香りの工房。n.5*香りのことば*
香りの工房、5回目です。4回目までは、マリア・レティツイアさんからお話しを伺い、精油の世界を案内して頂きました。今回は、ご好意で実際に精油を試した体験と、精油や植物に潜む、香りのことばをご案内します。
前回までのシリーズは、本投稿の一番最後に案内していますので、ぜひお立ち寄りください。
精油の体験
テーブルに並べられた精油。小皿に落とされた精油の香りが、逆さにされたカクテルグラスに閉じ込められています。
よくみると、三角形の形に並んでいますが、ちゃんと意味があるんです。
あまり深く考えずに、とにかく試すのみ。単純に、これは好き。これは嫌い。一度で分からなければ、いったん間をあけて、もう一度、試してみる。その繰り返し。
わたしの「好き」「良い香り」の選択は、寄り添う香り、幸せそうな香り、美味しそうな香りに、なんとなく分けられました。
嫌いな香りは、なんとも感じないか、即答で「あ、やだ、この香り」。嫌いな香りを感じとるのは、簡単でしたが、好きでも嫌いでもない香りというのがあり、どちらかに分類するのが難しかったです。
わたしが体験したのは、ワークショップのように、自分の精油を作るのではなく、マリア・レティツイアさんが作った精油から、特に好きなものを選ぶタイプのものです。ひとつだけじゃなくてもいいんです。気に入ったものがあれば、何瓶でも選べます。
マリア・レティツイアさんは、毎朝、手首に精油を垂らし、そのときに感じた香りを言葉で表現していますが、ときによっては、精油の蓋が開かないこともあり、そんなときは、別な精油を選ぶと、力を入れなくても、すっと開くそうです。
精油がないけど、試したい!という方は、ぜひ、植物や果物で試してみてください。目を閉じ心を落ち着けて、葉や茎や果実を触り、顔に近づけ、自然の波動を感じ取りながら、香りが語りかける言葉に耳を傾けてください。
マリア・レティツイアさんの精油の紹介
Felicita' 幸福
頭:ベルガモット、グレープフツーツ、オレンジ
心:イランイラン
ベース:シトロンの樹皮
香りのイメージ
子供の頃の楽しかった記憶。日々の暮らしの中で自分を取り戻すとき。自分のために、毎日を幸福に過ごす。シンプルな暮らしに戻り、些細なことに喜びを感じる。グレーな日々に、一筋のオレンジの光が差し込むように。
こんな人のために
心に抱えている悩み事から解放されたい。悩み疲れて極限まできた。さっさとこの重さを放って、晴れ晴れとした幸せな気持ちになりたい!
Buonumore 上機嫌
頭:レモン、ベルガモット、オレンジ、マンダリン
心:ジャスミン
ベース:ベンゾイン(安息香)、シトロンの樹皮
香りのイメージ
月曜日から金曜日まで一生懸命に仕事をこなし、ようやく週末。しばし、仕事のことは忘れよう。この二日間は、誰でもない、わたしのための時間。わたしの心が喜ぶ時間。
こんな人のために
いつも忙しく時間に追われてて、お腹の底から笑ったのって、いつだったけ?一度立ち止まってもいいのかも。子供頃に毎日が楽しかったように、自分がもっと元気に楽しくご機嫌になれる生き方を選んでもいいんじゃない?
Gioia 喜び
頭:タンジェリン
心:バラ、ジャスミン
ベース:シトロンの樹皮、白檀
香りのイメージ
5月の庭には、ピンク、白、黄色、赤、あらゆるバラが咲き誇り、神々しい香りが空気中に漂よい、まるで楽園のよう。壁沿いには、白い花をいくつもつけたジャスミンが甘い香りを放っている。香りのなかに心を沈めて、子供の頃の、あの笑顔を、いつも心に留めておきたい。
こんな人のために
傷つくのが怖いという感情よりも、大好き。愛したい。という感情に正直になりたい。
Concentrazione 集中
頭:レモン、ベルガモット、ミント
心:--
ベース:乳香
香りのイメージ
乾いた道の真ん中の、空と大地の間で、あなたは、どこに行きたい?どこに向けて飛び立ちたい?あなたの目標はなに?決めるべきときは、いま。集中して!
