見出し画像

香りの工房。n.1*精油との出会い*

例えば、アロマセラピストのもとへ行ったとするでしょう。あなたは症状を説明して、セラピストはあなたにあった精油を処方します。

一方、香りのセラピストは、あなたに処方するのではなく、あなた自身が、あなたの嗅覚をもって自分自身で選びます。

セルフセラピー(自己治癒)と言い換えることも、できるでしょう。

ここは、中心街の一角。アパートの呼び鈴を押して、アトリエにお邪魔します。

コロナで動きが取れないときに、フィレンツェ中小企業促進協会の、職人工房見学に参加して出会った工房です。

アロマに興味のある人なら、ちゃんと探せば見つけられると思うけど、わたしなどは、偶然の出会いがなければ、自力で見つけるのは無理。

アトリエの主人マリア・レティツイアさんのお話しは、常識を逸するものばかり。いつか直接にお話しを伺いたいという思いを温め、夏前に、アトリエにお邪魔してきました。

アトリエの扉を開くと、
緑のお庭が迎えてくれます。

気さくで、話しやすいマリア・レティツイアさん。トマトは赤色で、なすは紫色でしょう。なんていたって普通のことを話す口調で、奇想天外なお話しが飛び出し、驚きの連続でした。

香りのマエストロ(師匠)マリア・レティツイアさんから、どんな話しが飛び出すのでしょう。奥の深い、香りの世界へようこそ!

レティツアさんのご職業はなんですか。

わたしは香りを通じて、あなたにとって何が必要かを助けるガイドのような存在です。セラピストではありません。

どのようにガイディングしてくださるのでしょう。

まずは、いろいろな香りを試してみて、そのなかから、気持ち良く感じたり、心が落ち着くような香りを選んでもらいます。

香りは、好き。嫌い。の二択。

あなたの無意識の部分が、香りとシミュレーションをし、あなたの内側の声が「この香りは好き」と、あなたに呼びかけます。

五感のうち、嗅覚以外は、思考に基づき状況を判断しますが、香りは思考しません。思想や思考に基づかない感覚で、無意識に、好き嫌いを感じとります。

例えば、心を落ち着かせる香りが欲しいという方に、効用のある精油を渡して、香りを試してもらいます。すると、彼女はこういいます。

わたし、この香り好きじゃないわ。

これは、なにを意味すると思いますか?

頭では、心を落ち着かせるものが欲しいと思っているけど、本当に求めているものは、別なものなのです。香りを試すことで、本当は自分が、なにを欲しているのかを知る手がかりになります。

求めているものは、信頼かもしれない、勇気かもしれない、愛かもしれない。

本当に求めているものを知るために、香りを選んでもらうのです。

このアトリエにある精油は、植物から抽出した100%天然のものです。そして、それぞれの植物には世界共通の意味をもっています。その隠された意味を、選んだ植物の精油から読み解いていきます。

アトリエを訪れる人は、処方されるのではなく、自分で精油を選ばなければならないことを、知っているんでしょうか?

知りません(笑)

このアトリエを訪れて、マリア・レティツイアさんから説明を聞いてはじめて、自分の感覚で精油を選ばなければならないことを知るんですね?

そう。みんな驚かれます(笑)
ただ香水が欲しいからきたのに。とおっしゃる方もいます。

オレンジの香りの香水を作ってくれと言われたりすることもありますが、わたしには、なんの意味も持たないんです。

わたしにとって、ご自身で選ばれた香りが語りかける物語が、意味のある重要なもので、この方法以外に、どうアプローチしたら良いのかわかりません。

訪れるひとは、このアトリエをどうやって探し当てますか? 呼び鈴に小さく名前があるだけですよね。

その通りです。
偶然訪れる方は少なく、大半の方は、探してこられます。

ロシア、カナダ、アメリカ、フランス、中東などからも訪れます。天然100%の植物精油を作っているところは、世界中どこを探しても、なかなか見つかりません。そのひとつが、このアトリエです。

テーブルには、たくさんのエッセンスが並んでいるでしょう。これだけの量を揃えるのは簡単じゃないのよ。

植物の天然精油を市内のエルボリステリア(薬草専門店)で購入するとき、1瓶が高価なので、サンプルはほとんど置いてないはずです。

でも、このアトリエでは、すべての精油を試すことができます。

たくさんの香りを試すと、嗅覚が麻痺しませんか?

化学物質が入っていると麻痺しますが、ここにあるのは100%自然のものなので、麻痺しません。

自然のものは、繊細で、長い時間を維持することができないので、匂いを残さず、すっと消えていきます。だから、いくら試しても、疲れることも、麻痺することもありません。

植物には、どんな意味が隠されているんでしょう?

さきほどの、心を落ち着かせる香りを例にとってみましょう。この香りにはこのような意味を持ちます。

何かを成し遂げたいけど、心の準備ができていない。だから、なにか頼りになるものが欲しい。

このような心持ちを持たれている方は、この香りを選びます。「ある」ことをするために、助けが欲しい。ということを訴えているのです。

さきほど「この香り好きじゃないわ」とおっしゃった方は、香りのなかにある「なにか」を、怖がっているからです。

そんなときは、「自分自身を知る香り」→「自分を信じる香り」→「活力を呼び戻す香り」と、段階を踏んで、「心を落ち着かせる香り」までたどり着くこともあります。

心の奥に潜んでいる、本当の思いや気持ちを伝えることで、あなたを助け、寄り添うことができます。

ここでは、治療専門医は必要ありません。あなたが自分自身を治療をします。

いま、わたしは、いろいろな香りを試している。

その行為を自覚して行うことは、誰かの指示を受けるより、はるかに影響力を持ちます。なぜなら、自分から積極的に動くことにより、自分自身のセラピストの役割も担うからです。

自分で選ぶということは、自分自身をケアしていることにほかなりません。

それが、怖いと感じる方もいませんか?

ええ。います。でも、あなたが怖いと感じることは、好きなことじゃないので、そういう香りは選びません。怖いという感情が伴うときは、それ以上は踏み込めないので、ほかの香りを探します。

頭を使い考えて選ぶのではなく、心やお腹の声を聞こうとすると、あたなの体は反応するんです。

あなた自身は、自分で選んだ香りが、どんな意味を持つのか、知りません。


いままでの工房とは、趣の異なる香りの工房。目に見える世界じゃないので、なんとも形容し難い世界。だからゆえか、知ればしるほど面白い!

次回も、香りの工房で、マリア・レティツイアさんから、精油のもつパワーについて、お話しを伺います。

今回は準備期間が延びてしまい、ちょっと焦りました。インタビュー記事は、聞き直して、訳して、編集するので、思ったより時間がかかるんでした。誤算でした。反省。

それにも関わらず、準備中の投稿にも「スキ」を頂いて、申し訳けないやら、嬉しいやら。ありがとうございます。励みになります。心にぽっとハートが点ります。心から感謝です!

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか? 気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます! コメントを気軽に残して下さると嬉しいです ☺️