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[アートと香りのワークショップ・レポート]

まだまだ感染の収まらない状況下ではありましたが、十分な感染防止対策を取りつつ、5月29日にArt and Syrup Plusにてアートハッコウショ初の対面によるワークショップ「みるアロマ~アートと香りのワークショップ」を開催しました。

最初に参加者の方々に、自己紹介としてこの時期にちなみ“初夏”から連想する色についてお話しいただきました。水色、青緑、薄紫、レモンイエローなど、その色を伺うだけでも皆さんの豊かな感性がのぞき見えるようでした。
次は、アートハッコウショ 鑑賞ファシリテーター・染谷の進行で、皆で一つのアート作品をじっくり鑑賞し、その作品から思い浮かんだ言葉を共有しました。鑑賞した作品は、ファン・ゴッホの「タンギー爺さん」。背景に浮世絵をはじめとした日本をイメージする絵が描かれていることもあり、“日本”や”四季”といった言葉を挙げた方が多くいらっしゃいましたが、手前に描かれた人物に注目した方や、作品からストーリーをイメージした方も。一つの作品を鑑賞するだけでも、人によって作品に対する印象はそれぞれであることが分かりました。

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それからは、今回の講師である瑠璃色の庭主宰のアロマセラピスト・本多貴子さんに進行をバトンタッチ。まずは本多さんから、アロマフレグランスの基本となる、揮発速度によって分類された香りの3つのカテゴリー、トップノート、ミドルノート、ベースノートについて説明いただきました。トップは揮発速度が速く、香りの印象が強いものの香りはすぐに消えてしまい、ベースになるほど揮発速度が遅くなり香りが長時間残るそうです。

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参加者はそれぞれのカテゴリーの精油2種ずつを嗅ぎ比べ、その香りからイメージした言葉を紡ぎ出します。最初にアート作品から感じた印象を言葉にしたこともあってか、バラエティに富んださまざまな言葉が飛び交いました。まだここでは、その香りが何の香りかは分かりません。
そして、最初に鑑賞した「タンギー爺さん」をイメージした香りをムエット(試香紙)を使って作りました。その後本多さんから、嗅ぎ比べた香りが何の精油かの答え合わせと、精油の効能の説明がありました。

最後に、アート作品からイメージした香りのアロマスプレー作りです。10枚の作品カードから1枚選び、各カテゴリーの香りを1つずつ加えた合計9つの精油から、カテゴリーごとに使う香りと配合を考え、その作品からイメージした香りのアロマスプレーを作ります。

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同じアート作品をイメージした香りでも、その香りが全く違う印象だったり、逆に違うアート作品を選んでも、選んだ精油が同じだったり、「アートのみかた」だけでなく「香りの感じかた」もさまざま、という発見がありました。ちなみに、もう間もなく梅雨を迎える季節ということもあってか、選ばれた作品カードで多かったのは東山魁夷の「緑響く」、また選ばれた精油で多かったのは、バランス調整や虫よけ効果のある“ゼラニウム”でした。

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アロマスプレー作りで一番多く選ばれた作品、東山魁夷の「緑響く」

今回は感染対策のため参加人数を制限しての開催となりましたが、他の人が作られた香りを嗅ぐことはオンラインではできないということもあり、参加された方々は他の人と「アートのみかた」や「香りの感じかた」の違いや共通点があることを、まさに五感を使って楽しまれた様子でした。

アート鑑賞を通し、言葉の共有だけでなく香りの共有もできた今回のワークショップ。アートハッコウショでは、今後もさまざまな「アートのみかた」を伝える企画をしていきたいと思います。


アートハッコウショ
ディレクター/ツナグ係 高橋紀子

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