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新ジャンル製品AirTagの作り込まれたデザインに迫る

今回はAirTagのデザインについて考えてみたいと思います。

まずは外観から。

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シルエットは円形ですが、板状ではなく、中央が膨らんだ形状をしています。

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側面から見た時に思い出すのが、iPhone 3G(3GS)。
分解してみないと実情は不明ですが、おそらく内部パーツを収めるためのスペースを確保しつつ、薄くするための形状でしょう。
Appleにはよくあるデザインです。

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それにしても、冷蔵庫に貼ってあったりするマグネットにそっくりな気がするんですが、気のせいでしょうか……

アクセサリのキーリングやループは、AirTag本体を収納するポケットの中心がくり抜かれており、AirTag本体が見えるようになっています。

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このような仕様となっている理由は色々と考えられますが、
①AirTag単体で使用する場合との見た目の統一感をたもつ、②アクセサリの中にAirTag本体が入っているかを確認できるようにという配慮、③単体でも美しいAirTagの外観を隠すのはもったいない、といったところでしょうか。

このように、本体が見えるような構造のアクセサリーを作ろうとすると、本体の形状もおのずと円形にならざるをえません。

競合製品のTileを見てもわかりますが、トラッキングデバイスの形状は、基本的には円形か四角形の2パータンしかありません。
小さくてかさばらないことが求められるため、複雑な形状にする意味はなく、円形か四角形のどちらかに分類される形状になるはずです。

では、AirTagはなぜ四角形ではなく円形のシルエットが採用されたのかという点が問題になりますが、これはおそらく、先ほどのアクセサリの形状の話が関係していると思われます。

AirTag本体が収納できて、かつ、切り抜きから本体が見えるようなアクセサリーを用いる場合、AirTag本体が四角形だと問題が生じます。
わかりやすいように図を用意しました。

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Aの図では、濃いグレーの丸がAirTag本体のシルエットで、淡いグレーの丸がアクセサリーから覗き見える範囲(切り抜かれた部分)を示しています。

Bの図は、赤色で示したAirTag本体と同じサイズの丸を、Aの図の上に重ねたものです。当然、赤い丸が淡いグレーの丸を通り抜けることはありません。

一方、Cの図は、A図の2つの丸に対応するように,それぞれの丸の直径を一片の長さとする2つの正方形を重ねたものです。

そしてD図では、C図の濃いグレーで示した正方形を45度傾けたもの(赤い四角形)を、C図の上に重ねています。

D図を見ると、赤い四角形は淡い四角形で示したエリアを通り抜けてしまうことが分かります。

つまり、四角形の場合、アクセサリーにAirTag本体を収納しようとした際に、本体がケースからすっぽ抜けてしまう場合があるわけです。
これはあまり気分のいいものではありません。
マンホールのフタが丸い理由と同じような話ですね。

もちろん、この問題には解決策があります。
本体は四角形にして覗き窓を円形にすれば、本体がすっぽ抜ける問題は生じません。

しかし、内蔵しているボタン電池も円形のシルエットであることを考えると、本体のシルエットも円形にするのが、よりシンプルというもの。

そうなると、そもそも本体を包み込むタイプのアクセサリーに問題があるのではないか、本体に直接穴を開けた方がよかったのではないか(=Tileのデザイン)とも思えてきます。

これは判断が分かれるところでしょうが、本体に直接穴を開けてしまうと、トラッキング対象との接続方法が限定的になってしまいます。
穴にリングやチェーン、紐を通す方式に限定されてしまうので、AirTagループのような接続ができなくなります。

AirTagは、アクセサリーのデザイン次第で、(多少全体のサイズが大きくなるとしても)接続方法が幅広くなるという点を優先したものと思われます。
また、HermèsコラボのAirTagは、アクセサリーがAirTag本体を覆ってしまうからこそ、純正のレザーアクセサリーと区別のつくデザインに仕上がっています。

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最後にApple純正のAirTagアクセサリのデザインを見ておきましょう。

Appleが販売しているのは、AirTagレザーキーリング、AirTagレザーループ、AirTagループです。後ろの2つは素材の違い(レザー製かポリウレタン製か)だけで、形自体は同一です。

キーリングは、金属製のリングにAirTagを包み込んだケースがぶら下がっているデザインです。

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ループの方は、AirTagを包み込んだケースから帯状のパーツが伸びていて、その先端をAirTag本体に引っ掛けることで、輪っか(ループ)を作っています。

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名前の関係で、キーリングはキーリングにしか使えず、他のものにつけるならループを選ぶようにも見えますが、そうすると、トラッキング対象に接続しにくい場合もあります。
Appleのプレス画像では、スーツケースの持ち手のトップの部分にループをつけていますが、その部分はユーザーが掴む部分であるため現実的ではありません。

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実際に使う場合は、AirTagは持ち手の両端までずり落ちることになりますが、その場合、AirTagが横向きになってしまい不恰好です。

他のプレス画像ではキーリングをカバンにつけた画像がありますし、名前に関係なく、用途で使い分けることを想定しているのではないかと思います。

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このように見ると、キーリングとループは、トラッキング対象との接続に使うための輪っか向きがユーザーから見て正面向きか横向きかという、向きの違いを考慮したバリエーションということになりそうです。
ちなみにBelkinの製品も、接続方法がApple純正品と被らないようなデザインになっています。

今後はAirTagが仕込めるレザーのポーチとかケースが出たら楽しいかもしれません。

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