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トスカーナの山奥にある、絵の村。 n.1
海岸沿いからほど近い村にて、お肉を調達していた時のこと。ショーケースに並ぶお肉をあれこれ物色しているときも、おしゃべりが絶えることのないイタリア。
会話に出てきたカーゾリという村。店の息子さんはここから通っているそうだ。
「面白い村だから、行ってきたらいいよ。」
その一言につられ、なんの予備知識もなく訪れたカーゾリ村。前回の投稿からずっと彷徨っている村である。
Casoli - カーゾリ村
下界からは空の彼方に霞んでみえた山の頂上が、目の前に立ちはだかり、迫ってくるような雄々しさ。ずいぶん高いところまで登ってきた。
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カーゾリ村。イタリアで良く出会う穏やかな村。
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国旗が掲げられているのは、イタリアで良くみる風景。だが、ここにはほかの村にないものがある。アパートの壁いっぱいに描かれている絵だ。
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畑での作業風景が細やかに描かれている。
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村に入ると「面白い」が分かってきた。
道という道、壁という壁に、絵が描かれている。
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一歩づつ歩を進めるたびに、タッチも異なれば、画風も異なる絵に遭遇する村。すごく楽しい。
すでに完成された絵の村と思いきや、現在も毎年3〜4名のアーティストが選ばれている。絵の描かれていない壁が、絵で飾られ、絵で埋め尽くされるまで、まだ時間はかかりそうで、楽しみである。
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MURABITO - ムラビト
大理石の石碑に描かれた「MURABITO」という言葉。日本人なら誰でも「ムラビト」「村人」を連想するであろう。いったい、なんだろう。
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調べてみると「ムラビト」は、アラビア語「murabit」から派生し、聖者や賢者の意味。
アラビア諸国から、イタリアの特にシシリア島に移住してきた人が、周囲から尊敬されるような徳を積み、そこから「murabit」と呼ばれ、それがイタリア語で「ムラビト」と発音されるようになり、イタリアの姓として存在している。発音は「ムラービト」と伸ばした音。
シシリア島の特にカターニャ県に多い姓らしい。カーゾリ村のムラービトさんは、50年代にカーゾリ村に移住してきた、ロザリオ・ムラービトと呼ばれる、カターニャ出身のアーティスト。
彼の作品は、イタリアではウフィッツィ美術館やバチカン博物館所蔵もあり、欧州やアメリアのプライベート蒐集家のコレクションにもなっている。
1972年にこの村で亡くなったロザリオ・ムラービト氏を偲び、2006年から壁画制作活動が続けられている。
左右から天使が見ているのが、ロザリオ・ムラービト氏であろう。
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天使の手には、刷毛と金槌が握られている。なぜ金槌が必要なのかは、もう少しお待ちを。
村里アルバム
カーゾリ村の絵の特徴のひとつ。それは、村に生きた人々も描かれていることである。
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パン職人ブルーノ・モリコーニさん。パンを釜で焼いてい姿。
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カーゾリ村の郵便局に勤めていたヴィンチェンツォさん。
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靴職人ジェルマーナさん。
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2023年に加えられる絵を、アーティストMichele Cosci(ミケーレ・コシ)さんが製作中。
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バールのご夫妻、Emilio(エミリオ)さんとRosa(ローザ)さん。イタリアの田舎のバールは、カフェテリアのようにコーヒーも飲めるが、コンビニのように生活必需品がなんでも揃う「よろずや」のような存在で、村の寄り合い所。
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こちらは、村の労働司祭Don Beppe Socci(ドン・ベッペ・ソッチ)。労働司祭とは、宗教上の執り行いだけでなく、労働者として日常を送る司祭のことである。村人や自然と共に生きていたような印象を受ける1枚の写真。優しい笑顔に惹かれます。
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この写真から書き起こされた下絵。
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絵を描くスペース作るために、壁をくり抜いた状態。
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アーティストLina Vinazzani(リナ・ヴィナッザーニ)さんが制作中。
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完成。この絵も、2023年に描き足された作品である。
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村に生きた人々に、絵を通して出会うことにより、彼らもまた、この村に生き続けている。絵を通して当時の生活が想像できるようであり、過去と現在を繋げる存在にもなっている。
村を歩きながら、まるで村里のアルバムを見ているようである。
絵の中には、歴史の一部なのは確かだが、いったいなにを意味しているのだろう。と首を傾げるような作品にも出会った。
撮影した絵をもとに調べてみると、この地に関わる、なかなかに面白い歴史があったことを知る。
村の壁に絵を描くイベントは、山間部の村おこしの一環でもあるが、もうひとつ、重要な意味を持っている。それは、この絵がどのような手法で描かれたかが鍵となる。
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このまま書き続けると、
いつもより長文になりそうなので、
次回へ持ち越しにします。
ぜひ次回もお立ち寄りください!
最後までお読みくださり
ありがとうございます。
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