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戦略ファームのシニアには4タイプの人種がいる

戦略コンサルタントのアップルです。

今回の記事では、戦略ファームのシニア層にはどういうタイプの人材がいるのかを、アップルの私見ももとにタイプ分けしてみます。コンサルティング業界志望者や、コンサルティングファームと付き合いのある方は気になる部分もあるのではないかと思いますので、興味ある方はご覧ください!

はじめに

戦略ファームもそうですが、プロフェッショナルファームでは役職が上がるにつれてその人の「色」が出てきます。出てきますというよりは出さざるを得なくなってきます。

一兵卒のコンサルタントは色を出すことはさほど求められません。コンサルティングプロジェクトの中で自分の持ち場を与えられ、調査・分析・アウトプットをしながら与えられたイシューや論点に答えを出していくのがミッションだからです。アサインはシニアが握っているため自分で仕事を選ぶこともほとんどできません。与えられた仕事をきっちりこなす。これに尽きます。

一方で、プロジェクトリーダーくらいからは自分の色を出すことが求められてきます。クライアントのフロントに徐々に立つことになりますし、仕事を自分で選別したりとったりする動きも求められてくるからです。自分流のスタイルを確立しながら、継続的に仕事を創出し回していく必要が出てきます。

【スタイルの確立の仕方の例】
・ある特定のクライアントに気に入られながらそのクライアントを徹底的に深掘りする
・ある業界の知見を深め、その業界の企業にフォーカスしてプロジェクトを営業・デリバリーしていく
・業界ではなくテーマの軸(デジタル、新規事業、組織改革など)で自分の強みと専門性を確立し、その得意なテーマで戦っていく

自分流のスタイルの確立の仕方は上記のように様々ですが、いずれにせよなにかしらのスタイルを作っていく必要が出てきます。

そのため、戦略ファームでは、役職が上位になればなるほどその人の特徴が色濃く出てきます。三者三様といってもよいですが、大きくくくるとタイプ分けができます。

タイプを分けの考え方

アップルがいろんな人を見てきた経験を踏まえると、次の2つの軸で分類するのが一つのしっくりくる分け方です。

顧客志向の強弱
コンサルティングはクライアントワークなので、顧客なくては成立しません。ただ、その中でも、ある特定の顧客に対してコミットする顧客志向の強さには濃淡があります。

バリューの出し方(発想力⇔構造化力)

アウトプットをどう出すかというアプローチです。大きく分けると「発想型」と「構造化型」に分けられます。

この2軸で4つにタイプ分けをすると、以下のとおりとなります。

シニアタイプ分け

それぞれのタイプの特徴を順に説明していきましょう。

 ①アナロジー勝負型

クライアントをある程度絞りながら、そのクライアントに対して発想力や切り口で付加価値をつけていくタイプのシニアです。

クライアントは自分たちが属する業界のことは詳しく知っています。業界知見だけで真っ向勝負を挑んでもなかなか勝てません。そこで、ほかの業界で何が起きているのか、世の中を俯瞰したときにどういう社会トレンドや技術トレンドがあるのかといった、クライアントが詳しくは知らないことを起点に発想しクライアントに提言をしていくのがこのタイプです。

このタイプのシニアは、クライアントに対して意味があることや知るべきことを伝えるために、熱心に勉強しています。毎日様々なニュースをウォッチしたり、たくさんの本を読んでいたりします。

 ②顧客深掘り型

顧客のことを徹底的に深く知り、クライアント企業の個性を踏まえた課題提起や問題解決で価値を付けるタイプのシニアです。

このタイプのシニアは、クライアントのことを愛しています。クライアントをビジネスパートナーと位置づけ、クライアントのためになることならなんでもしたいというマインドを持っています。愛する力がないとなれないタイプです。

クライアントのためになることなら仕事を選びません。自分が必ずしも得意ではないテーマでも、それがクライアントのためになるのであれば、厭わずに仕事をとりに行きます。

またこのタイプは、クライアントの課題を察知・推察しその問題解決を手伝うやり方がメインとなるため、発想力というよりは、問題の構造化力が強い傾向にあります。

 ③コンセプトメイカー型

クリエイター気質のタイプです。常に産業や業界という視点で物事を考えており、特定のクライアントにコミットするというよりは、その時々で自分のやりたいことに共感するクライアントとともに仕事をする傾向があります。

産業や業界を俯瞰する中から新たなビジネスのコンセプトを作ります。戦略ファームから生まれたコンセプトやフレームワーク(例えば、BCGのプロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)など)は色々ありますが、過去そういうものを生み出してきたのもこのタイプの人だっただろうと推測します。新たなコンセプトを生み出せるという意味で、4タイプの中で最もイノベーティブであり、天才肌です。

クリエイターであるがゆえに、幅広い業界の人と人脈があるのもこのタイプの特徴です。筋の良い人脈の中から、常時質の高い情報を仕入れ、それをコンセプトへと昇華させていく。そういう活動をしているイメージです。

 ④問題解決職人型

問題解決がとにかく好きというタイプです。いわば「問題解決職人」。そういう意味では最もコンサルっぽい人種かもしれません。

顧客や業界を問わず、直面するイシューが面白そうかどうかで仕事を選びます。受験問題を解くかのように次々と問題解決をしていきます。顧客よりもイシューを重視するので特定のクライアントには必ずしも縛られません。

特徴としてはロジック力、つまり左脳が異常に強いことです。どんなイシューであっても問題を構造化し、手を打つべき箇所を特定し、効果的な打ち手を提言するのが得意な人がこのタイプにおさまる傾向があります。

まとめ

以上、戦略ファームのシニアの4タイプを解説しました。あくまで一つの見方なので、全然別のタイプ分けもあり得ると思います。一口に戦略コンサルタントといってもいろんなタイプの人がいることが多少なりとも伝わったのであれば幸いです。

ちなみに、みなさんが所属する組織の幹部を同様に分類してみるのも面白いでしょう。

大企業でよくつかわれるのは、調整型/牽引型という軸です。前者は関係者をうまく調整してコンセンサスを取りながら仕事を進めていくタイプの人、後者はビジョンを示してリーダーシップで引っ張っていくタイプの人です。

・うちの会社でもう1軸加えるとすれば、どういう軸か?
・(幹部の方は)自分はどのタイプに該当するか?
・(若手の方は)将来自分はどういうタイプのリーダーになりたいか?なれそうか?

そういうことを考えるのもなかなか楽しいです。


今回はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございました!

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