世界は音に包まれている Part.1
音楽。音を奏で、その音色を楽しむこと。
耳で聴き、時には感情をゆさぶり、時には気持ちを穏やかにしてくれる、心の処方箋のような存在。
自然、黙想。そして、音楽。
昔から「音楽とは?」と、宇宙の真理を考えるごとく、深遠に思慮し、歴史に名を残した哲学者達。
紀元前6世紀頃のギリシャ。手を伸ばせば届くかのように、星の光が地上に降り注いでいた時代。
エーゲ海から聞こえてくるさざ波の音を耳にしながら、色とりどりに煌めく星空を眺めている、ひとりの人物。彼は、ピタゴラス。
しばらくすると星々から音が生まれ、重なりあい、美しく響きはじめた。
「万物は数なり!」と言い残した、数字が好きで好きでたまらない、ピタゴラスが提唱した「天体の調和」です。
スモッグで汚染され、ネオンや電灯の人工的な光で、明るくなってしまった都会の夜空で、星のコンサートを聴くことは難しい。澄んだ星空を見る機会に恵まれたら、ぜひ、この天体の音に耳を傾けてみたいものです。
古代ローマ末期のイタリアの哲学者、ボエティウス。彼もまた、音楽を研究し、大きく3つタイプに分けています。
* 世界の調和としての音楽
* 人間の調和としての音楽
* 楽器や声を通して実際に鳴り響く音
技術が進化し、QOL(生活の質)もはるかに向上しているのに、肝心の人間は、進化することはないのでしょうか。進化せずとも、せめて、感受性や感性が、退化していませんように。
紀元前のギリシャ時代やローマ時代は、キリスト教がまだ存在しない時代です。そのため、宗教と音楽は一緒にならず、アテナでは、ギリシャ悲劇という演劇が生まれます。
建築の音。
話題はがらりと変わりますが、この絵を見たことがありますか?
これは、レオナルドダヴィンチが描いた人体図。レオがこの図を書くにあたり、元にした理論書があります。
紀元前の古代ローマ時代に生きた、建築家ウィトルウィウス。人間の体のプロポーションを研究し、最古の建築論「建築について」を執筆した人物です。
円のなかに人がいて、頭からつま先までの比率を表していますが、ここから、なにがわかるでしょう。どうして、建築家のウィトルウィウスは、人の体に、プロポーションを、比率を、見出そうとしたのでしょう。
彼の本職である建築。建造物を設計するにあたり、美しいプロポーションは不可欠な要素。高層の建物であろうと、自然との調和を取り入れ、美しくなければならない。
美しさとは、調和である。
建築と音楽の間には、一見なにも関連がないようですが、実は共通のキーワードがあります。それが「調和」です。
この「調和」。どのように当時の生活に溶け込んでいくのでしょうか。
今回のテーマでは、少し短めの文章にて連載します。
Part.1
自然、黙想。そして、音楽。
建築の音。
Part.2
ロマネスク様式の教会と音楽。
歌う石たち。
Part.3
建築と音楽の数合わせ。
数字、比率、そして、音楽。
Part.4
音楽と建築。
Part.5
世界は音に包まれている!
次回につづく!
最後まで読んで頂き、
ありがとうございます!
関連記事はこちらから
↓↓↓
参考文献:
Itinerario nell'arte
La Lingua degli Angeli
I suoni dell’architettura di FULVIA GIACOSA
Tra architettura e musica
di Conservatorio di Musica G.Verdi di Milano
Musica e architettura di Carlo Fabrizio Carli
Wikipedia
この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか? 気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます! コメントを気軽に残して下さると嬉しいです ☺️