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#恋人
【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第15話 隔てられた距離
私は霧雨荵さんと互いの利害の一致という事でお付き合いすることになった。利害の一致と言っても100%私が得をしているだけで、彼にとっての利益は謎のままだ。
彼が私を指名して、時間の許す限り延長してくれるので店には多額の金が入り、そのお陰なのかいじめは無くなった。
霧雨さんを敵に回すと営業に響くのだろう。もしかしたら私に手出ししないよう店長が全員に通達したのかも知れない。
結局は権力と金が無い
【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第28話 甘いキス
「忍っ……!」
その場にいた外科の先生は弘樹さんと何か会話をして忍に入っている管の処置をすると、回診で連れて来た2人の看護師と共に私達とすれ違いで出て行った。
「麻衣さんチャンスだよ。今なら忍も寝てるし、さっき言えなかった事きちんと伝えないと」
澤村さんに背中を押され、私は穏やかな顔で眠っている忍の真横に再び座った。全然起きる気配を見せ無い。
私はシーツから無造作に飛び出している忍の右
【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第36話 変わらない気持ち
病気でも無いのに医者と弘樹さんのお陰で長々精神科病棟に置いて貰った私は忍と一緒にお菓子を買いにとある大手デパートへ行った。
「あれ──麻衣ちゃん?」
ふと幾つか高級お菓子コーナーを覗いていると相変わらずビシッとスーツを着こなした霧雨さんがニコニコ微笑んで立っていた。
「まさかこんな場所で会うなんて。これも神様のお導きだろうか」
「え、えっと……霧雨さんお久しぶりですね、どうして、こちら
【創作大賞2024応募作・恋愛小説部門】砂の城 第39話 忍sideー 未来へ
「結局、麻衣ちゃんと一緒には住まないのか?」
いつもならこの時に呆れた、と言われるのだが、弘樹はいつもとは違い笑顔で妙に寛大だった。多分、麻衣の態度が変わった事が大きな要因だろう。
麻衣はなんだかんだで、弘樹の嫁である雪ちゃんの親友。──そりゃあ旦那としてはどちらの事も心配に決まっている。
「まあ、結局はこのスタンスが俺達にとって一番いいからな。雨宮“先生“、いつもご馳走様」
「全く……