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(今日の一枚)舞踏家-土方巽の鎌鼬(かまいたち)

道化となり交わり、狂者となり駆け回る-土方巽
土方巽(ひじかたたつみ,1928-86/舞踏家)舞踏、鎌鼬(かまいたち)の細江英公(1933-/写真家)によるワンカットだ。

(c)細江英公

写真集「鎌鼬」(かまいたち)の撮影は、1965年9月だ。その1カットは、生と死の遭遇によって生じる波紋、そして疾走する土方巽の魂と肉体の共振だろう・・
舞踏の創始者である土方巽(秋田出身/舞踏家)は、秋田県羽後町田代地区を訪れ、農民や子供たちを巻き込み、「鎌鼬」(かまいたち)を彷彿(ほうふつ)とさせるパフォーマンスを繰り広げた。その様子を写真家の細江英公氏が捉えた。
ある意味、伝説的な、写真集「鎌鼬」は、1969年に現代思潮社から、刊行されたのち、芸術選奨文部大臣賞を受賞している。写真集「鎌鼬」は、2005年に復刻版・2009年に普及版(青幻舎)、それは世界の写真史に刻まれた。
(註)2016年10月「鎌鼬美術館」が開館される。日本の「舞踏」が、世界の「Butoh」として、強烈な存在感をもって顕現(けんげん:はっきりと現れる)された、という事だ。

・土方 巽(ひじかた たつみ,1928-1986年/舞踏家-秋田市出身)
1959年、全日本芸術舞踊協会・第6回新人舞踊公演で「禁色」を発表。以後、「土方巽 DANCE EXPERIENCEの会」開催する。細江英公映像作品「へそと原爆」(1960年)出演、1978年のパリ市フェスティバル・ドートンヌ「間展」に「闇の舞姫十二態」を出品する等々、グローバルに前衛的な舞踊の第一線で活躍する。日本のダンスシーン、演劇シーンに多大な影響を与えた1人だ。もう少し続けると、巣鴨のとげぬき地蔵、葛飾界隈、いわゆる路上パフォーマンスだ。そして、この秋田の伝統的な農村風景を舞台に、土方巽はパフォーマンスを鮮烈に繰り広げた。

(追記)写真集「鎌鼬」(かまいたち)は、舞踏家-土方巽が、人々との遭遇によって生じる波紋、そして疾走する土方巽の魂と肉体に共振しながら、風土への思い、生と死の官能のエンドルフィンを深めていく・・・それを写真家-細江英公氏の視点とコラボしているのだろう・・・ この項目の選択は、アナ・メンディエタ(Ana Mendieta/キューバ系アメリカ人アーティスト)のパフォーマンスから、ご助言を頂き、私の感覚の中で呼び起こされたものです・・そして、写真というメディアは、その事象の瞬間を捉えて、かつ、モノトーンの世界で、より深く物語っているのだろう。

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