めていた。もう冬だけれど、春のような陽射しだった。犬の目は開いたり閉じたりしていて、意識はゆらゆらとしている。私は、できるだけこの空気を揺らがせないように、静かに、息をひそめていた。
 私の体温は39度あって、身体は、地

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鼓動が重なる

鼓動が重なる

 たいせつなことは、息を吸って吐いてを繰り返すこと。そのために、ご飯を食べて、眠ること。わたしたちはこれだけで生きていけるのだからなにも難しいことはないのだけれど、ことごとに気を揉み、焦り、たいせつな呼吸を乱している。 

 すこし前、家の裏にある森を眺めていた。
 夏の目前、どの木もたんと茂っていて、風が吹くたびにざわざわと返事をする。足元では、植木鉢に芽立つ多肉植物と、その匂いを一心に嗅ぐ犬が

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揺らぐ旅人

揺らぐ旅人

 朝日がカーテンを透かして部屋がほんのり明るくなるとき、今日がようやく終わったと思う。眠れないわけではない。きっと目を瞑ればすぐに眠れるのだけれど、自らで今日を終わらすことがなんだか惜しい気がする。
 日々が私を追いかける。なにもしていなくとも時間は過ぎて、お腹が減る。今日を正当化するために、私は眠らないで本を読む選択をする。布団の中、朝日が昇るまで。

 これがだいたい十四のころ。普通の家族と、

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