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ロシアからの日記。 第4話。ロシア自体は非ナチ化を必要としますか?

「ロシア自体ではナショナリズムの問題が深刻である背景で、《ウクライナで広がったナチズム》に対抗する必要性みたいな、戦争を正当化しようとする理屈は下らなくて、偽善に聞こえています」、とMさんが言いました。Mさんは私の趣味仲間で、大学生で、ダゲスタンと言うロシア連邦の共和国の出身者です。そして戦争について話し合った、ロシアに住んでいる相手の間にロシア人以外の民族の初めての代表です。 

MさんとMさんの両親とお兄さんは戦争に極反対です。Mさんが言った通り、この戦争でロシア人が「ナチズムとの戦い」みたいな言い訳を付けることは、Mさんの家族の全員に不審と違和感を覚えさせています。なぜかと言うと、4人はロシア人からのナショナリズム的な扱いに何回も遭いました。それゆえにこの戦争でMさんの家族は自分達をロシア人と併称しないで、戦争をまるで別国人のように自覚しています。そしてロシアが戦争で追っている国利と目標に何の同調を感じていません。Mさんの家族の全ての同調はウクライナ側に向けられています。 

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2月24日はプーチンがウクライナへ侵攻の主な目標の一つとして「非ナチ化」を掲げました。それは、近代のウクライナはネオナチスとバンデーラ主義者の国であり、ロシアの敵であり、ロシアを破壊するための西側の道具である、と言う2014年から続いてきた幅広いプロパガンダの論理的クライマックスになりました。そして長年のプロパガンダは実を結びました: ロシア国民の多くは「ウクライナではナチズムが栄えていて、ロシアはそれに対抗して、ウクライナ人をナチスの圧迫から解放しようとしている」みたいなテーゼに信じています、又は信じたがっています。(でも「非ナチ化」と言う用語のそのものは人達の多くにとって分かりにくくて、難しすぎているようです。それについて5月の始まりロシアの独立マスコミが伝えていました)。 

私はウクライナに行ったことがなくて、実態を100%に知りませんが、ウクライナに住んでいる知り合いとウクライナに住んでいた又はそこへ旅行した知り合いがいます。ウクライナについて様々な情報源から色々なことも読んでいます。人達との話とメディアから得た情報をまとめた結果、こう言うことが分かるようになりました。ウクライナでは政府から支えられている大規模なナチズムがないけど、多くの国のように、ナショナリズムに関わる問題があります。でもその程度と政治や日常生活へ与える影響をロシアのプロパガンダが大きく誇張しているらしいです。プロパガンダに信じていなくて、戦争を支持していないロシア人もそれを分かっています。 

とにかく、隣国に侵略して、隣国の領土を占領していて、その国の民族の国語、歴史と自己決定権を否定していて、その民族に対して憎しみまで扇動する行動は「ナチズム」と言う概念にもっとふさわしい、と多くの人達が思っています。この戦争でロシアの国内と国外行動はナチス・ドイツの行動にとても似ている、と言う意見も広がっています (そしてプーチンをヒトラーと比べて、「プトラー」と呼ぶ人も沢山います)。 

だから今日の記事で私はロシアにおけるナチズム、ナショナリズムとショーヴィニズムの問題を上げたいです。勿論、自分の経験に基づいて。 

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2010年ロシアの名門大学に進学する機会が現れました。実は、その前にロシアに勉強するについても、ロシアへ移住するについても全然考えませんでした。勿論、ロシア帝国とソ連がカザフスタンの歴史に悲劇的な役割を果たしたことは私のロシアに対しての気持ちへちょっと影響を与えました。でも主な理由は、スキンヘッドと言うネオナチスを恐怖したことでした。その頃カザフスタンでは、ロシアにナチズムが栄えていて、スキンヘッド達はヨーロッパ人以外の民族の代表に対して暴力を振るうって、それらを殺すこともよくある、と言う世論が成り立ちました。テレビ、インターネット、新聞と雑誌で時々上げられた事件もその噂を肯定しました。 

でもその大学に進学する機会はいいチャンスであったのが分かって、腹をくくって、私はそのチャンスを生かすことにしました。勉強の期間、自分の身を守るため、「夜は散歩しない」、「大学と学寮以外の場所に行く場合、黒いサングラスとマスクをかける」のような天真なルールに従うつもりでした。でもそのルールと私の恐怖について聞いて、私のカザフスタンからロシアに移住した幼馴染みは笑いました。「ここに来たら、カザフスタンに聞いたことは最早古い情報だ、ときっと分かるはずだ」、と言われました。そこでちょっと安心しました。しかしカザフスタンに4年間住んでいた学寮から引っ越した時、左様ならをした後輩の女性、私を抱き締めて、「あそこに気をつけてね! 神様のご保護がありますように」、と言いました。彼女もロシアのスキンヘッドとナチスについてよく聞きました。そこで私がまた不安になりました。 

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モスクワに来たら、ここでの異民族人にとっての暮らしの危険性はある程度大げさにされたことが分かるようになりました。サングラスとマスクについてのアイデアをすぐ忘れて、友達と一緒なら、いつでもどこでも行けることも分かりました (無論、犯罪率が高い地域以外です)。そして次の12年間ナチスによって襲われたことがありませんでした。 

しかしそのような恐れが全くなかった、と言えません。数が比較的に少なかったが、ナチスが他の民族の代表達へ暴力を振るうった事件は、私がロシアへ引っ越した後も起こり続けました。そんな事件の犠牲者は主に中央アジアとコーカサスから稼ぐためここに来た労働移民でした (でもそのような事件の数がこの12年間どんどん減ってきたらしいです)。 

