見出し画像

考えを整えて、メンタルをマネジメント?【心理学】

福島県の医学部で学生教育をしながら、心理カウンセラーをしたり、研究をしたり、YouTubeの運営をしたりしてるあおきしゅんたろうです。

昨日の記事では認知行動療法とうつの関係についてお話ししました。

今日からはもう少し深堀して考えていきます。今日は「考えを整えて、うつを改善しよう」という話をしていきます。

認知行動療法の中で考えを整理する方法に認知再構成という方法があります。

認知再構成は、認知行動療法の中核的な部分であり、否定的な思考パターンを認識し、それらをより現実的かつポジティブな思考に置き換えることを目指しています。認知再構成を行うだけでも、うつが改善することがいろいろな研究からわかっています。

認知再構成を行う根拠となる理論は認知理論です。

認知理論は感情が引き起こされる理論であり、認知(思考)と感情(感じる)が相互に影響を与えると考えられています。

この理論は、「私たちが何を感じるかは、私たちが何を考えるかによって大きく左右される」という主張に基づいています。

ネガティブな認知と感情

ベックの認知仮説(自己、世界、未来に対するネガティブな認知)は、これらのネガティブな思考が悲しい、無価値感、絶望感などのネガティブな感情を引き起こすと考えます。

たとえば、「私は失敗者だ」というネガティブな考えが、無価値感や自己嫌悪を引き起こす可能性があります。

感情と認知のサイクル

感情も認知に影響を及ぼします。感じることが思考を変え、思考が感情を変えるという循環が生じます。例えば、うつ病の人が「自分は価値がない」と感じると、その感情はネガティブな考え(「私は失敗者だ」)を強化し、このネガティブな思考はさらに無価値感を強化します。

認知療法の目標

このような理由から、認知療法は感情を直接変えるのではなく、まずネガティブな思考パターンを変えることを目指します。これは、思考が変われば感情も変わるという認識に基づいています。

認知療法はクライエントが自分の思考を認識し、それが感情にどのように影響を与えるかを理解するのを助けます。そして、非現実的または非適応的な思考を現実的で生産的なものに置き換えるテクニックを教えます。

以下に、認知再構成のテクニックについてご紹介します。

思考記録

日々の思考、特に否定的な思考を記録するテクニックです。これは、否定的な思考パターンを識別し、それに対する対策を考えるのに役立ちます。状況、気持ち(感情)、思考の3つを書き出してみましょう。

感情の理解とラベリング

感情を理解し、それに適切な名前を付ける能力は、自己認識を深め、感情調節のスキルを向上させるのに役立ちます。まずは、じぶんが感じている気持ちがなにか?に気づく練習をします。

思考の特定

否定的な思考を特定します。例えば、「私は何をやっても失敗する」という一般化した思考や、「友人がメッセージに返信していないのは、私が嫌われているからだ」というような他人の思考を決めつけることなどがこれにあたります。

思考へのチャレンジ

それらの思考が事実に基づいているかどうかを問い直します。例えば、「本当にすべての試みが失敗しているのか?」、「友人がメッセージに返信していない他の理由は何か?」と問うことができます。

より現実的な思考の作成

ネガティブな思考をより現実的かつ機能的なものに置き換えます。これは「私は過去に何度も成功を収めているし、これからもそれを続けることができるだろう」や「友人はただ忙しいだけかもしれない」といったような新たな思考を作成することにより行われます。

再帰属法

再帰属法は、事象や経験に対する自己の認識や解釈を変えるための方法です。特に、否定的な出来事に対して自己を非難する傾向(自己責任の誤属)を変えることを目指します。

たとえば、「私がうまくいかないのは全て私のせいだ」という考えを、「外的な状況や他の人の行動も影響している」と再解釈します。これは、厳しい自己批判や自己責任の感覚を和らげます。


認知再構成のプロセスでは、自分の思考が現実を必ずしも正確に反映していないことを理解することで、うつ病の症状を軽減することを目指しています。

これらの方法をもとに、思考を柔軟にし、うつになりにくい考えができるようになると、より良い生活が手に入れられるかもしれません。

それでは最後までお付き合いいただいて、ありがとうございました!

もし記事に共感していただけたら「スキ」ボタンを押してくれたらうれしいです。サポートしていただけたらもっと嬉しいです、サポートいただいたお金は全額メンタルヘルスや心理学の普及や情報発信のための予算として使用させていただきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

そのほかのあおきの発する情報はこちらから、興味がある方はぜひご覧くださいませ。

Twitter @airibugfri note以外のあおき発信情報について更新してます。
Instagram @aokishuntaro あおきのメンタルヘルスの保ち方を紹介します(福島暮らしをたまーに紹介してます)。
YouTube あおきのぼやきと見た景色を載せてます https://www.youtube.com/channel/UCIjPXbecsTqIfznCwhKGBgQ

ばっちこい心理学 心理学おたくの岩野、とあおきがみなさんにわかりやすく心理学とメンタルヘルスについてのお話をお伝えします。

YouTube

TikTok
https://www.tiktok.com/@bacchikoishinrigaku


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?