大人

しがない大学生だった私が昨年の4月に社会人になってから、もう1年経とうとしている。
あっという間だったような気もするし、大学生活が遠い昔のようにも思えてくる。まあ今のところはその日の体調で体感速度が変わる、そんな毎日である。

これだけ1年間働いてくると、分からなかったことが分かるようになる。が、それが分かったが故に倍の分からないことが新たに出現してくる、そんな1年だった。

また私のまだ知らない自分を新たに知る機会が多かった1年でもある。
電話対応や来客を数多くこなす中で、こんな丁寧な対応できるんだな、と私に思った。
同僚と当たり障りのない天気とかうわべだけの会話もできるんだな、とも私に思った。
子どもが苦手だったのに、今は優しくできてほほえましく思えるようになったんだな、なんてことも私に思った。

なんだか全部「大人」のイメージだ。
これは大人になったってことなのか?歳をとったということか?慣れ?

「○○くんは、ほんと落ち着いてるよね」
「○○くんは新人とは思えないよね」
「○○くんが一番大人だから、私たちも見習わないとね」

私が最近よく言われる言葉たち。
ほんとに褒め言葉か?他に褒めるところがないから言ってるんじゃ?なんて思うようになってきた。

思い返せば、子どもの頃から大人びてるだの真面目だの言われ続けていた。確かに真面目かもしれないが、ただ物事に対して冷めてるだけである。

でも大学では、少しだけ青春を取り戻せたような気がした。人並みに大学生活をすごして、熱量を獲得していた。

社会人になり、できることは多くなった。が、また熱は冷め始めている気がしてならない。
文学専攻だったのに本をまともにしばらく読めていないし、推していたアイドルグループは新メンバーが入って今はもうどうなっているか分からない。あんなに好きだったラジオも聞く量がだいぶ減ったし、お酒もほとんど飲まなくなった。当時のめりこんでいた恋愛は跡形もないし、パートナーもいない。大学時代の私を作りあげたものは、私のもとにはもういない。
社会人の私のもとには、いい人たちもいるが、悪意を隠さず私へ向けてくるような大人もいる。

大人であることは本当にいいことなのか?
慣れていくことはいいことなのか?
最近私は歳を重ねることに、異常な不安を覚えるようになった。
そして、このマインドではまた毎日悩み、いつか仕事を辞めかねない、そう思った。


でも今こうして文章にして、自分の脳内を整理しているうちに、社会人になってからの目標がなかったこと、そして慣れることに異常に恐れていることに気づいた。

もうすぐ1年目が終わる。慣れるな、自分。負けるな、私。

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