ロシアのナチスに関わる一番強い印象を与えた出来事は2011年行われたロシアの行進 (Русский марш/ルスキー•マールシュ)でした。そのイベントは長年、毎年11月4日ロシアと旧ソ連諸国の色々な都市で行われていて、ロシアの民族主義組織、ナショナリスト、ナチスと極右を集めました。人気の頂点にある頃は、モスクワでそのイベントに何千人も参加しました。そのイベントの参加者がいつも「ロシア人のためのロシアだ、モスクワ人のためのモスクワだ!」、「ハチ(《хачи》、コーカサスの出身者の侮辱的な呼び方)を打て ー ロシアを助けろ!」、「コーカサスを養うのを止めろ!」みたいなスローガンを掲げて、行進しました。でも2011年行進に止まらないで、彼らは地下鉄に下りて、暴れて、異民族の人達を襲いました。その頃、私と私の旧ソ連諸国の出身者であったグループメイト達はこの事件に関する情報を暗い気持ちで見たり、読んだりしました。でも数年後、政府の色々な対策によってロシアの行進は衰えました。 

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ロシアでは、少なくとも2010年から本当のナチスに属する人達はマージナルな者だけを含めて、数が少ないらしいです。でもナショナリズムとショーヴィニズムのアイデアを抱いている人達の数が少なくないと思っています。勿論、その判断を自分の経験に基づいて、言っています。 

この12年間、ここに日常レベルでナショナリズム的、又ショーヴィニズム的扱いに遭ったことがあります。大学の頃、私がカザフスタンから来たため、若者の知り合いと大学職員のいくつかから見下すような態度が見せられました。カザフスタンについてステレオタイプに基づいた悪質な冗談も言われて、カザフスタンについて変な質問もされました。私の名前がロシア人にとって言いにくくて、その代わり私の名前に発音が近いロシア人の名前で呼ぶのも一回提案されました (勿論、その提案をすぐ拒否しました)。地下鉄でクラシック的な「Понаехали тут! (ポナイエーハリ•ツーツ!/ ここに来やがって!)」を言われたこともあります。長男が2歳でした頃、長男とバースの中に話していた時、他の乗客の男性は私の息子について「Узкоглазый (ウスコグラージー/ 目が小さい)」、と言いました。(人種主義の考えのロシア人がアジア人に対してその言葉をよく使っています)。そして中国人が比較的に沢山住んでいた地域に暮らした頃、散歩の時、私にロシア人の50年以上の男性が近付いて、公憤を覚えるような表情とイントネーションで「おまえたちが! 中国人と韓国人め。。。」、と言い始めましたが、私が「私は中国人ではなくて、韓国人でもない」、と言って、早くあそこから逃げ出しました。 

上記は直接私に向けた扱いの例です。それ以外、同僚と知り合いからキルギス人、ウズベク人、タジク人、ウクライナ人、又コーカサス出身者についてショーヴィニズムめいた又は先入観めいたことを何回も聞いたことがあります。学生時代のグループメイトの多くも (ロシア人以外) 大体同じ経験をしたことも知っています。(しかしこのテーマについてグループメイトと話し合ったのは10~12年前の頃です)。 

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でも近3~4年、ナショナリズム的、又ショーヴィニズム的扱いにめったに遭ったことがないのを認めています。それに夫の観察によると、8~10年前、私達みたいな混合カップル (夫はロシア人です) は珍しかったで、人目を引きましたが、今は普通になって、驚くことはないことになりました。つまり全ロシアについて言えませんが、近年モスクワに住んでいる一般のロシア人が異民族に対してもっと寛容になった、と気がします。 

他の一方では、それと同時に政府はショービニズム的な進路に立ったらしいです。2018年ロシアで母国語の学びに関する法が採択されました。その法によると、ロシア連邦の共和国に住んでいる学校の生徒達がその共和国の国語を学ぶ必要性から解放されました。2020年行われた憲法改正にロシア民族の地位が国家形成民族として定まれました。この二つの件はロシアに住んでいる他の民族の権利の侵害として多くの人達から見られています。 

勿論、2014年から「ウクライナは元々ロシア人の土地であって、人工的に作られた国だ」、「ウクライナ語は人工的な言語だ」みたいなテーゼを作るプロパガンダの規模は何倍も増えてきました。そのプロパガンダがウクライナに止まらず、旧ソ連の他の国々にも関しています 。例えば、プーチンが言った通り、旧ソ連諸国の領土の大部分は、ロシアからその国々へのプレゼントだ、みたいなテーゼはプロパガンダによって大規模に広められています。ウクライナと他の旧ソ連諸国の言語、文化と歴史はロシアの言語、文化と歴史に劣るから、その国々にはロシアに逆らう権利がなくて、全ての問題でロシアに従うべきだ、みたいなアイデアとロシアの特別な道と義務についてのアイデアもプロパガンダを消費する人達の間に人気です。この背景で現在ウクライナでは、ロシアのネオナチス団体の代表達はロシア側に戦争に参加している、と言うニュースはパラドックス的じゃなく、結構合理的に見えています。 

そして今、帝国主義とショービニズムはほとんど国家イデオロギーになった時、ナチス、ナショナリストとショーヴィニストのような、先鋭的に考えている人達は、国の支援と自分の正しさを感じて、活発な行動し始める恐れがあります。その場合、ロシア自体は非ナチ化を必要とするかもしれません。

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