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タイピング日記004 / 映画「レザボア・ドッグス」の冒頭シーン(文字起こし)

とあるレストランにて、テーブルを囲むギャングたちの会話。


ブルー

「ライク・ア・ヴァージンという曲は、巨根とやりたい女の歌だ、歌全部が巨根の暗示だ」

ブロンド

「いや違う、傷つきやすい女の歌だ、何人かの男と寝た後で本物の男に出会う歌だ」

ブルー

「時間切れだ、バカな話は外でやれ」

ブラウン

「トビーっていったい誰だ」

ブルー

「傷つきやすい女が本物の男に出会うのは、トゥルー・ブルーだ」

オレンジ

「なんだそれ」

トビー

「マドンナの超ヒット曲だぜ、一度も聞いたことがないのか? 」

オレンジ

「聴いたことはあるただ好きじゃないだけだ」

ブラウン

「俺も好きじゃない」

ブラウン

「ボーダーラインは良いが、パパ・ドント・ブリーチはな」

ブルー

「何の話をしようとしてたが分からなくなった」

ジョー

「トビーって女の話だ」


 カメラ回る。パン


ジョー

「確か名字は?」

ホワイト

「それは?」

ジョー

「古い手帳だ、コートのポケットに入ってた」


 カメラ回るパン


ジョー

「女の名字は?」

ブルー

「何の話だった?」

ピンク

「トゥルー・ブルーは、傷つきやすい女の歌で、ヴァージンは巨根の歌」

ブルー

「俺が教えてやる」


 カメラパーン(ブラウンを舐めるように)


ブルー

「やりまくっている女の話さ、朝も昼も夜も」


 カメラはトビー、ピンクを舐める。


ブルー

「ディクディクディクディク(シコシコシコシコシコシコ)」

ブラウン

「何回やる?」

ホワイト

「たくさんさ」

ブルー

「その女がある日デカチン男に出会う『まぁすごい』、「大脱走」の穴掘りくらい昼も夜もやりまくってた。ところがその男とやりまくろうとするとびっくり、痛いんだ。まるで処女みたいに。もちろん処女だからじゃなく、奴のがでかい。だから痛い。処女を失う時みたいに痛い。ヤリマン女がまるで「処女のように」痛い。『処女のように』さ」


 ジョーのアップ

 ホワイトはボスの手帳を奪う。


ジョー

「何をするんだ」

ホワイト

「出る時に返してやるよ、ジョー」

ジョー

「出る時だと、すぐ返せ」

ホワイト

「さっきから聴いてりゃ誰の名前だ。トビー、トビー、トビー、トビー、トビー・ウォン、トビー・ウォン?トビー・チャン? チャーリー・チャン? ファッキン・チャーリー・チャン? 左耳でマドンナの巨根話、右耳では東洋人の名前、頭が変になる」

ジョー

「本を返せよ」

ホワイト

「どうしてもか? 」

ジョー

「いつも持っていたい」

ホワイト

「俺が保管しておくよ」

ブロンド

「ジョー、撃ってやろうか」

ホワイト

「なに寝言いってんだ、俺にあやまれ」


 (妙な笑いと間、ジョー退場)


トビー

「K・ビリーのDJを聴いてるか?」

ピンク

「泣かせる番組だ」

トビー

「選曲が良い」

ピンク

「この間は、「ハートビートはラブビート」なんて懐メロを」

トビー

「さっきは「ジョージアの灯火は消えて」だ。前に流行った曲だ。それこそ何万回と聴いたのに、歌詞の中で殺しをやった女が今日わかった」

ブルー

「歌手の女が? 」

トビー

「歌詞の女だよ」

ブロンド

「歌の終わりに出てくる」

トビー

「その終わりを今日初めて聞いた」

ブロンド

「なら俺に歌詞を言ってみな」

トビー

「今日初めてだ」


 (皆笑っている)


ジョー

「よし、払いは俺がする。皆はチップを出してくれ。1人1ドルだ。払いが済んだら手帳を返せ」

ホワイト

「もう俺の手帳だ」

ジョー

「気が変わった。誰かこいつを撃ち殺せ」


 (ブロンドが撃つまね)


トビー

「みんな1ドル投げてくれ」


 (みんなそれぞれなげる中、ピンクが投げない)


トビー

「おまえは?」

ピンク

「嫌だね」

トビー

「嫌だ?」

ピンク

「不合理だ」

トビー

「チップがか?」

ブラウン

「誰だって飯食ってクソするぜ」

ピンク

「嫌な仕事なら辞めるさ」


 (ブロンドの笑み)


トビー

「ユダヤでもチップは払うぜ、絶対に払わないってんだな?」

ピンク

「チップはくだらん習慣だ。特別いいサービスならいくら払ってもいいが、自動的に払うなんて最低だ」


 (トビー笑う)


ピンク

「今日は払いたくない」

ブラウン

「今日は良い娘だぜ」

ピンク

「良くても特別じゃない」

ブラウン

「特別?尺八でもさせるか?」


 (爆笑)


トビー

「チップは12%だ」

ピンク

「コーヒーを3杯注ぎに来ただけだぜ。6回は来なくちゃな」

ブロンド

「忙しすぎたんだよ」

ピンク

「そんな言い訳は通じないね」

トビー

「おい、ピンク。コーヒー飲んで頭を冷やせ」

ピンク

「クソ。奴ら最低賃金はちゃんと取ってるんだ。チップまでやるなんてオメデタすぎるぜ」

ブラウン

「生活がかかってる」

ピンク

「おなみだ頂戴か。悲しいメロディでも弾こうか」

ホワイト

「何をいってやがる、ウェイトレスはハードな仕事だぞ」

ピンク

「マクドナルドでチップを払うか?払わないだろ?あっちは払わずこっちは払うのか?(ボーシェッ)」

ホワイト

「ウェイトレスは高卒女子の就業率No.1の職業だ。生活費を稼げるからだ。チップのおかげでな」

ピンク

「ファック!」


 (冷ややかな空気、ブルーの「ジーザス・クライスト」)


ピンク

「チップにも税金をかけられて気の毒に。ウェイトレスも国に搾取されてるって訳だ。国に陳情書をだすならサインするぜ。だが無駄な金はださん。高卒だからなんだ? 納得できないね。俺はそんなに甘くないぜ」


 (ホワイトはスプーンでナッツをぶつけている)


オレンジ

「俺もチップをやめる」

ジョー

「おい、その手を引っ込めな」


 ジョーの登場


ジョー

「野郎ども出かけるぞ」


チップをかき集めながらジョー)

「チップをだしてねえ奴はだれだ? 」

オレンジ

「ピンク」

ジョー

「ピンク? なぜだ」

オレンジ

「不合理だと」

ジョー

「不合理? お前(オレンジに向かって)本気か? 」

オレンジ

「嫌だって」

ジョー

「黙れ! 嫌とはなんだ?ガタガタぬかすな。おれは朝食代をおごったんだぞ」

ピンク

「わかった。今日だけは例外として払う」


 (ピンクの差しだした1ドル札を毟り取って)


ジョー

「例外なんてどうでもいい。みなと同じように払え」


ホワイトから手帳を渡され、ジョー

「サンキュー」


 K・ビリーのDJ

「パートリッジ・ファミリーのヒット曲に続き、エディソン・ライトハウスをお送りいました。K・ビリーがおくる「スーパー・サウンド70s」


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