アートハッコウショ

アートハッコウショは、高橋紀子と染谷ヒロコが運営する、美術鑑賞プロジェクトです。 ウェブマガジンの配信やイベント・ワークショップなどを通し、さまざまな形で「アートをハッコウ」していきます。

アートハッコウショ

アートハッコウショは、高橋紀子と染谷ヒロコが運営する、美術鑑賞プロジェクトです。 ウェブマガジンの配信やイベント・ワークショップなどを通し、さまざまな形で「アートをハッコウ」していきます。

最近の記事

[アートなトークシリーズvol.4]夢をみること、アートをみること

夢をみることとアートをみること ~夢をみる時は、一人ひとりがアーティスト~ アートハッコウショは、 さまざまな方の“アートのみかた”を共有することで、 アートの体験を深め、楽しみ方を広げていきたいと考えています。 ゲストにお話をうかがうトークシリーズの第3回目は、 東洋大学社会学部心理学科教授・松田英子さんです。 皆さんは睡眠中に夢をみますか? 夢をみる人でも、よく覚えている人やあまり覚えていない人、人それぞれです。 アートハッコウショのメンバーでも、高橋は一時期夢日記を

    • スマホを捨てよ、感覚を研ぎ澄ませようー暗闇の島で体験するアート

      新型コロナウィルス感染が報告され、コロナ禍に突入して2年目を迎えた2022年。「ニューノーマルの時代」とも言われるように、この2年で私たちの生活にも大きな変化がありました。 感染防止のために非接触社会が提唱される生活様式で、もはや不可欠とも言えるデジタルデバイス。特に普及率が約9割にのぼるスマートフォンで、写真や動画を撮影し、SNS等で瞬時にインターネット上に公開することは、今では身近な行為となっています。 そんな中、横須賀にある東京湾内唯一の無人島・猿島で開催のアートイベ

      • 「よくわからない」と「解釈がたくさんある」に向き合ってみる

        2021年も大晦日を迎えました。 アートハッコウショは、不活発な1年となってしまった反省しきりの最終日です。今年の最後は、アート鑑賞で大切な「よくわからない」と「多様な解釈」に向き合うことを促してくれた展覧会の話で締めくくりたいと思います。 Go◯gle先生に尋ねてわかるような「知らないこと」は、調べると正解に行き着き、忘れるのも早いです。一方で、「よくわからないもの」はぐずぐずと頭の中やおなかに残ります。 アート作品にはそういった「よくわからないもの」だらけかもしれません

        • 【聴く風景画】あと一歩つっこむアート鑑賞

          自然環境や町の様子などを描いた風景画の中には、その面白さをどう味わえばいいのか、わかりにくいものがあります。例えば、構図が大胆だったり、配色が美しかったり、まるで写真のようにリアルな描写だったり、一見すると「すごい」「きれい」と感動するものの、そこから先はどのようにみればその魅力に迫ることができるのか、途方にくれるような作品のことです。 描画技法や美術史の知識は、鑑賞を深めるセカンドオピニオン的存在として強力な助けになります。しかし、知識頼みというのも少々つまらない気がするの

          [思いに寄り添うこと、思いを伝えていくことー911から20年の節目に]

          まだまだ新型コロナウィルス感染が収まらない上、ミャンマーやアフガニスタンでの政権転覆といった、世界の情勢が激変する出来事が次々と立ちはだかる2021年。その本年は、2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロから20年という節目を迎えます。 今回は、20年前ニューヨークに住んでいたアートハッコウショの高橋が、911の現場で感じたことを通し、アートの役割について考えてみました。 ++++++++ 当時ニューヨークの大学院に通っていた私は、10月からの新学期の前に、残り

          [思いに寄り添うこと、思いを伝えていくことー911から20年の節目に]

          [そして、神話になる。]

          お盆明けから1週間たちますが、大雨被害の復旧工事が各地で続いています。被害に遭われた方のご冥福と、一日も早い復興をお祈り申し上げます。また、長期化するコロナ禍のもと、奮闘を続けてくださる医療従事者の方々に感謝とエールを捧げます。 さて、今回は、今年のフランス革命記念日に逝去したクリスチャン・ボルタンスキーにまつわる、ごくごく個人的な思いを綴りたいと思います。 ++++++++ 今さらボルタンスキーのことを書くのは、家でお盆の祭壇を整えているときに、このアーティストを思い

          [そして、神話になる。]

          [本の表紙から物語をイメージする]

          突然ですが、皆さんは小説を読もうとする際に、本の表紙を飾る絵や写真、デザインから選ぶことはありませんか? そしてその表紙のイメージから、小説の内容を想像することはないでしょうか。 2021年春に世界同時発売された、ノーベル文学賞受賞作家のカズオ・イシグロの最新作『クララとお日さま』。最近カズオ・イシグロの作品どころか、小説そのものを読むことからすっかり遠のいていましたが、久しぶりに一気に読んでその世界にどっぷりつかることができました。 そして読了後、この小説について調べてい

          [本の表紙から物語をイメージする]

          [アートと香りのワークショップ・レポート]

          まだまだ感染の収まらない状況下ではありましたが、十分な感染防止対策を取りつつ、5月29日にArt and Syrup Plusにてアートハッコウショ初の対面によるワークショップ「みるアロマ~アートと香りのワークショップ」を開催しました。 最初に参加者の方々に、自己紹介としてこの時期にちなみ“初夏”から連想する色についてお話しいただきました。水色、青緑、薄紫、レモンイエローなど、その色を伺うだけでも皆さんの豊かな感性がのぞき見えるようでした。 次は、アートハッコウショ 鑑賞フ

