戦略コンサル流・実践的ビジネスモデルの作り方 ~初級編~
戦略コンサルタントのアップルです。
noteを書き始めて5日ほど経ちました。
いまのところ、頑張って毎日1~2本記事を書いています。書きたいネタやテーマはいろいろあるので、失速せずに、継続的に書いていこうと思います。
さて、私は抽象的な思考を好む特性があり(なんでも一般化や法則化しようとする癖があります)、これまでに書いた記事は抽象度の高いものにやや偏っているかもしれません。
そこで今回は、すぐに使える具体的な手法をご紹介します。
テーマは「ビジネスモデル」です。
ビジネスパーソンであれば日常的に耳にしたり触れる言葉です。ただ、このビジネスモデルという言葉は、人によって定義や捉え方が異なる言葉でもあります。
※ちなみに「戦略」という言葉も、同様に定義や解釈の幅がある言葉です。戦略とは何かについては、また別の記事で話そうと思います。
ビジネスモデルという言葉を、みなさんはどうとらえていますか?
いろんな記事や書籍をみても、様々な定義がなされています。
「ビジネスモデルとは、収益を生み出すための仕組みである」
とか、
「企業が利益を生み出し、事業を継続させるための仕組み」
とか。
このようなふわっとした定義もあってよいのですが、実践的ではありません。
あなたが会社で事業企画の担当になり、「弊社の新たなビジネスモデルを考えよ」というミッションを負ったとします。そのとき、上記のようなふわっとした定義では、何から手を付けたらよいのやらと迷ってしまうのではないでしょうか?
ビジネスモデルを作る側に立つと、実践的な定義やフレームが欲しくなります。
そこで、今回は、シンプルですが実践的なビジネスモデルの定義を初級編としてお話します(実際にコンサルティング業務の中で私もこのフレームで考えてきました)。
ビジネスモデルのシンプルかつ実践的な定義
「ビジネスモデルとは、誰に(顧客)、何を(提供価値)、どうやって(価値を届ける方法)、どうやってお金を(マネタイズ)の4点セットが設計されたものである」
これが最も実践的な定義です。
かつ、基本的には、この順番で設計していくのがセオリーです。間違っても、いきなりマネタイズから考えてはいけません。
誰に(顧客)
あたりまえですが、すべてのビジネスには商品やサービスを利用する顧客がいます。ここを定めないとビジネスモデルにはなりません。
誰の、どんなニーズや悩み事を解決するのか。
ここを定めないままふわっとビジネスの検討が行われているケースをしばしばみかけますが、ターゲット顧客がシャープに定まっていないと、提供価値や儲け方もぼやけてしまい、ビジネスモデルとしての成立が怪しくなります。
何を(提供価値)
ターゲット顧客を定めた後は、その顧客にどんな価値を届けるかを設計します。ここでポイントになるのは、深く顧客のニーズや課題を洞察することです。そのための調査や分析を徹底してやる必要があります。
例えば、中小の建設事業者をターゲットにビジネスを考える場合を考えましょう。かつ、IoTやICTで何かビジネスをしたいとしましょう。
こういう場合、中小建設事業者が、どういう課題を抱えているかを網羅的かつ深く分析する必要があります。特に大事なのは分析の「深さ」です。例えば「人手不足を何とかしたい」という課題を抱えているとしましょう。人手不足というのは、あくまで現象です。なぜ人手不足になっているのかという原因を特定するのが重要です。
例えば、定年退職などで熟練の建設労働者が減った結果、労働生産性が落ち、頭数は変わっていないが人手不足になっているとしましょう。この場合は、熟練労働者の技やノウハウを伝承するところにテクノロジーを活用し課題解決する必要があります。
あるいは、人手不足は、よくよく聞いてみると受注の波があることが原因になっているかもしれません。受注が集中したときに一時的に人手不足が顕在化するという構造です。この場合は受注を安定化させるためのソリューション(例えば、複数の事業者を束ね、受注を分配する仕組みを作るとか)がポイントになります。
このように、課題の根っこにある真因によって提供すべき価値は大きく変わってくるので、そこをしっかり探り、分析するのが大事になります。
どうやって(価値を届ける方法)
平たくいえば、売り方です。マーケティングや営業体制をどうするかはもちろん、今後のビジネスでは、「どんな企業と協業するか」という視点が大事になります。いわゆるパートナリングです。
顧客の課題も、自社だけでは十分解決な解決策を提示できないケースもあります。その場合、他社がもっているソリューションと組みあわせ、骨太な商品サービスに仕立てる必要があります。
また、この「どうやって」の中で、自社の強みをどう生かすか、競争優位性をどう築くか、というエッセンスことも織り込む必要があります。
どうやってお金を(マネタイズ)
その名のとおり、お金の取り方です。提供価値の対価を誰からどうとるかという話です。マネタイズを考える上でのポイントは2つあります。
・狙う「原資」を定める
お金をとるためには、どの財布からもらうか、ということを強く意識する必要があります。これをコンサル業界では原資といいます。
BtoCのビジネスで、例えば最近普及しているカーシェアを考えましょう。カーシェアは月額基本料と従量課金でお金をとっています。これがターゲットにしている原資は「もしクルマをもっていたら、あるいは、今クルマを持っているから支払うお金」になります。クルマを持っていたら月々ガソリン代や駐車場代などの維持費がかかります。これを原資とみなし、それよりははるかに安いですよと訴求し、お金をとっています。
同様に、BtoBのビジネスでも、例えばコスト削減で価値を訴求するなら、「どのコスト項目の財布に手を突っ込むのか」ということを定めるのが大事です。
・価値の提供先とお金の取り先をずらすことも考える
ビジネスモデルは近年複雑になっています。そのため価値の提供先とお金の取り先がずれるビジネスも増えてきています。
もっとも一般的なのは広告モデルです。テレビは視聴者はお金は払いません。いろんなコンテンツをタダでみれます。お金を払っているのはCMを流す広告主です。
また、最近流行りの「データビジネス」もこのような側面があります。データをとるためにスマホアプリなどをタダ、もしくは安価にばらまきます。一見するとアプリの利用者に価値を提供しています。が、そこで得られたデータをもとに、そのデータに価値を見出す事業者に販売し、お金をとるというのがデータビジネスのモデルです。
このように、価値の提供先とお金の取り先をずらすと、ビジネスモデルに面白みや厚みが出てきます。
今回はここまでです。
ビジネスモデルを考えないといけない立場にある方は、ぜひ「基本的な型」として実践で活用してみてください!
今後中級編や上級編も書いていきたいと思います。
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