見出し画像

AIはPRの仕事を凌駕するのか? VOL.3

「消滅しつつあるホワイトカラーの仕事」
「ホワイトカラーはChatGPTに脅威を覚えよ」

アメリカのコンサルティングファームの大規模レイオフの記事は、これまでどこか他人事として捉えていたAIが、近いうちに他人ではなく自分へ影響を及ぼしてくるのでは?と感じた方も多かったのではないでしょうか?

日本は雇用に関する法律もありレイオフはアメリカほど簡単には出来ませんが、何か意味や原因などがあるはずです。先駆者から学べることは学び、備えられることがあれば備えたいと思いました。

これまで
AI=単純な仕事を自動化する
という図式で考えていた人もいるかもしれませんが、もはやそれは遠い過去となっていることを、みなさまも感じていると思います。

そこで、前回はプレスリリースとメディアリストの作成をChatGPTで試みましたが、今回はChatGPTのクオリティを知るには、自分に馴染みがあって、見極められるものが良いと思い、探究心に任せるまま、2つの実験してみました。

3-1. 販売戦略の相談

まず企画書です。
他社とのコンペティションでも、企画書で比較されることがよくあると思います。また自社内の稟議を通す場合も、企画書は重要です。

コマンド:新しい美容液を販売開始するに際し、売り出すための戦略を立ててください。

3-2. 販売戦略の提案

私は提案する側も、提案される側も経験があるのですが、正直なところ格の違いを誰でもがわかるほどの、光り輝く提案書を見た記憶がありません。そして実際に、提案書以外の要因で取引先を決めるということも多いように思います。
また、提案する側も、同じ業界での実績を問われることも多いので、その成功体験をなぞった企画を持ちかけることが多いのではないでしょうか。

つまり、世の中に提案書の大差がないというバイアスを私は持っています。では、さっそくChatGPTのアウトプットを見てみましょう。

新しい美容液を売り出すための戦略を立てましょう。以下にいくつかの戦略を提案します。

ターゲット市場の明確化: まず、製品をどのようなターゲット市場に向けて販売するのかを明確化します。例えば、年齢層や肌の悩み、生活スタイルなどに基づいて、特定の顧客セグメントを選定します。ターゲット市場を特定することで、より効果的なマーケティング戦略を展開できます。

ブランドストーリーの構築: 新しい美容液の背後にあるブランドストーリーを構築します。製品の開発背景や製品の特徴、品質へのこだわりなどを伝えることで、顧客に製品への興味と信頼を醸成します。ブランドストーリーを通じて、顧客との共感やエンゲージメントを高めましょう。

オムニチャネルマーケティング: 複数の販売チャネルを活用して製品を売り出すオムニチャネルマーケティング戦略を採用します。オンラインストア、実店舗、代理店など、顧客がアクセスしやすいさまざまなチャネルを活用し、製品の露出と販売を最大化します。

インフルエンサーマーケティング: 美容業界のインフルエンサーや美容ブロガーと提携して、製品の宣伝とプロモーションを行います。信頼性のあるインフルエンサーが製品を紹介し、体験談やレビューを共有することで、広範なオーディエンスに製品を知ってもらえます。

サンプリングとトライアルプログラム: 顧客に製品を試してもらうために、サンプリングキャンペーンやトライアルプログラムを実施します。無料のサンプルやトライアルサイズを提供し、顧客が製品の効果や品質を実際に体験できる機会を提供します。良い体験をすることで、顧客の購買意欲を高めることができます。

カスタマーサービスの充実: 製品に関する質問や疑問に迅速かつ親切に対応する優れたカスタマーサービスを提供します。顧客の声に耳を傾け、フィードバックを活かして製品の改善や新たなニーズに対応します。満足度の高いカスタマーサービスは顧客の忠誠心を築き、口コミや再購入につなげることができます。

これらの戦略を組み合わせて、新しい美容液の販売を成功させるための総合的なプランを作りましょう。

ChatGPT as of June 26

なるほど・・。足りない項目があるかもしれませんが、それらしきものをアウトプットしてきました。

繰り返しになりますが、事業会社や、コンサルティングファーム、広告代理店などは、過去の提案書や企画書が保管してあって、それを部分的に書き換え、再利用するケースが多いように思います。言い換えれば、立案自体が既にテンプレート化された仕事となっている。

