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#ネタバレ 映画「フード・ラック!食運」

「フード・ラック!食運」
2020年作品
常連は「裏メニュー」を知る
2020/11/23 17:53 by さくらんぼ (修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

上映開始時刻が合いましたので、今日はこの映画を観ました。心地よいリズムでサクサク進む作品です。

途中ふと気がついたのですが、「マンガを実写で再現した」みたいな作風だと思いました。

映画「天国にいちばん近い島」や、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」などもそうでしたね。

映画「フード・ラック!食運」は、焼き肉の映画と思いきや、主役は「裏メニュー」のようで、それは「いちばんたいせつなことは、目に見えない」にもつながっていくのだと思いました。

帰りには旨いホルモンが食べたくなります。

★★★☆

追記 ( 舞台裏の視点 ) 
2020/11/24 10:07 by さくらんぼ

冒頭に出てきた「焼き肉4枚」は「四つ葉のクローバー」の記号ですね。タイトルの「幸運」にかけてあるのでしょう。

そしてまた、「全方向」の記号にも感じました。

①ヒロインの新人女性編集者・竹中静香(土屋太鳳さん)や、人気グルメ評論家・古山達也(松尾諭さん)は、お店に対する私たちの視点を代表してます。どのお店が旨いか。どう宣伝すればこのお店の良さを分かってもらえるか、みたいな。いわゆる表側の視線です。

②でも、主人公・フリーライター・佐藤良人(EXILE NAOTOさん)は、お店側の視点を代表しているように思いました。料理人と家族の苦労、料理人同士の交流(師弟関係みたいな)視点です。舞台裏ですね。

そして、このドラマは私たちが普段気づかない②を見せてくれるのです。

追記Ⅱ ( 一番大切なわが子 ) 
2020/11/24 10:21 by さくらんぼ

佐藤良人の実家は焼き肉店でしたが、その旨さの秘訣の一つは、添えられる(裏方である)「ぬか漬け」だったのです。

焼き肉の油を「ぬか漬け」が落とすので、また肉が食べたくなるのです。

その「ぬか漬け」に(兄のように)嫉妬した幼かった佐藤良人は、「ぬか漬け」に洗剤を混ぜて食中毒事件を起こしたり、果ては「ぬか漬け」の瓶を割ってしまいます。

すると、母は怒るどころか、ぬか漬けを放置したまま、「大丈夫、ケガはない?」と佐藤良人を抱きしめたのです。

(表方)焼き肉 → ぬか漬け → 佐藤良人(裏方)

の構図がありましたね。見えない大切な(裏方)が見えてきました。

追記Ⅲ ( 瓶の中のTV ) 
2020/11/24 10:34 by さくらんぼ

割れた「ぬか漬け」の瓶は、その後、修理してしばらく使っていました。

しかし、今は廃業したので、中は空っぽです、と思いきや…

それは物入に使われており、古いポータブルTVがビニールに包んで入っていたのです。

そのTVは、弟子も同然の他店の店主が、昔、仕事の合間に見ていた自分専用のものでした。

母は自分秘伝の焼き肉のたれを分け与える代わりに、そのTVを預かったのです。「こんなもの観ている暇が合ったら、頭を使い、手を動かして、安い材料を、どうしたら美味しくできるか考えよ」という指導でした。

「大切なものは目に見えない」のです。

そして、そのTVが瓶の中に入っていたということは、TVを宝物に変えるという意味なのでしょうか。

追記Ⅳ ( 「天むす」の脇役たち ) 
2020/11/26 10:01 by さくらんぼ

>そして、佐藤良人の実家は焼き肉店でしたが、その旨さの秘訣の一つは、添えられる(裏方である)「ぬか漬け」だったのです。(追記Ⅱより)

元々は三重県の発祥らしいですが、「名古屋めし」の一つとしても「天むす」があります。

小エビの天ぷらを入れて、海苔でくるんだおにぎりです。

普通のおにぎり同様に冷えても美味しいですが、若い頃私は名古屋の専門店で食べたことがあります。

揚げたての天ぷらと、熱々のごはんで握ったおにぎりは、格別の美味しさでした。

そして、天むすには欠かせないのが「きゃらぶき」です。あれがないと天むすとは認めたくない程、味がマッチしています。

そして、デザートに出て来る一かけらのリンゴ。

あの、ヒンヤリとした舌ざわり、サクサクした感触、そして香りと甘酸っぱさの、何と美味しいことでしょう。

もしかしたら、「天むす」とは、失礼ながら、あのリンゴ(裏方)を食べるための前奏曲ではなかったのかと、思うぐらいです。

追記Ⅴ ( 「 本当は怖いグリム童話 」 ) 
2020/11/28 9:35 by さくらんぼ

>その「ぬか漬け」に(兄のように)嫉妬した幼かった佐藤良人は、「ぬか漬け」に洗剤を混ぜて食中毒事件を起こしたり、果ては「ぬか漬け」の瓶を割ってしまいます。(追記Ⅱより)

(兄のように)とは、「母が生まれたばかりの弟の世話をするので兄が嫉妬する」という意味です。三角関係ですね。

映画「仄暗い水の底から」が、深層的には「二人の子供を1人づつ連れて去る、離婚夫婦の暗喩話」かも知れないのなら、この映画「フード・ラック!食運」は「母の浮気話」かもしれませんね。

