見出し画像

vol.08 130年前の人生の先輩から勇気をもらった話。


今回の「Art + Design = !?」では、すこしだけ私の個人的なお話をします。

約2年前、私の出身地である長野県へ帰省しているとき、父と一緒に松本市へ遊びに行きました。

松本市へ行った理由のひとつは、水玉模様やかぼちゃの絵で有名な草間彌生さんの作品が展示してある松本市美術館へ行くためでした。

ですが!


その日は休館日だったんです...。
全く下調べせずに来てしまいました。笑


父と「ざんねんだね〜」とのんびり喋りながら車で市内をぐるぐるまわっていたら、「信毎メディアガーデン」という施設で「動くゴッホ展」を開催しているのを発見したので観に行きました。


動く」ゴッホってどういうことなんだろう?


そう思いながら展示室内に入ったら、映像化されたゴッホの作品が映し出され、糸杉が風で揺れている様子が表現されていたり、ゴッホの自画像が喋りだし、彼自身について話すというまさに「動く」作品を展示していました。


「親愛なる友フィンセント〜動くゴッホ」展

引用:TECHABLE, 2019,「ゴッホが動く?デジタルアートで楽しむゴッホの展覧会開催」,<https://techable.jp/archives/114309>


作品はどれも臨場感があり、観ていて楽しかったのですが、もうひとつ私の目が釘付けになったものがあります。



それは、ゴッホの年表です。

年表?


と思った方、いらっしゃるかもしれません。


そうです、年表です!


私はゴッホといったら
「教科書に出てくる、有名な画家」や
「ひまわりの絵が有名!」

と漠然としたイメージばかり持っていました。ですがゴッホの年表を読んだとき、心がビビッとなって、とても勇気づけられたんです。今回はそのことについてお話しようと思います。



みなさんは、ゴッホは何歳で画家になったと思いますか?





なんとゴッホの画家デビューは27歳の時なんです。
世界で知られている画家ですが、意外にも遅めのデビュー!
私はてっきりゴッホは10代の頃から絵画のエリート教育を受けていたのかと思っていました。

しかもゴッホは画家デビューまでに絵画の勉強はしたことはなく、転職を繰り返していたそうです。

絵画を売買する画商、小学校の教師、本屋、伝道師....とさまざまな仕事をしてきました。

個人的には仕事の内容はインテリジェンスな雰囲気で華々しい経歴にみえてイケてるな〜と思いましたが(笑)、仕事場での人間関係がうまくいかず苦労したそうです。

そして仕事での挫折を経験した後、画家になることを決意し、デッサンという絵を描くための基礎練習から始めました。

ゴッホの年表を読んだとき、素直に思ったことは

「世界的に有名なゴッホが遅めデビューで、しかも未経験から画家を目指したとは...! 年齢や経験は関係ないし、やりたいことはこれから作り上げていけばいいんだな〜。私もやっていかないと!」

とゴッホと自分を並べて考えるのはすごくすごくおこがましいのですが(笑)、年表を読んだ時、とても刺激を受けました。

ゴッホは過去に画商として美術に触れたことはありますが、実際に絵を描くことを仕事にするという決断は勇気のいることですし、私だったら「本当に画家に転身しても大丈夫かな」と思い留まると思います。

しかも!今では世界中の誰もが聞いたことのある「ゴッホ」ですが、作品が認められるようになったのはゴッホが亡くなった後なんです。

ゴッホにとって売れない10年間を過ごしながら、制作を続けるのは精神的にも金銭的にもキツかったと思います。

そんな状況でも「画家として生きていかなければならない!」と使命感に燃えていたのかもしれません。熱く、かっこいい方ですね!(熱すぎて、プライベートもドラマティックな人生を過ごしていました。笑 その話はまた次回。)


私は表舞台に立つお仕事を本格的に目指して約一年と少しが経ちました。
経験させていただいたことは、どれも新鮮ですごく楽しいのですが

「今まで触れたことのない世界でこれからどう挑戦していけばいいのだろう。」

不安になることもあります。

ですが、ゴッホのようにいろんな挫折を味わいながら、作品を作り続けたように、私も自分のできることや、やりたいことを一歩ずつ挑戦したい、していかなくては!!と背中を押されました。

みなさんも「これを始めてみたいけど、もう遅いのかな。」と思うことはありませんか?

ゴッホの生き方から教わったように、新しいことにチャレンジする年齢や経験は関係ないと思って一歩踏み出したら道は開けるのかもしれません。

100年以上前の人生の大先輩から勇気をいただいたお話でした!

トイレのマークに惹かれた話についてすこしだけ。


余談ですが、「動くゴッホ展」の会場である信毎メディアガーデンのトイレのマークがおしゃれで帰り際、思わず写真を撮りました。

家族トイレ」という名前だと、みんな遠慮せずに使用できそうで
なんだか心温まる名前ですね。


「なんてデザイン・センスの高いマークなんだああ!」

とひとり興奮し、父をロビーで待たせてひたすら撮り続けました。

たぶん、いや、きっと、その時トイレに出入りされた方は、私のことを「変わった人」だと思ったと思います。笑

私は「このデザイン好き!」とか「デザインの参考になるな」と思うものは、道路の標識からポスターまでなんでも写真におさめることが好きなんです。癖になっているというか...。


この施設のことが気になったのであとで調べたら、びっくりしたことが!

施設を設計されたのは伊東豊雄さんという建築家で「建築界のノーベル賞」といわれる「プリツカー建築賞」を受賞されたことのある、日本の建築界を代表する建築家のひとりなんです!銀座にあるMIKIMOTO Ginza 2や台湾にある台中国立歌劇院を設計されたりと世界中で活躍されています。

そして伊東さんのご出身も長野県なので同じ県民同士、親近感を抱いています。

伊東豊雄
《信毎メディアガーデン》
2015-2018年

引用:信毎メディアガーデン, <https://www.shinmai-mediagarden.jp/>


私がひたすら撮影していたトイレのマークは、グッドデザイン賞を受賞されたこともある、柿木原政広さんがデザインされました。NHK Eテレの「デザインあ」のワークブックのデザインも担当されたことがあります。

柿木原政広
《信毎メディアガーデン》
2018年

柿木原政広
《デザインあ かくほん》
2018年

引用:10inc, <http://www.10inc.jp/>



このことを知った時、「トイレのマークたくさん撮ってよかった〜!」とひとりで喜んでいました。笑



今回の投稿は真面目に、いいカンジに「人生観について」かっこよく締め括ろうとしましたが、最後はトイレの写真を撮っていた思い出話をつらつらと書いていました。笑

今までの投稿に比べて、自分のことについて書いてみましたがいかがでしたか?いいなって思ってくださったら嬉しいです。

これからもアートやデザインについてまたゆるりとお届けしていきますのでお楽しみに!



参考文献:

伊東豊雄建築設計事務所,「信毎メディアガーデン」,
<http://www.toyo-ito.co.jp/WWW/index/index_j.html>

信毎メディアガーデン, <https://www.shinmai-mediagarden.jp/>

大成建築設計本部, 「MIKIMOTO Ginza2」,<https://www.taisei-design.jp/de/works/2005/mikimoto.html>

10inc, <http://www.10inc.jp/>

TECHABLE, 2019,「ゴッホが動く?デジタルアートで楽しむゴッホの展覧会開催」,
<https://techable.jp/archives/114309>

Wonder Squad, 「親愛なる友フィンセント〜動くゴッホ展」,
<https://www.neospace.co.jp/wondersquad/index.html#top>


この記事が参加している募集

404美術館

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?