SOBO.

文：小林新

僕は長野県出身で、東京にある大学への入学を機に埼玉の祖父母の家で暮らしている。

今日は祖母の話。

年を正確には知らないが70代。クセなのかあたしンちのはお母さんのような髪の毛カールを長年毎晩していたせいかは定かではないが髪の毛はクルクル。茶道をやっていて着物の着付けの資格を持っている。孫の僕に対して極度の心配性で、なんでもやってくれようとしてしまう非常にありがたくて都合がいいのだが厄介だと感じてしまうこともある存在。

最近買ったらくらくスマホでラインができるのが嬉しいらしく、使い方を色々聞いてきて実践しているわりに全く持ち歩いてはいないので、いやはや全く「スマート」の前にまず「携帯」できていないのは困ったところだ。

彼女は、テレビで流れる曲、僕が携帯で流す曲、音楽がまわりで流れているとなんの曲でも小さく首を振って乗る。あんまり小刻みに振るものだから、え知ってんの？と聞いても、知らなーい。と首をかしげる。知っている曲は美空ひばりしかないらしい。
今日はジャニーズのKing & Princeの曲でも首を振っているところを見てしまった。妹が流すK-popでも振るらしい。

祖母が真剣にテレビを見ていて、途中から見た僕がこれどういうこと？と説明を求めると、知らなーいと全く見ていなかったかのように答える。
毎朝時間になると、あ！と言って家事を切り上げ小走りで向かい前のめりで見ている朝ドラでさえストーリーはわからないと語る。
大門未知子はドクターZだと言い張る。

ここまでくると祖母がボケているのかもしれないと思われそうだし自分でも思ってしまいそうなところだが、毎日仕事も家事もバリバリとこなしている。「生きていく」力は十分あると(個人的には)思っている。

茹で枝豆の感想を聞かれ、パサパサだねと答えたら悲しそうに枝豆を見つめたので、いや茹で方が悪いとかじゃなくて枝豆本体の状態があまり良くないんだよ、と誤解を解こうとしたがもうその時にはトウモロコシの話をしているし、瓜に塩をかけると甘みが増すことに異様にテンションを上げる。
今日は無印良品で今時の若者向きのベージュのワークパンツをニヤリとしながら買っていた。

祖母は一体なにを考えているのかいないのか、何者なのか、本当の彼女を僕はまだ知らない。これからは本格的に調査と感謝を実行していこうと思う。

見てくれが出川哲朗にそっくりな祖父はまた今度紹介したい。

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