母子家庭の主人公親子がいて、その母が浮気をし、種違いの弟が出来て母が可愛がるものだから、兄になった佐藤良人は嫉妬して弟を殺すのです。これが記号化された「ぬか漬け」の瓶を割った事件。

後に反省した兄は「ぬか漬け」を再生しようとしますが、当然に一人では上手く行かず、母の弟子の男に頭を下げ、秘伝を教わりに行くのですが、これは浮気男にまた種をもらいに行くことの記号なのかもしれません。

浮気男たちは他にも出てきて、他店の味を盗みに行くのです。普通の客のふりをして繰り返し店に通い、味を盗むのです。

普通なら気づかれた段階で追い出されても仕方がないのに、店主は「これがうちのタレだ、持っていけ」と差し出しました。浮気の誘いに応じたという事でしょうか。

そして、佐藤良人が「ぬか漬け」の瓶を壊す前には、嫌がらせとして「ぬか漬け」に洗剤(種)を入れて食中毒事件を起こしていますが、あれなども性的なにおいがします。

追記Ⅵ ( 太鳳さんファンに ) 
2020/11/30 21:46 by さくらんぼ

もちろん土屋太鳳さんに直接お会いしたこともありませんし、どんな方か存じません。

でも、TBSテレビ「ニンゲン観察バラエティ モニタリング」は好きで良く観るのですが、たまに出られる土屋太鳳さんの、(ほぼ)あのキャラのままで映画に登場されますから、太鳳さんファンの方は安心してご覧いただけます。

そして、最初から最後までたっぷりと登場されることも付け加えておきます。

追記Ⅶ ( 常連は「裏ワザ」を知る ) 
2020/12/6 17:52 by さくらんぼ

そう言えば、佐藤良人の母が「おいしくなぁれ!」と料理に「おまじない」をかけるエピソードがありました。

あれは、ありえる事だと思います。

お酒でも、コーヒーでも実験できますが、手のひらから出る「気」を数秒間入れれば、味が変わります。

基本的には「トロミ」がつきます。

酒の場合は「トロミ」が美味しく感じられます。

誰でも出来ますから、実験してみて下さい。

ちなみに私の場合、冬場にマイボトルに入れた熱いお湯を、寝る前に飲もうとすると、熱すぎることがあります。

ボトルを手に持って「ふ~、ふ~」と冷ますと、手のひらから金属ボトルを透過して「気」が入ってしまい、「トロミ」がついてしまうのです。お湯には不必要ですから、いつも困惑してます。

追記Ⅷ ( ぬか漬け ) 
2020/12/8 9:56 by さくらんぼ

映画「フード・ラック!食運」の隠れた主役は「ぬか漬け」ですが、「ぬか漬け」は適宜かき混ぜないといけないのはご存じだと思います。

ぬかに含まれる空気の量を調整するためのようですが、あの時、手のひらからで出る「気」も入るはずなので、それが直接つけものの味を変えるのかもしれませんし、生き物である乳酸菌などの生育にも影響を与えているように思います

追記Ⅸ ( NHK朝ドラ「まれ」に見るハイブリッド ) 
2021/2/5 9:36 by さくらんぼ

土屋太鳳さんと言えば、NHK朝ドラ女優としても有名ですね。「まれ」(2015年)にヒロインとして出ておられました。

「まれ」は公務員から民間へ転職するお話です。

「ヒナは最初に見たものと親だと思う」とか申しますが、高校を卒業してすぐ公務員になった、18歳のヒロイン・希にとっての世間とは、この世の価値観とは、公務員のそれになったはずです。

そこで仕込まれた公務員のイロハは、そこを去った後も、無意識に希の人生観の幹になっている可能性があります。

夢ではなく安定を求めて市役所職員になった希は、やがて本当にやりたい夢であったケーキ職人へ転職します。しかし、彼女は師匠みたいな唯我独尊の尖がったアーティストを目指しながらも、師匠とは違って、まだ無意識に周囲の調整役を続けており、公務員魂も捨てていないことが伺えます。ハイブリッドです。

しかし、皆が「まれ」のように器用だとは限りません。健さんみたいに不器用な人間もいるのです。

だからと言って、刷り込まれた最初の親を捨てるのは容易ではありません。親は、仮に老いさらばえたとしても、尊い親であることに変わりはないのです。

しかし、まとっている空気感が違うと、「みにくいアヒルの子」ではありませんが、周囲から浮いてしまい、疎外感(さみしさ)を感じるだけでなく、最悪いじめに遭うことも有りえると思います。

追記

ちなみに「まれ」、私は面白かったですが、登場人物の行動に一貫性がないとか、リアルではないとか、言われてもいたそうですね。

しかし、すでに皆さんお気づきでしょうが、ヒロインが市役所職員からケーキ職人に転職したのと同様、多くはハイブリッドを表現するためのワンピースだった可能性があります。構造的に言えばそれが定石ですから。

追記2

「まれ」のヒロイン・稀が市役所職員時代の課長は厳しい人でした。

ケーキ職人時代の師匠も厳しい人です。

二人の上司はともに良い人ですが、厳しさの質は違うようです。

細部を忘れたのでいけませんが、ざっくり言うと、課長は大人っぽく、師匠は子どもっぽい印象を持ちました。

稀がいきなりケーキ職人になれば、師匠を世間のスタンダードと盲信したかもしれませんが、課長を知っている稀は無意識に二人の上司を比較したはずで、以後、覚めた目で師匠を観察していた可能性があります。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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