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どんな人かはよく知らないが、父。 (日記)

秋晴れが爽やかな日に。

午後の予定の前に早めの昼食を取ろうとテラス席のあるパン屋へきた。
目の前の席には、高齢の女性と付き添いの女性。

「気持ちいいねぇ」と高齢の女性。
「生きててよかったぁ」と言いながら、パン購入者に無料で配られる小さな紙コップのコーヒーを口元に持っていく。その飲み方は湯のみで煎茶をすすっているようだった。
「はぁぁ」と、声を漏らしながらぽかんと口を開けて空を眺めている女性の横顔が、逆光で黒く塗りつぶされたシルエットになって面白かったので見入ってしまった。
あまりジロジロ見るのも悪いので、持ってきた本を取り出す。


この本は薄くて、スマートフォンと同じくらいの重さなので持ち歩くのにちょうどいい。だいたいバッグから取り出しても2ページ分くらいしか読まない。2ページ分読んだ頃に、次の動きに移るので全く進まないが、それでいい。

スーさんの父親についてのエッセイ。
父親かぁ。
私は自分の父親のことがよく分からない。
嫌いじゃないし、居てもそんなに害のあるタイプではないと私は思っているけれど、私以外の家族にはもれなく不評だったりする。
得体がしれない、人の話を聞いていない。そういうところが家族から嫌がられるところ。あと言葉遣いが悪い。そしてよくオナラをする。

父は口下手だし、私も家族の前で口下手(女たちの聞き役)なので、父と私は程よく心の距離がある。だから父のことを聞かれてもほとんど答えられない。どういう仕事をしているとか、なんとか。今まで自分から聞かなかったということは、父に興味がないんだ。それでも関係が良好なら良いじゃないかというところ。知ったところで、突然父に興味が湧くわけでもない気がする。
だから私はこれからも「自分の父親クイズ」で100点満点中20点くらいをキープする。
そういう私の素っ気ないところは、父親的にも気が楽なようで、父の親友の家で父が酔っ払った時には、私を指さして「おれ、こいつ好きなんだよ。俺にそっくりだから。なぁ、兄妹!」と言ってきて「けっ」と思った記憶がある。別に嫌ではなかったけど。

スーさんのエッセイを読みながら、少しだけ思い出す。父のこと。





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