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連続体力学に基づいた物理計算の話 -3-

物理学では「質点」「剛体」「連続体」という3種類の物体の扱い方が存在します。

特に、連続体は物体の質量、運動(並進と回転)、そして形状変化(変形)を考慮します。質点や剛体はより扱い方を簡略化した存在と言えます。

こうした物体の変形を扱う学問として「連続体力学」があります。連続体力学は固体だけでなく、流体の分野にも適用可能な古典的学問でもあります。

前回は連続体力学を理解するために必須である「テンソル」について、主たるルールから解説しました。総和規約など特有の話がいくつかありますが、最初はイメージを作るところからスタートできればと思います。

今回はテンソルに関する知識の中でも2階テンソルの扱い方を中心に、行列を交えた線形変換などの話に発展させていきます。より高次な4階テンソルも登場しますので、数式としても過程を追えると良いです。

2階テンソルと行列表現

1階テンソルは言わばベクトルとしての扱い方をしていました。これは「スカラー量」という規模の概念と「ベクトル量」という方向の概念を合わせたものです。

2階テンソルは「行列」の扱い方をします。これは規模の話は同じですが、方向については2種類の見方をすることを指しています。それ故に「行列」としての考え方を採用します。

2階テンソルによる線形変換とは、任意の1階テンソルを別の1階テンソルに変換することを言います。

また、2階テンソルの内積については、テンソルの双方の同一位置にある要素同士を掛けた結果を総和したものです。トレース演算とも言えます。

4階テンソルと微分演算子

任意の2階テンソルを別の2階テンソルに線形変換するために必要なのが「4階テンソル」です。4階テンソルの4個の基底における、後発の2個の基底のテンソル積を内積させる演算を行います。

次に微分演算子としては「ナブラ演算子」「ラプラシアン」があります。ナブラ演算子は「スカラー量」を多変数関数として表現したことに対して、各変数で偏導関数を計算する意味があります。

この操作は「勾配」と呼ばれます。スカラー値関数に作用して偏導関数によるベクトル値を算出します。

ラプラシアンはスカラー値関数を2階偏微分することで求まります。ナブラ演算子自体はベクトルと同じ扱いになるため、ラプラシアンはナブラ演算子による内積という表現とも言えます。

おわりに

今回は2階テンソルについて、具体的な意味合いと応用編(4階テンソル)を説明しました。より高度な微分演算もありますが、今回はこの辺の話題は割愛することにしました。

但し、今後の計算過程では何かと出てくることもあるので、その際にまた立ち返る形にしたいと思います。

次回からは2階テンソルとして多用される応力やひずみに対して、物理学に基づいた扱い方を中心に事例として示していきます。

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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事があなたの人生の新たな気づきになれたら幸いです。今後とも宜しくお願いいたします♪♪
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