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入院記

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入院生活中の徒然。
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「自愛。人間これを忘れてはいかん。結局、たよるものは、この気持ひとつだ。いまに、私だって、偉くなるさ。なんだ、こんな家の一つや二つ。立派に買いもどしてみせる。しょげるな、しょげるな。自愛。これを忘れてさえいなけれあ、大丈夫だ。」

──太宰治/「新樹の言葉」 より。

124号室通信:最終号

退院前夜である。

2ヶ月と1週間の初・入院生活だった。
その様子はnoteやTwitterでことごとく書いてきたので深く振り返りもしないけれど、ささやかながら色々な出来事があったし、色んな人とも出会ったし、色々なことを考えたりした。
最後の日といっても別に特別なことがあるわけでもないし、おれも特別なことをする気はない。特別な感情を抱くことだって特にはない。
ご飯を食べて、薬を飲んで、スマホを眺め

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セミファイナル・イブ

明日退院かぁ、とぼんやり歯を磨いてたら今日は土曜日なんで、もう一日ある事を忘れていた。
長い入院生活で曜日感覚などというのはすっかり皆無なんである。宇宙飛行士や半年間ほど洞窟で暮らす実験をしてた人はこんな感じなのだろうか。いや、足元にも及ぶまい。

今日も入院生活最後の一冊になるであろう本を読んだり、スマホを眺めたり、中庭に出たりした。
最後の最後になると本当にやる事もなく、ただ泊まっているだけみ

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「愛だろ、愛っ。」

なんとなく気づいて、Twitterで呟いた投稿が伸びていた。いわゆる「バズり」だ。
銀杏BOYZが2007年に台湾でライブをした時に峯田が全裸になった日が今日7月28日だ、という旨のツイートである。
いつも通りに銀杏BOYZのことを呟いたら思いがけない方向へ盛り上がってしまった。びっくりである。世の中、何が盛り上がるかよくわからないものだ。
けれども、こうして見知らぬ色々な人が話題を共有して良い意

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いつか今日を振り返る日がくるだろうか

朝。朝食を食べてから少しばかりぼんやりして荷物の整理をしたり軽く掃除のような事をしたり。
ひととおり済んで水を汲みに行ったら、ロビーでスマホから昭和歌謡やらフォークソングやらを流してる人がいたので、おっ、となり、近くの椅子に座って聞き耳を立てる。アン・ルイス「グッド・バイ・マイ・ラブ」谷村新司「昴」かぐや姫「22才の別れ」。気づけば水を2回も汲みに行くくらい聴き込んでしまった。カラオケに行きたい。

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拝啓、石部金吉氏。

7月26日はおれが心酔している中島らもの命日である。今から19年前だそうだ。2004年である。
酒飲みだった彼にちなんで、この日は「せんべろ忌」という愛称も付いている。良いネーミングだ。
朝。Twitterを眺めていると、NHKのアカウントで彼の命日に寄せた呟きが。

ここ数日の騒ぎのせいかリンクがうまく貼れないので、添付されていた画像をば。
以前noteにも書いた「その日の天使」である。
こうし

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名前をつけてやる

いつのまにか、自分の名前を好きになっているな、とふと思った。ハンドルネームではなく本名のことである。
好きというとなんだか照れくさい気もするので、気に入ってるというほうが丁度かもしれない。
というのも、19,20くらいまではあまり好きでなかったというか名前が少しばかりコンプレックスであった。
割と同名の方をたまに見かけたり耳にしたりするので極めて珍しいだとか珍奇だとかという訳ではないのだが、それで

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ガガガと響く月曜の朝

朝。ひと通りのルーチンを終え、熱いお茶を啜りながらぼけえっとTwitterを眺めていたのだが、タイムラインにふと流れてきた「ラヴィット!」という朝番組関連の呟きが目に入るやいなやその内容に声が出てしまった。
なんと、ガガガSPが出演するとのことである。

この番組、出演しているタレントや芸人さん或いはスタッフの世代ドンピシャというのが大きいのか、サンボマスター、ロードオブメジャー、FLOW、ザ・マ

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スマホにも写らない

音楽を聴くのが好きな人は特によく分かると思うのだが、不定期にマイ・ブームが訪れる曲というのがないだろうか。
僕にはそういう曲がいくつかある。そしてそれらがひとつずつ、年に少なくとも一度は僕の耳に予兆も報せもなく居座りにやってくるのだ。
そんな具合で、現在、二日ほど前から耳に居座っている曲というのが、THE BLUE HEARTS「リンダ リンダ」である。

言わずと知れた80年代を代表する一曲であ

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エアコンの風に吹かれて

退院が決まった。
昨日、主治医からそれを告げられる。ははぁ、さいですか、ありがとうございます、とペコペコしつつ診察室を出ると、入る前とはなんだか病棟の空気が変わったような。いや、というよりは自分の感じ方が変わったんであろう。
些細な言葉や些細な出来事で、自分が立っている場所や環境の見方であったり感じ方であったりというのはガラリと変わるものだ。

病棟に戻ってベッドにゴロリと寝転がって、天井をしばし

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あの人に馳せる0721

オナニーの日。

一般的には下品な語呂合わせのちょっとしたくだらなく、ネタ的で、出オチで、まあハレンチな日なのだけれど、ほんの一部の人々にとっては至って大真面目な、なんなら神聖…いや真性といっても過言ではない。言わば晴れの日だ。
その"ほんの一部の人々"というのは、オナニーマシーンという性春パンクバンドのファンの事である。

そんなオナニーマシーンのボーカル/ベースである「童貞のカリスマ」こと、イ

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思い出せないを思い出す

昨日書く事がない、といいながらもダラダラ文字を打っているうちにいつの間にやらnoteが書けた訳だが、とはいえ昨日悩んだ事が今日は悩まずに済むなんて事はないし、よく、一晩寝たら忘れる、とか言うけれど忘れた試しがない。寧ろ朝起きたら真っ先に思い浮かぶ。
そんな訳で今日も書く事が思い浮かばないので、とりあえずまた文字を打ちは消し消しは打ちをしている。
そういえば、昨日自分のはじめての得意・不得意を思い出

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ヘタクソ入門

またかよ、と思われるかもしれないが書く事がない。またです。じゃあ又。いやまあ待たれよ。
なんというか、書く事はあるのだが思いつかなかったり、うまく書けそうになかったり、話を広げる事ができない。要するに文章を書くのがヘタクソなんである。
考えてみたら、おれにはヘタクソな物事が多い。ヘタクソにかぎらず、不向き、不得意、苦手……思えばそういうのばかりの中で生きてきた気がする。よく今まで生きてこられたと思

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まあ要するに、出会いと別れ。

今日またひとりふたり退院していった。
おふたりとも入院してしばらく経った頃に話しかけてくださり、お世話になった方なので、やっぱりどこか寂しさもひとしおなのである。
そのうち1人は手書きのメッセージをくれた。驚きであるし照れくさくもあるのだが、こんなどこの馬の骨かもわからぬような人間に律儀に手書きのメッセージまで、、、と思うと有難い。一生持っておこうと思った。
退院していったおふたりともに次どこかで

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