それゆえ世界中のインターネット上に転がっている提案書の数々から、前述レベルの提案を数秒で生成できてしまう。そこから見えるのは、

  • ChatGPTの立案と大差が見えない提案する代理店やコンサルティングファームが、クライアント企業との契約を取れない

  • ChatGPTの立案(もしくは同等レベルのテンプレート)に、大きな付加価値を加えられない人に対し、企業が対価を支払わなくなる

  • ChatGPTの立案(もしくは同等レベルのテンプレート)を提案書の「フレームワーク」として示し、他の人にリサーチ、仕上げさせるだけのリーダーは必要ない

といったところでしょうか。

4-1. メディア向けFAQ

広報やPRはまた、何かあった時のためにメディア向けのFAQを用意することがよくあります。例えば何か不祥事があった場合、企業も政治家も似たような謝罪の言葉が並べている光景を見たことがあるのではないでしょうか?つまりメディア向けFAQも、テンプレート化されているものの一つだと言えます。

それならば、それほど頻繁には起こり得ないことで試してみようと思いました。

コマンド:会社が買収され、明日プレスリリースでメディアに向けて発表します。メディア向けのFAQを用意してください。

4-2. メディア向けFAQの作成

通常は、この記者なら、こんな質問してくるだろうなというリサーチや想定をしながら作るものですが、バイアスのないChatGPTはどんなものをアウトプットしてくるのでしょうか。

【会社の買収に関するメディア向けFAQ】

Q1: なぜ貴社は買収されることになったのですか?

A1: 買収は、貴社の成長戦略や価値を評価される結果として行われました。買収企業は、貴社が持つ技術、市場シェア、顧客基盤などを貴社が持つ事業と相補的であり、協力することで相乗効果を生むと考えたためです。

Q2: 買収によって貴社にどのような変化がもたらされるのでしょうか?

A2: 買収によって貴社は、新たな経営陣や組織構造のもとで事業を展開することになります。経営陣は貴社の強みを活かし、成長と競争力の向上を図るためにさまざまな戦略を実施する予定です。

Q3: 買収によって従業員に影響はありますか?

A3: 買収による従業員への影響については、現時点では具体的な情報はありません。ただし、新たな経営陣は従業員を重視し、貴社の成長と成功に向けて支援していく意向を持っています。変更がある場合は、従業員に対して適切なタイミングで情報を提供します。

Q4: 買収によって顧客やパートナーへの影響はありますか?

A4: 買収による影響については、現時点では具体的な情報はありません。買収企業は貴社の既存の顧客やパートナーとの関係を尊重し、ビジネスの継続性を重視しています。将来的な変更や進展がある場合は、関係者に対して適切なタイミングで連絡いたします。

Q5: 買収後の組織名やブランドは変更されますか?

A5: 現時点では、買収後の組織名やブランドに関する情報はありません。変更がある場合は、関係者に対して適切なタイミングで共有いたします。

Q6: 買収に関するさらなる情報や進展はどこで入手できますか?

A6: 買収に関するさらなる情報や進展については、貴社の公式発表や公式ウェブサイトを通じて入手できます。また、メディア関係者向けの問い合わせ窓口も設けておりますので、適切な担当者にご連絡ください。



上記のFAQは、買収に関する一般的な疑問や関心事に対する回答の例です。買収の具体的な内容や状況に応じて、適切な情報を追加したり調整したりする必要があるかもしれません。また、追加の質問がある場合や個別の状況に対応する必要がある場合は、貴社の広報担当者や関係部署と連携して、適切な回答を提供するよう努めてください。

ChatGPT as of June 26

正直なところ、まず貴社、弊社という正しい言葉を使い分けできていないことが気になりました。推察ですが、外国語でもともと持っているデータ・テンプレートを、日本語でアウトプットしている可能性があるような気がします。

内容を見てみると、当然物足りなく、ミニマムにアウトプットしてきたように思います。これは、コマンドの段階で、弊社がどういう業種で、なぜ買収されたのかなど、詳細の背景や情報をインプットしていないことも影響していると思います。通常クライアントワークとして請け負う時は、この数倍の量があるFAQになりますが、一概にChatGPTが知識不足とは言えません。

むしろこのようなデータ・テンプレートも持っているということがわかったことが、私にとって発見でした。そしてぼんやりとですが、今後はどうAIと共存していくのかの指針が見えてきました。

では次週、広報、PRには限らない、他の職種にも共通して見えてきたことを述べ、締めくくりたいと思います。また来てくださいね。

実験編<プレスリリース&メディアリスト>


この記事が参加している募集

広報の仕事

AIとやってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?