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東京は精神疾患に冷たいのか?

こんにちは。精神疾患と発達障害を持つ画家のあおいうにです。
よく「東京の人は冷たい」「世の中は精神疾患に冷たい」と聞きます。しかし本当に「東京(の人)は精神疾患に冷たい」のでしょうか。今から私の経験談を交えてお話したいと思います。

私の主訴(症状)は幻覚・幻聴、それに伴う尋常じゃない恐怖感・不安感です。それは幻覚や恐怖感が出たバッドトリップのトラウマから来ています。
たとえば、実際に鳴っているなんてことない音も「これは幻聴じゃないか」と疑ってしまい恐怖に囚われてしまいます。

「怖い」というよりは、「今から"怖くなる"んじゃないかと怖い」。

つまり、バッドトリップの時のような恐怖感の症状が実際にあるわけではなく、「今からバッドトリップのような恐怖感が出るのではないか」と不安になるのです。
経験したことのない人には伝わりにくいかもしれませんが、バッドトリップとは「○○だから怖い」という理由があるものではなく、脳に直接作用し、「恐怖感」というゲージをぶち壊しつつ襲いかかってくる理不尽な災害です。
私はそのバッドトリップのトラウマで「残遺性および遅発性精神病性障害」と診断され、フラッシュバックがいつ起こるか分からない不安の中で毎日生きています。

一時期、線路を走るガタンゴトンという音が全て唸り声に聴こえ、それが怖くて付き添いがいないと電車に乗れませんでした。また、だいぶ落ち着いてきた頃に一人で電車に乗っていると、お経が聴こえ、さらに電流のようなものが全身に走り、身の毛もよだつような不安感に襲われました。
たまらなくなり、私は電車の中であるのにも関わらず救急車に電話してしまいました。「きっと周りの乗客に責められる。でも一刻もはやく助けを求めたい。」
そんな思いでいると、乗客の一人が、「この音はみんな聴こえている音ですよ、大丈夫です。」と声をかけてくれたのです。その他の乗客も一切私を責めず、心配そうにしていました。
その後私の不安感は少し落ち着き、電車を降りて一応病院で検査を受けましたが、異常はありませんでした。今でも印象に残っている出来事です。

東京の福祉は地方よりも充実しています。たとえば都営の電車やバスは無料になり、そして生活保護の限度額もほかの地域より高めです。また、デイケアや発達障害のカフェや事業所など、障害者の居場所や仕事に繋がるコミュニティもたくさんあります。
ヘルプマークをつけている人が多いのも、それだけ認知度が高いことの現れだと思います。私もヘルプマークをつけていますが、電車で席を譲られることは度々あります。

私の実家がある茨城では発達障害・精神疾患が邪魔してなかなか友達が出来ず、孤独でした。さらに病気や障害がばれると差別や偏見をもたれ、村八分にされました。でも、東京では日中外を歩いていても深夜まで電気をつけていても誰も白い目で見ません。東京には同じ苦しみを持つ仲間がたくさんいて、すぐに友達ができました。茨城ではあり得ないことです。

「東京は精神疾患に冷たい」どころか、「東京ほど精神疾患に優しいところはない」と私は思います。

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