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老いた射精 / 20240602sun(400字)

射精するなか妙なスローモーションが起こった。
太腿の両側にゆっくりと痺れが走った。
どろり。白い液体が飛びでる。
初めてだった。
太腿筋の老化か?

若い頃の射精は暗闇にとつぜん襲う落雷だった。
腰は無心にふった。眼前の女の影は薄れる。汗だくで、ひたすらだった。それが快感の中なのか理解していなかった。

快感の頂に手をかけた瞬間、髄脳からビシッと雷が落ちる。脊椎をつたって尾骨に。まるで拳銃で撃ち抜かれたような衝撃だ。衝撃を受け止めた尾骨から火花が尿道を突き破る。それが射精だった。

最近は女が感じる醜い顔を見、腰をひとつ、ふたつ、ふってやる。嫌がってみせる女の演技を、冷ややかに目やる。年増は厄介だ。始末が悪い。だとしたら若い淫売に価値はあるのか?

開いた太腿の両側の筋肉が収縮する。そんな痺れを感じた。
老いか。
まだやれる。
陳腐なおれなど、業火に投げてしまえ。


短歌

自慰見つめ
血を滾らせよ
死を見つめ
烈火を燃やせ
おれは放火魔

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