*心の精油はありません。思考を集中させるときに「感情」は気を散らすだけだから。
こんな人のために
自分の方向性を模索している人、集中したい人、いままでやってきたことを、満足して終わらせるために全力投球したい人。
Serenita' 心を落ち着ける
頭:ランベンダー
心:バラ、カモミール
ベース:バラの樹皮、白檀、乳香、バニラ
香りのイメージ
自分が必要としているものは、すべて持っている。満足。満腹。この気持ちを遮るものはなにもない。
こんな人のために
日常にストレスを感じていたり、口には出さないけど心の中では助けを求めている気持ちを癒し、希望や喜びの感情を呼び覚まし、日々の暮らしを見つめ直すためきっかけを作ります。
Creativita' クリエイティブ
頭:--
心:ネロリ(橙花油)、イランイラン、ゼラニウム、バラ、ジャスミン、プチグレイン
ベース:バニラ
香りのイメージ
クリエイティブ。創造。予期せぬほど高い次元へと、私たちの波動を引き上げてくれる。一粒の小さな種が大きな木に育つように。
* 創造に必要なのは、頭じゃなく、感情なので、頭の精油は入っていません。一方、心には、たくさんの香りが集まっています。
素直な感情を幾重にも高め、わたしたちの内面と外見の両面を慈しみながら、ひとつになる。それも、バランスを失うことなく、ちょうど良く。
ベースのバニラは、やっと行き着くことのできた自分へのご褒美。
こんな人のために
いまある自分に誇りを持ち、いまある自分を受け入れ、わたしたちのなかに存在する、美しいもの、調和、バランスを呼び覚まし高めたい方。
これらの精油はほんの一部で「感情」がテーマのシリーズです。日本の言葉で表すと、エモい精油シリーズになるのかしら。
いまわたしの手元には「幸福」と「上機嫌」があります。香りのことばを知り、意外な自分の発見です。
大きな出来事じゃない、ほんの些細なこと。例えば、意味もなくカッカと怒っている人の罵声を耳にして、嫌な気持ちになったときに、上機嫌の精油を、暑い毎日で気が萎えそうなときに、幸福の精油の力を借りることもあります。
植物のことば。
女性は好きなのに、多くの男性はあまり興味を惹かない香り。
なんの香りでしょう?
普段は、自分の中にしまい込んでいる「愛」というセンチメンタルな感情の琴線に触れるのが怖いからだそうです。
バラは愛のシンボル。愛の化身はアフロディーテ(ヴィーナス)。バラの香りはヴィーナスの香りです。
子供が好きな香りは?
うきうき楽しく、安心できる香り。お母さんに抱っこされているような香り。
月桂樹
愛の矢を放たれたアポロン。
相手を嫌う矢を放たれたダフネ。
アポロンは追いかけ、ダフネは逃げる。
うしろからせまりくるアポロン。
追い詰められ行き場を失ったダフネ。
手や足が、木の葉に変わり、
またたくまに月桂樹の木に姿を変えてしまうダフネ。
せめて私の聖樹になって欲しい。
アポロンはこの葉で冠をつくり、
その後これを肌身から離すことはなかったという。
ローマはボルゲーゼ美術館にあるベルニーニの彫刻「アポロンとダフネ」。
月桂樹は、英語で Laurel。ラテン語でLaus。ラテン語で賞賛する。勝利者、詩人、哲学者などが月桂樹の葉を編んで王冠を戴いた中世時代。
賢者や学識者という意味合いはそのままに、現在は、大学を卒業した学生たちが、誇らしげに月桂樹の冠をかぶり、卒業をお祝いします。『卒業する』とか『学士号を取る』は、イタリア語でラウレアと呼びますが、知識を得て行動するという意味のLausラウスからきています。
マリア・レティツイアさんは、手に負えない、解決できない状況のとき。集中してなにかを成し遂げるとき。流されず状況と対峙するとき。自分の人生を手中に置きたいと感じた時。月桂樹の精油を利用するそうです。
今回は長文になってしまったので、一旦、ここで区切ります。次回は少し視点を変えて、香りの世界をご案内します。次回は来週に持ち越しになります。すいません!
最後まで読んでくださいまして、
ありがとうございます!
次回もお立ち寄りください。
前回までのシリーズは、
こちらからご覧ください。
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