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#2020年秋の美術・芸術!コンテスト-中間のご報告- こんな絵を描いてます。「楽園の劇」

#2020年秋の美術・芸術 !コンテスト-中間のご報告として、基本は、ほぼ時系列に(多少の順不動お許しください)、応募いただいた作品を、1作品ごとに、ご紹介とコメントとしての評を入れさせていただき掲載させて頂きます。まずは、ご応募ありがとうございます。また、これから、応募ご希望の方も、個々の多様な、、ご自分の視点で、気軽にご応募くださいませ。

・こんな絵を描いてます。「楽園の劇」oil on canvas:162 ×363㎝ (M100/S100/M100)
satomi さま 応募ありがとうございます。

(評)「楽園の劇」oil on canvas    162 ×363㎝ (M100/S100/M100)
応募は、油彩の大型作品(三連画)だ。力作だ、かけた時間も多変な事だが、その間に保ち続ける精神性は、半端なものではないのだ。筆者は、この作品を卒業制作で3ヶ月をついやしたと言う。そこに映し出されるモノは、生きる事自体の理不尽さと苦しみのプロセスを感じるのだ。

楽園の劇_satomi 2020

Fig.楽園の劇(oil on canvas-1620 ×3630mm:M100/S100/M100)(c)satomi

そして、実際に描いてみるとわかるのだが、例えば、100号を画くスタンスは、10号の10倍のスタンスではなく、少なくともサイズの問題だけでも引き合いに出せば、計り知れないと言うことだ。
そして、この大作は、*ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」の影響を受けて描いていると言う記述ある。
そして、「快楽の園」のコンセプトは、「大パノラマ上にエデンの園から人類の欲望や罪までが描かれている」のだ。

筆者の作品「楽園の劇」について、触れると、そこにある問題提起は、制作者側の視点(極)が、どう、観る側の視点(極)に伝わるか、ということだろう。
500年前の手法をそのまま、現在形に置き換えて、表象している訳ではないのだ。
そこには、筆者のそれまでの多くの体験が、にじみ出ている事が細部をまで、ていねいに見ていく事で感じられる、そして、引いて見る(俯瞰的に全体を見る)と、その色彩のバランスから、仕上げ時に、何度も手直しした心意気が伝わる。それは、筆者は、その全体像に完全なる世界観を、ご自身の内面に求めているからだろう。
読者さまに、分かりやすく申し上げると、人に上手く絵を描いて評価を求めるよりも、自らの内面を何度も、何度も、繰り返し探っている事が、私的には感じられるのだ。お疲れになった事だろう・・・(この評をするにあたって、この表象以外の筆者の記事は拝読はしてない。それは、余計な情報を入れずに、画のみから伝わる極をまとめるためだった)
ここに、評として、詳細な部分を画家の誰それに似ているだとか、その筆致はああだとか、遠近法が何だととか、一般的な美術評価家は言うだろう(美術史は後から語られるからだ)、そう言ったことは、この表象の評価として、この絵画に対して無駄なロジックだ。
実際、オイルペイントでこのサイズを描いてみる事は、そんなロジックの話しどころではない筈だ、最後に申し上げると、この絵画の森羅万象の中に、作者の実体験が込められている、それを作者の視点(生きる理不尽さのような苦しみや、そこから画業に至るプロセス)を、この絵画が語っていると言う事だ。

(註:油彩絵具について)Oil Paint 絵具に、赤はカドミウムレッド、緑はカドミウムグリーンディープも使われたおっしゃる。
それは、簡単に申し上げると、高級な画材だ、それを使う理由は、極めて鮮やかな彩度を持つ顔料と言う事だ。
作品のキーポイントにそれを置くことによって、より効果が増すと言うことだ。
カドミウムレッドの分光反射率曲線(波長nmと反射率の関係)の図示致します。

カドミウムレッドの分光反射率曲線

Fig.カドミウムレッドの分光反射率曲線 ©Shogakukan

オレンジでは約550nm(ナノメートル)の緑の部分まで深い吸収があり、約600nmのより長波長側の高い反射で橙(だいだい)色となる。ライト→マルーンで吸収がより長波長側まで生じ、色調は赤から紫赤になる。
もっと、かんたんに申し上げると、目の行く先にある、赤や深いグリーンの色彩が、オリジナルの写真より、実物は鮮やかに見えるだろう。それは、この絵画にとって大切な位置付けだ。そして、その学際的な視点をも作者は心得て、自らの内面で、体験から得た理念を形状化して表象していると言う事だ。

(註)*ヒエロニムス・ボス(Hieronymus Bosch,1450-1516/オランダ-画家):一般論になるが、異端的な画家だ。緻密な光景、神話的であり、そこには宗教思想もそこに潜む、また、シュルレアリスムのルーツとも言われる。そして、「快楽の園」のような三連画も多く制作している。快楽の園、聖アンソニーの誘惑は、ある意味、代表作かも知れない。これらには、尊厳性を保つためか、筆致からの人為性を除かれた手法も多用された。ここで私が、ヒエロニムス・ボスの画業をまとめる訳ではないが、道徳的・精神的な真理を求めていたのかも知れない。

(追記)だいぶ以前の私的な事だが、普段は画材は世界堂だったが、神保町のすずらん通りの文房堂で絵具を購入した事がある。それは当時、前者には置いていない、あるメーカーのカドミウム系の絵具を時間を忘れて、店内の絵具売り場を探して廻った。そして、噂どおり、その目的の色があり喜び勇んだ。しかし、あまりにも(私的には)、当時のそれは高価だった。
 ただ、すずらん通りのパーキング(1時間まで)に止めてあった車に戻ると・・駐車違反のカードが、、そして、そのカドミウム系の油彩絵具が、相対的にもコスパだと、涙ながらにも思えたことも・・・・気を付けたいですね。

(今後のお知らせ)
このコンテスト #2020年秋の美術・芸術  は、コンテストの形式として、3名の入選はございますが、ある意味、ドクメンタ(カッセル/ドイツ-一人のディレクターによるキュレーション)の展示会ように賞はございません。そして、主催者は、多くの企画をされている秋氏のデレクションと、私(artoday)のコメント(評)で構成されております。         
それは、「そもそも美術エッセイは発表の場すらない」という視点や、小生(artoday)の、もっと、身近に気軽に、美術、芸術の裾野の広がりを願っての事でもございます。この間は、私のアート系コラムをランダムに、連載致しますが、入稿があり次第、応募作品にシフト致します。
どうぞ、気軽に日常のことで、思いつかれた事を応募なさって下さいませ。(註) #2020年秋の美術・芸術  は全角ですので、よろしくお願い致します。


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