          [アートと香りのワークショップ・レポート]

          [アート✕アロマ]小さなワークショップ@横浜のご案内

          継続するコロナ禍の下、最前線で感染症と戦う医療従事者の方々に感謝申し上げます。また、その方々の負担を増やさないようマナーを守りつつ、こころが健やかにあるよう努めたいと思う日々です。 さて、さまざまな「アートのみかた」を伝えるアートハッコウショは、今回「みるアロマ〜アートと香りのワークショップ」を5月下旬に開催します。 アートの中でも絵画や彫刻のような作品は、基本的に「みるもの」という印象がありますよね。でも、作品をじっくり観察していくと、登場人物のささやきを想像したり、何

          [アート✕アロマ]小さなワークショップ@横浜のご案内

          震災支援プロジェクトを通して想う「アートの力」

          東日本大震災から10年が経とうとする本年、テレビなどでも震災を振り返る番組が放映されています。その当時、アートハッコウショのわたしたちも、仕事の打ち合わせで訪れていた東京・九段下のシェアオフィスで震災に遭遇し、自宅までの帰路が閉ざされたことを今でもはっきり覚えています。 今回は、アートハッコウショの高橋が参加したアート関連の震災支援プロジェクトのボランティア体験を通し、「アートの力」について考えてみたいと思います。 「ユニセフ祈りのツリープロジェクト」「ユニセフ祈りのツリー

          震災支援プロジェクトを通して想う「アートの力」

          [アートなトークシリーズvol.3]冬森灯さんのおいしい話

          〜“おいしい”をことばにする小説家に聞いたアートのみかた〜 アートハッコウショは さまざまな方の“アートのみかた”を共有することで、 アート体験を深め、楽しみ方を広げていきたいと考えています。 その活動の1つ、ゲストにお話をうかがうトークシリーズの第2回目は、 小説家・冬森灯さんです。 アートハッコウショが間借りをしてる喫茶&アートスペース「Art and Syrup」で「伊藤絵里子と冬森灯の“絵とことばの縁結び”」展を現在開催中の冬森さんに「“おいしい”アート」をテーマに

          [アートなトークシリーズvol.3]冬森灯さんのおいしい話

          [アートなトークシリーズvol.2]年の瀬にふりかえるヨコハマトリエンナーレ②

          光の破片はつかまえた?  〜市民の眼・科学の眼でふりかえる   ヨコハマトリエンナーレ2020〜前回に続き、横浜在住のアートナビゲーターで、科学を専門とするメディア・プロデューサー 村松 秀さんをお迎えしたインタビュー後編です。 「ヨコハマトリエンナーレ2020」のふりかえりをテーマに、後編では科学の視点からのお話をメインにうかがっています。 2 科学の眼で作品をふりかえると?毒と共存する、そのココロは?ーーー2020年のヨコハマトリエンナーレ(以下、ヨコトリ)は、テーマは

          [アートなトークシリーズvol.2]年の瀬にふりかえるヨコハマトリエンナーレ②

          [アートなトークシリーズ vol.1]年の瀬にふりかえるヨコハマトリエンナーレ2020①

          光の破片はつかまえた?  〜市民の眼・科学の眼でふりかえる   ヨコハマトリエンナーレ2020〜アートハッコウショは さまざまな方の“アートのみかた”を共有することで、 アート体験を深め、楽しみ方を拡げていきたいと考えています。 その1つとして、ゲストにお話をうかがうトークシリーズをブログでスタートします。 1回目は、アートハッコウショの所在地「ヨコハマ」にちなみ、 横浜に住むアートナビゲーター※で、科学を専門とする メディア・プロデューサー・村松秀さんをお迎えして、 「市

          [アートなトークシリーズ vol.1]年の瀬にふりかえるヨコハマトリエンナーレ2020①

          [作品を体験すること、みえてきたこと]

          コロナ禍の下、10月に入り大型台風の季節が再来しました。各地に被害がないよう祈るばかりです。 さて、前回のブログ[展覧会から生まれる「物語」]では、作品からインスピレーションを受けて異なる何かを創る、鑑賞のひとつのかたちを紹介しました。この記事は、トルテさんの「美術館をいろいろな視点で楽しむ記事5選」でも採り上げていただきました。こちらで紹介されている、いろいろな方のアートをみる視点はとても素敵です。 今回は、7月のブログで紹介した[作品を体験すること、視点が変わること]

          [作品を体験すること、みえてきたこと]

          [展覧会から生まれる「物語」]

          9月になり、ようやく秋の気配が感じられる時期となり、芸術の秋が到来しました。 このコロナ禍で、まだまだ入場規制等行なっている美術館もありますが、展覧会に足を運ぶ方も少しずつ増えてきたように思います。 さて、これまでのブログでは、「作品をみること」「作品を体験すること」といったように、作品そのものを通しての鑑賞について考察してきました。今回のブログでは、少し違った角度からの鑑賞の楽しみ方を紹介してみたいと思います。 唐突ですが、私は展覧会に行った際に妄想することがあります。脳

          [展覧会から生まれる「物語」]

          [場所そのものがアート作品と化す]

          前回のブログ「作品を体験すること、視点が変わること」では、「作品を体験する」ことについて考えていきました。今回はその延長として、場所そのものがアート作品と化している美術館を取り上げてみたいと思います。 通常の美術館では、美術作品を鑑賞をする場所として、展示室に作品が設定されています。野外にも作品が設置されている美術館もありますが、基本的には美術館という場所は作品を納める“箱”として機能しています。 場所そのものが一つの作品として存在するアートに、前回のブログでも紹介したジェ

          [場所そのものがアート作品と化す]