こんにちは!
ストレングス&コンディショニングコーチでありムーブメントコーチの山越です!
今日は、この業界に入ってからずーっと侮っていたことについて書きます。
何について侮っていたか?
それは
「大腿四頭筋って何のためにあるの?硬くなりやすいし、股関節から力を出さなければ大した力も出せないしまじで鍛える意味なくね?スクワットやその他の下半身のエクササイズをやっている中でついでに鍛えられればいいよね?膝の靭帯損傷をして、その術後リハビリの過程で健側と同程度の筋量になるまで鍛える必要はあるかもしれないけど普通にトレーニングできる人は特段鍛える必要もないよね。」
ということです。(長い)
しかし、それは間違いでした。
どこも怪我していなくて、普通にトレーニングや練習できる人でも鍛えた方がいい場合があります。
大腿四頭筋を鍛えた方がいい理由その①
ジャンプやスプリントで必要な下肢で地面を押す力を上げたいとき。
下肢が地面を押す力は股関節から生み出されて、末端の足部に伝わります。
この時大きな力を出すのは大臀筋、ハムストリングス、内転筋群、などの股関節伸展筋群です。
これらの筋肉の生成する力が地面を押す力の源になります。
そして、この股関節伸展筋群が生み出した力が無駄になることなく末端に伝わり、その地面反力が重心移動に貢献するためには体幹部の剛性=固める力が高い必要があるのですが、その話をしだすと長くなってしまうので今回は下半身のみで話を進めます。
股関節から生み出した力は膝を介して最終的には足部に伝わります。
この時に、股関節の力を受け止め、伝達できるキャパが膝の伸展筋群=大腿四頭筋にないと股関節からの力が十分に末端に伝わっていきません。
例えば、股関節伸展筋群が10の力を生み出せても、膝関節伸展筋群が4の力しか受け止められなかったら4の力しか末端には伝わっていきません。
非常にざっくりとした例で申し訳ないのですが、非常にもったいない結果を引き起こしてしまうのです。
だからと言って、大腿四頭筋を鍛えるのに時間をたくさんたくさん割いたほうがいいのかというとこれはケースバイケース、人によります。
下肢の筋肉を見ていく中で、明らかに腿前の、特に内側のボリュームが少ない選手に関しては大腿四頭筋を個別で鍛える必要はあると思います。
特に、先にも述べましたが膝の靭帯損傷(ACL損傷・断裂、MCL損傷・断裂、アンハッピートライアッドなど)で再建手術・長期間の固定を余儀なくされた場合は、大腿四頭筋の中の、特に内側広筋が恐ろしくボリュームが減ります。
ここのボリュームが少ないままだと膝の左右の安定性にも関わるし、健側と比べてボリュームが少ないままだと出せる力も少なくなります。
出せる力が少ないのにスプリントやジャンプ含む、競技動作で健側の出力に合わせて力を出していると出力、持久力、安定性など様々な要素が少ない中での稼働になるため負担が大きくなっていきます。
もしくは、力を出しにくい患側(怪我している・していた側)を庇って検測にばかり負担がかかり、健側が怪我をする、ということがよく起こります。(もちろん、理由は様々なので一概には言えませんが)
とりあえず。
大腿四頭筋は股関節の伸展筋群から生み出された力を無駄なく伝えるためのとても重要な役割を担っている筋肉であるので、しっかり鍛えましょう。
スクワットやウェイトリフティングの挙上重量を上げたい時に補助的に鍛えるのとかいいと思います。
大腿四頭筋を鍛えたほうがいい理由その②
そもそもしゃがむときにめっちゃ重要。
トレーニングを指導していくときに、よほどのことがなければ下半身を鍛えるエクササイズにスクワットは組み込みます。
このスクワットを指導するときによく起こる問題の一つに
深くしゃがめない
という問題に直面することが多くあります。
理由はたくさんあるんです。
人の数だけあると言っても過言でもありません。
いくつか理由を挙げてみます。
重量を担ぐ、バックスクワットでしゃがめない場合で考えます。
股関節が曲げ方がわからない
本能的に、その重さではしゃがんだら立ち上がれないとわかるからしゃがめない
脊柱の伸展ができない
肩甲骨が寄せられない
呼吸が正しくできないため、腹圧が高められず、脊柱に負担がかかってしまう
足首が曲がらない
足部の体重をかける位置が安定しないため、不安定になってしまう
バックスクワットの適切なフォームを知らない、身についていない
膝が曲がらない
とまあ思いつく限りあげてみました。
「これだけ?それでもトレーナーなの?もっとあるじゃん!例えば、、、」ていうのがあったら教えてください。
そして、スクワットでしゃがめない理由にもう一つ、エントリーさせてほしいもの。
それが
大腿四頭筋がエキセントリックな力発揮ができない、もしくは苦手
というのがあります。
エキセントリックな力発揮って?
筋肉には大きく分けて3つの収縮の形態があります。
①筋肉の長さが短くなる方向に収縮するコンセントリック収縮
②筋肉の長さが長くなるのに耐えるために収縮するエキセントリック収縮(結果的には長くなる)
③筋肉の長さを変えないために収縮するアイソメトリック収縮
この3つです。
分かりやすくアームカールで説明します。
①肘を伸ばした状態から曲げていくのがコンセントリック収縮
②曲げ切った肘をゆっくり速度をコントロールしながら伸ばしていくのがエキセントリック収縮
③肘の曲げ伸ばしの最中であればどこでもいいので、肘の屈筋群(上腕二頭筋など)に負荷がかかったポジションで止めておくのがアイソメトリック収縮
です。
エキセントリック収縮は筋肉が引き伸ばされながら、それに耐えるために筋肉が収縮するのでコンセントリック収縮以上に筋にかかる負荷は高くなります。
なのでトレーニングにおいて正しいフォーム・安定したフォームで動けるようになるためにはこのエキセントリック収縮がしっかりできることがキーポイントになるわけです。
で、スクワットに話を戻します。
スクワットの下降局面においての各関節の動きを見ます。
股関節→屈曲
膝関節→屈曲
足関節→背屈
このとき、膝関節の伸展筋である大腿四頭筋はエキセントリック収縮を要求されるわけです。
しかし、大腿四頭筋がエキセントリック収縮に慣れていないとこのスクワットの下降はやりづらいものになっていきます。
膝が曲がっていくのに、大腿四頭筋が伸ばされすぎないように耐える力を十分に発揮できないと極端な話ある一定の深さから耐えられなくなり力が抜けたり、防衛本能で「これ以上しゃがみたくない」と拒否反応を起こしてしゃがめなくなってしまうことが起きてしまうのです。
実際、今見ている中学生のバスケットボールクラブの選手で膝の軟骨の手術をした選手がいます。
術後の経過もよく、筋力を戻していく段階なので積極的にトレーニングを行わせています。
その選手にシングルレッグのスクワットを指導しました。(片脚でバランスを保ちながら行うスクワット)
しかし、ある一定の深さから下にはしゃがめません。
なのでこの選手に大腿四頭筋をエキセントリック収縮メインで使うエクササイズを処方した後、シングルレッグスクワットを行ってもらったところ、「やりやすいです!」との感想をいただきました。
これはただの一例ですが、大腿四頭筋のエキセントリック収縮能力もスクワットにおいて深くしゃがむためには必要な要素なんだよ、というお話でした。
学べば学ぶほど、自分の考えが浅く、浅はかだったと知れることが多いですすね。
人の健康に携わる仕事である以上、日々勉強です。
では。
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