現代の巫女が呼び醒ますツェランという精霊(ゴースト)
『パウル・ツェランと中国の天使』
日本人作家だと思っていた多和田葉子がドイツ語で書いた作品が翻訳されるという。文学の越境もここまで来ているのだった。日本文学どうのこうのなんて彼女の前ではどうでもいいのかもしれない。だがはたしてそうでもなさそうなのは、やはり多和田葉子の母語としての日本語、それも漢字が随分と影響を与えているようなのである。そのへんの解説は翻訳者の関口裕昭に詳しい。一つは漢字が表意文字であるからその形から言葉を発想する仕組みが多和田葉子の中にあるような。
なぜ