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香りの工房。n.4*香りの治療師*

香りの工房のつづきです。マリア・レティツイアさんが、どのように香りに近づくようになったのか、過去から現在、そして未来へと続くお話を伺います。今回は後半です。

前回までのシリーズは、本投稿の一番最後に案内していますので、ぜひお立ち寄りください。

前半ではマリア・レティツイアさんが香りの工房を開くまでの経緯を伺いました。後半では、わたしの質問集からお聞きします。まずは軽めに、個人的に気になっている質問から。

動物にとって、香りははよくないと聞いたことがあります。

天然の精油なら、大丈夫です。ただ、人間のように好き嫌いがあるので、彼らが好きな香りを選ばなければなりません。

ペットショップのオーナーが訪れて、猫草の精油を作ったら、猫が好きなんじゃないかと提案を受けたことがありました。でも、わたしの猫は、猫草が嫌いです。

ラベンダーは万能で、だれもが好きといいますが、わたしの猫は、ラベンダーも嫌いなんです(笑)

このことからわかるように、好き嫌いは人間だけじゃなく、動物にもあります。匂いを嗅がせて、好きそうなら、スプレーを使ってみたらどうでしょう。

我が家のニートなテイーさん
初登場。

アロマディフューザーを使うときの精油の適量はどのくらいですか?

精油は、水の量、その水の量で何時間使えるか、部屋の大きさなどが関係してきます。

市販されている、手頃な大きさのアロマディフューザーで、2~3時間使うとしましょう。例えば、40mlの水で2時間使えるとしたら、2滴で十分です。入れすぎたら、精油の無駄遣いになります。

わたしはなにもこだわらずに、水道水を使っています。

とても嬉しいと感じる瞬間は、どんなときですか?

アトリエを訪れた方から、精油を使って元気になったと連絡をもらうときです。

木曜の夜に訪ねてきた方がいて、精油を購入していきました。わたしがまだ家にいた翌朝の8時頃に電話があり、応対すると、彼女でした。

この9年間、夜中になると胃に痛みを感じて、目を覚ましていたのに、昨日は、はじめて朝まで眠れたわ! 9年間で一度もこんなことなかったのに! ありがとう。

彼女は、9年前に娘さんを亡くしています。それ以来、夜中に胃の痛みを感じていたんです。

彼女から連絡をもらったときが、わたしにとって、もっとも嬉しかった瞬間です。

まるでお医者さんですね。

お医者さんじゃなないわ。
一種の人助けね。

その方は、ご自身の精油を作られたのですか?

いいえ、ここから選んでいきました。

彼女は無意識に選びましたが、その精油の意味は、心の傷を治すものだったんです。

驚くべきことに、購入したその日の夜に使っただけで、翌日の朝には、よくなっているんです。たった1日で彼女の人生をよりよく変えることができたなんて、奇跡のようだわ。

このアトリエで精油を作られたり、購入されたりする全員が、彼女のように劇的な変化をするのではありません。

なかには、とても波動を受けやすい人がいるんです。そういう人は、心から本当に助けを求めているので、一度香りを試しただけ、精油の影響を受けます。

ぜったいに外せない習慣はなんですか?

これは、わたしには適応しない質問です(笑)。

なぜって、わたしは、自分の人生を180度変えた人だもの。

習慣はもちろん、あの頃の願望も含めて、すべてを変えました。この仕事に携わるようになってから、驚きの連続です。毎日、なにかが変化しています。だから、外せない習慣というのはないです。

習慣というわけじゃないけど、時間に余裕があるときは、香りの研究、新しいアイデア、新しいワークショップなど創造のために時間を使います。

タイムスリップできるとしたら、いつの時代へ行きたいですか?

なんて質問なの(笑)!

まずは過去に行きたいわ。
香水が生まれた時代。
カテリーナ・ディ・メデイチの時代です。

あの頃(1500年代)は、香水はすべて天然で、植物から抽出していました。いまは失われてしまった、植物の凝縮された香りを試してみたいんです。

メディチ家のボーボリ公園
柑橘系のコレクション。

いまの植物は、同じ植物でも、当時とはまったく違います。そして、身近に自然があり、植物の香りに満ちていました。いまのように、自然に身を置くために、山や海へ行かなくても、自然が、植物の香りが、生活のなかにあったんです。

それから、未来にも行ってみたいわ。

多くの人が幸せに、元気になれるような、世界規模でのプロジェクトをいま計画しているの。ぜひ未来へ行って、このプロジェクトが実現したか知りたいです。

でも、まだ内緒。だからいまここでいうことはできないわ。

フィレンツェで一番好きな場所はどこですか?

フィレンツェの中心街は、どこも美しい。

以前に、レオナルド・ダ・ヴィンチの香りを作ったことがあります。

そのときに想像したのは、1500年代のフィレンツェの小さな路地に、どんな匂いが漂っていたか。

できあがったのは、良い香りとは言い難い代物。まったく次元の違う香りになりました。

当時のフィレンツェには、家畜の匂い、土の匂い、体臭など、生命の匂いが混ざり合い満ちていたことでしょう。その中に身を置いてみたいわ。

ヴェッキオ宮殿も好きだし、ウフィツィ美術館のテラスから見た景色も素敵。あとは、そうね、フィレンツェ市街にある公園から見たフィレンツェの景色も好きです。

でも、わたしの一番のお気に入りはプーリャ州。

海の目の前に家があって、家の前に朝日が昇るの。毎朝5時30分に起きて、ベランダで、朝日が昇るのを眺めます。これ以上、美しいものはないわ。

じゃあ、夏はずっとプーリャですね。

そう。早く行きたくて、うずうずしてるの。

夫と成人した子供達二人は置いていくわ(笑)

わたしを呼んでくれるグループがあり、プーリャ州でもワークショプを開きます。去年は、わたしの本の紹介や、小さなワークショップを開いて好評だったので、今年は、このアトリエにある精油は、ぜんぶ持っていきます。

そこにいるだけで幸せと感じさせる
プーリャ州の海。

じゃあ、好きな季節は春と夏ですか?

そう。冬は好きじゃないわ。

あなたにとって、豊かさとはなんですか?

わたしにとって豊かさとは、心身ともに自分自身であることです。

『生きるための本当の意味』というものを、忘れてしまいがちです。

なぜ、わたしたちは、この地球に生まれたのか。

なにをするために生まれてきたのか。

あなたの心身が、あなたに与えられた人生の意味と繋がることができれば、あなたは、世界で最も豊かな人です。

日常の、目の前のやることに押し流されて、自分自身を忘れがちです。自分自身を見直さず、いつのまにか、どの方向へ行ったらよいのか道を失ってしまいます。

そのためには、立ち止まることも必要です。自然のなかに身を置き、心を空っぽにしたら、音に耳を澄ませ、色、匂い、光を、感じ、そこにいるのは、誰でもない、自分自身です。

イタリア語でPerdonoペルドノ『許す』という意味の言葉があります。

自分を許すことは、Per ペル Donoドノ。

{ Dono = 贈り物、恵み、たまもの(賜・賜物)、才能、素質 }。

自分への(ペル)恵み(ドノ)になるんです。

今回は、とても興味深いお話を伺うことができました。ありがとうございました。

インタビューは終えましたが、マリア・レティツイアさんのご好意で、わたしも香りを試してみました。

次回は、香りの意味などについて、ご案内します。

最後までお読み頂きまして、
ありがとうございます!


前回までのシリーズは、
こちらからご覧ください。
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